【読みやすく、多くの層に人気!】伊坂幸太郎のオススメ作品を紹介
独特の文体とストーリー展開で人気の伊坂幸太郎。プロット展開の素晴らしさから、作品の多くが映画化されています。毎年のように本屋大賞にノミネートされている伊坂作品。どの作品もストーリーのテンポがよく、読みやすいのでエンターテイメント小説として多くの人に受け入れられています。その中でも特におすすめの作品をご紹介します。
アヒルと鴨のコインロッカー
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4488464017
第25回吉川英治文学新人賞を受賞した作品です。現在の出来事と2年前の出来事、2つのストーリーが交互に描かれます。大学に通っている主人公の椎名は、アパートの隣人である河崎に、本屋から広辞苑を強奪するのを手伝って欲しいと頼まれます。広辞苑の強奪とは?わけがわからないまま協力する椎名。はじめは謎だらけの2つのストーリーが徐々にシンクロしていき、真実が明かされるラストは秀逸です。巧妙に張り巡らされた伏線のテクニックが素晴らしい作品です。作中で交わされる伊坂作品らしい軽妙な会話も楽しめます。
引っ越してきたアパートで出会ったのは、悪魔めいた印象の長身の青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけてきた。彼の標的は――たった1冊の広辞苑!? そんなおかしな話に乗る気などなかったのに、なぜか僕は決行の夜、モデルガンを手に書店の裏口に立ってしまったのだ! 清冽な余韻を残す傑作ミステリ。
死神の精度
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4167745011
物語の主人公は死神。死神は1週間後に死ぬことになっている人間を調査するために人間界にやってきます。1話ごとに調査対象となる人間が登場する短編集のような形式になっています。死神が1週間調査をして「可」か「見送り」か判断します。対象となるのは、クレーム対応の仕事にうんざりしているOL、旅行先で殺人事件に巻き込まれた主婦、義理人情に厚いヤクザの男、近くに住む女性に片思いをしているイケメン男性、渋谷で人を刺して逃亡している少年、美容師をしている老女など。自分の人生に絶望している人や希望のある人に対して、死神の下した判断は……?
CDショップに入りびたり、苗字が町や市の名前であり、受け答えが微妙にずれていて、素手で他人に触ろうとしない―そんな人物が身近に現れたら、死神かもしれません。一週間の調査ののち、対象者の死に可否の判断をくだし、翌八日目に死は実行される。クールでどこか奇妙な死神・千葉が出会う六つの人生。
フィッシュストーリー
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4101250243
4つの短編が収録されている短編集です。表題作の『フィッシュストーリー』は、1つの曲がきっかけで世界が救われるというストーリー。解散が決まっているロックバンドが最後にレコーディングした曲が1人の女性を助けることになり、そしてその女性が生んだ息子が……。4つの短編はそれぞれ設定や登場人物が違いますが、微妙にリンクしている部分が出てきたりするところも楽しめます。伊坂幸太郎らしい趣向の凝らされた作品となっています。
最後のレコーディングに臨んだ、売れないロックバンド。「いい曲なんだよ。届けよ、誰かに」テープに記録された言葉は、未来に届いて世界を救う。
重力ピエロ
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4101250235
2人の兄弟が、仙台で起きている連続放火事件の謎を解いていくという物語です。遺伝子を扱う会社で働いている兄の泉水。落書きを消す仕事をしている弟の春。春は、落書きのある場所で放火が起きていることに気づきます。放火犯を捕まえようとする泉水と春。2人は連続放火事件とグラフィティーアートの謎を解明しようとするうちにある共通点に気づきます。過去に家族に起きた悲しい事件は、今でも春の心に暗い影を落としていました。事件の謎が解明された時に家族は…。家族や兄弟の絆に胸が熱くなります。
兄は泉水、二つ下の弟は春、優しい父、美しい母。家族には、過去に辛い出来事があった。その記憶を抱えて兄弟が大人になった頃、事件は始まる。連続放火と、火事を予見するような謎のグラフィティアートの出現。そしてそのグラフィティアートと遺伝子のルールの奇妙なリンク。謎解きに乗り出した兄が遂に直面する圧倒的な真実とは――。
陽気なギャングが地球を回す
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4396332688
この作品が人気となって、その後に続編も発表されます。特殊な能力を持つ4人の詐欺グループの物語です。リーダーの成瀬は普段は市役所で働いていて、完璧に人の嘘を見抜くことができます。グループのメンバーは、演説の達人である喫茶店のマスター響野、天才的なスリの技術を持っている20歳の青年久遠、正確な体内時計を持つシングルマザーの雪子。いつも通り完璧に行くはずだった銀行強盗の計画でしたが、覆面の男たちに銀行から強奪したお金を奪われてしまい…。強烈な個性で一見まとまりのないような4人それぞれのキャラクターが魅力的な作品です。
嘘を見抜く名人、天才スリ、演説の達人、精確な体内時計を持つ女。この四人の天才たちは百発百中の銀行強盗だった……はずが、思わぬ誤算が。せっかくの「売上」を、逃走中に、あろうことか同じく逃走中の現金輸送車襲撃犯に横取りされたのだ! 奪還に動くや、仲間の息子に不穏な影が迫り、そして死体も出現。映画化で話題のハイテンポな都会派サスペンス!
最後に
仙台を拠点に活動しているので、物語の舞台としても仙台や東北の街がよく出てきます。また、作中に出てくる名言になりそうな印象的なセリフにも注目してみてください。
初出:P+D MAGAZINE(2016/10/24)