日野原重明『生き方バイブル』に見るその功績

生涯現役を貫き通し、“高齢者が活躍できる社会のあり方“などについて提言を続けた名医・日野原重明氏。その功績は多岐に渡り、「100歳を超えても、健康で充実した人生を歩める秘訣」を、著書や講演の中で唱え続けました。その生涯の集大成とも言える一冊、『生き方バイブル』を紹介します。

明治~大正~昭和~平成。時代を超えて貫かれた信念

日野原重明氏は、「100歳まで生きることが重要なのではない。健康でいられる年齢を延ばすこと。新しいことを始めようという意志があれば、人はいつまでも若さを保っていられる」という、揺るぎない信念を持っていました。

健やかに生きるためには、どうすればよいのか。
そして、健康でいることとは、どういうことなのでしょうか。
日野原重明氏はこう言います。

健康とは、身体的なことはもちろん、精神的にも安寧を保っていることである。

どう食べるのか、どう呼吸するのか、どう動くのか、どう休むのか。
すべての行動において、理論、哲学、思想にポリシーがあった日野原氏。
健康でいるためのメソッドを、多くの人に説きました。

実体験から生み出される、説得力に満ちた言葉の数々

日野原重明氏は、58歳の時に、よど号ハイジャック事件の人質となった経験がありました。
赤軍派9人にハイジャックされた日本航空機(よど号)に搭乗していて、福岡(板付空港)から韓国(金浦空港)へと移動し、機内に3日間監禁され、無事解放されたのです。

事件に遭ったことで大切な人生の転換期を迎え、
私の第2の人生が始まった!

「単なる席順の都合ではあったんですが、一番最初に解放され、飛行機から降りたのは私だったんです。そして金浦空港に足を一歩踏み出して、足の裏に土がついた瞬間に強烈なインスピレーションを得たんですね。[私のいのちは与えられているいのち]で、59歳までは、私の人生であったけれども、この60歳からの私の人生は、私のものではなく与えられたものだと心底感じて、私の新しい人生が始まったんです」

このように、危機に遭遇した時こそ前向きにいようとする精神力こそが、100歳を超えてもなお医師として活躍を続けた日野原重明氏のパワーの源であったのかもしれません。

日野原重明氏 金言集

105歳まで、元気で長生きした人が発した言葉には、どれも重みがあります。

空飛ぶ鳥は、飛び方を変えることができないが、
人は生き方を変えることができる

人間は明日のことを言えない生き物。
たから、いつ死んでもいいように備えていることが大事

医者や看護婦は死なない程度の病気をした方が、
患者のことがよくわかる

時間にいのちを吹き込めばその時間は生きてくる

人のために、自分の持つ時間を捧げることは
人のために自分のいのちを捧げること

老人のケアは、苦労も多い。
しかし、いつの日にかあなたも
あなたが老人にしたようなやり方で、
ケアされる日が必ずくるのである

いのちの授業

2003年より、全国の小学校で行われていた授業。音楽、算数、国語、英語、社会など、さまざまな科目を取り入れながら、子供たちに“生きる意味”“いのちの使い方”などを、わかりやすく説明していました。大変ユニークで興味深いやり方をとり、いじめ撲滅にも取り組んでいたことでも知られています。

DVD本編のダイジェスト動画

おわりに

日野原重明氏の言葉や行動には、読む者・観る者を勇気づけてくれる力があります。100歳まで生きる気力がみなぎってくるような、力強さや、優しさ。それらが、私たちを勇気づけ、健康でいることの大切さを教えてくれるのです。遺された言葉に励まされながら、日々を大切に生きていきたいものですね。

出典・おすすめの一冊

生き方バイブル
https://www.shogakukan.co.jp/books/09480330
生き方バイブル書影

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日野原重明の哲学、ポリシーがここに詰まっています。

初出:P+D MAGAZINE(2017/07/18)

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