浅田次郎のおすすめ作品5選を紹介!
読みやすい文章と心温まる感動的なストーリーで人気の浅田次郎作品。物語のエンターテイメント性やストーリーテリングには定評があり、多くの作品が映画化やドラマ化されています。中でも特におすすめの浅田次郎作品をピックアップします。
プリズンホテル
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4087473295
人気のシリーズとなっている作品。ヤクザの経営するホテルを舞台にした物語です。主人公は任侠小説がヒットした小説家の木戸孝之助。ヤクザの親分である叔父がオーナーを務めるホテルに誘われて行ってみると、そのホテルはヤクザ専用のホテルでした。そして従業員もほとんどがやくざや癖のある者たちばかり。ホテルにやってくる客と従業員が繰り広げる涙あり笑いありの、人情味あふれる物語となっています。オーナーである主人公の叔父の、義理人情に厚く男気あふれる親分のキャラクターが非常に魅力的です。コミカルなところもあり、涙する場面もあり、さらっと読めるのですが感動の余韻が残ります。
地下鉄に乗って
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4062645971
第16回吉川英治文学新人賞を受賞した作品。大沢たかお、堤真一の主演で映画化もされました。女性下着のセールスをしている主人公。兄が父と衝突を繰り返し、自殺をしたという過去が主人公の心に暗い影を落としていました。そんなある日、地下鉄の駅を出ると見慣れぬ風景に出会い、タイムスリップを経験します。それから主人公はいろいろな時代にタイムスリップをしていくうちに、兄の自殺の真相についても、知らなかった真実を知ることに。戦争に出征する父の姿、その後のビジネスに奮闘する父の様子など父親の意外な過去も知ることになります。戦後の復興に向けて活気づく当時の雰囲気がいきいきと描かれています。家族のそれぞれの思いに切なく、とても感動を誘います。心がしめつけられる部分も大きいですが、読んで良かったと思える読後感を抱くことができます。
椿山課長の七日間
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4022643528
朝日新聞夕刊で連載されていた当時からの話題作。テレビドラマ化、映画化、舞台化、さらに韓国でもドラマ化されるなど多方面に広がりをみせている人気作品です。主人公はデパートで課長を務めていた椿山和昭。ある日、仕事での激務がたたり脳溢血で突然死してしまいます。家族に伝えたいことや仕事でやり残したことなど現世に強い未練のある主人公は、美女の体を借りて七日間だけ現世に戻ることが許されます。死を扱った作品ですが、ユーモアたっぷりに描かれており、浅田次郎作品らしいほんわかとした雰囲気があふれています。ありがとうと言うことの大切さを感じ、思わず涙してしまう感動作です。
蒼穹の昴
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4062748916
中国清朝末期が舞台の時代小説です。ベストセラーとなった大ヒット作品であり、日中共同制作でドラマ化もされました。ハードカバーは上下、文庫本では4巻構成という、壮大な長編小説となっています。素封家の息子である梁文秀と、そのいとこで貧しいながらも努力をしてやがて西太后に使える身となる李春雲。中国王朝でそれぞれのし上がっていく文秀と雲春という対照的な二人の姿が描かれています。登場人物の描写が細やかで、思わず感情移入してしまう感動作です。
鉄道員
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4087471713
第117回直木賞受賞作品です。単行本は150万部を超える大ベストセラーとなり、8つの短編が収録されている短編集となっています。表題作の『鉄道員』は、高倉健主演で映画化され、映画も大ヒットして話題になりました。表題作である『鉄道員』は、廃線間近である北海道のローカル線が舞台の物語。主人公は定年間近の鉄道員、佐藤乙松という男です。妻の危篤を知らされても、駅員としての職務を優先し駅にとどまった主人公。定年が近づき、鉄道一筋で生きてきた乙松に訪れた優しい奇跡の物語です。職人気質の美学を貫いた男の真っ直ぐな生き方に、心が揺さぶられます。
最後に
読んだ後に幸せな気分になれる作品が多い浅田次郎作品。ストーリーの面白さと、魅力的なキャラクターたちにより作品の世界にグッと引き込まれます。登場人物ひとりひとりの描写が見事で、展開はいつも予想外。読んでいて温かい気持ちになれるところが、浅田作品の何よりの魅力です。
初出:P+D MAGAZINE(2016/12/05)