【注目度の高い本屋大賞】2015年のオススメ作品を紹介-前編-

2015年本屋大賞の1位から5位の作品について、あらすじを簡単にご紹介します。 書店員さんが選んだおすすめの作品なので、「本を読みたいけど何を読んでいいかわからない」という方はぜひ参考にしてみてください。

1位.『鹿の王』上橋菜穂子著

鹿の王
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4041018889

大賞に選ばれた作品です。ファンタジーの世界が舞台となっていて、謎の感染病を防ぐために奮闘する人々の物語です。伝染病に感染したものの一命を取り留めた主人公が、生き延びていく様子が描かれています。国家や部族の対立や家族、恋愛などさまざまな要素が絡み合う壮大なスケールの物語となっています。謎の病を解明するという医療ミステリーの要素もあり、第4回日本医療小説大賞も受賞。いろいろな角度から見た生物の生、死、命について書かれています。生きるということはどういうことなのか? 自分の命について考えさせられる作品です。

強大な帝国から故郷を守るため、死兵となった戦士団<独角>。その頭であったヴァンは、岩塩鉱に囚われていた。ある夜、犬たちが岩塩鉱を襲い、謎の病が発生する。 その隙に逃げ出したヴァンは幼い少女を拾うが!?

第2位.『サラバ!』 西加奈子著

サラバ!
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/409386392X

第152回直木賞も受賞した作品です。父親の仕事の都合でイランで生まれた主人公の歩。歩が生まれたところから物語は始まり、成長を追ってストーリーが進んでいきます。美しくプライドの高い母親、いつも何かに怒りを感じている姉など強烈な個性の家族に影響されながら歩は成長していきます。高校、大学と進学し、ライターとして仕事をはじめるまで、いろいろな人に出会い友人や恋人と過ごしながら生きていく歩の人生が実にリアルに描かれています。ストーリーと合わせていきいきと描かれた海外の情景描写により、さらに作品に引き込まれます。上下合わせて700ページを超える超大作となっています。

1977年5月、圷歩は、イランで生まれた。父の海外赴任先だ。チャーミングな母、変わり者の姉も一緒だった。イラン革命のあと、しばらく大阪に住んだ彼は小学生になり、今度はエジプトへ向かう。後の人生に大きな影響を与える、ある出来事が待ち受けている事も知らずに―。

第3位.『ハケンアニメ!』辻村深月著

ハケンアニメ!
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4838726902

アニメ業界で働く3人の女性が主人公です。プロデューサーの有科香屋子、監督の斉藤瞳、原画スタジオで働く並澤和奈。仕事や役割は違っても3人に共通しているのは素晴らしいアニメを作りたいという気持ち。3人それぞれの視点で物語は進んでいきます。別々のストーリーが時に重なり、最後には一つにつながっていきます。アニメ業界で働く女性たちそれぞれの仕事を通して、アニメ業界の裏側や実情が興味深く描かれています。アニメの制作過程が非常に細かく表現されていて、それだけでも楽しめます。3人の主人公が情熱を持ってアニメの仕事に取り組む姿勢に心を動かされます。

誰かの熱意が、各人の思惑が、次から次へと謎を呼び、新たな事件を起こす!

第4位.『本屋さんのダイアナ』 柚木麻子著

本屋さんのダイアナ
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/410335531X

本が大好きな大穴(ダイアナ)という名前の少女が主人公です。競馬好きな父親は行方不明で、大穴は母親と二人暮らしをしています。大穴は優等生のクラスメイトである彩子と仲良くなります。普通の名前や家庭が羨ましいと思う大穴と個性的な名前が羨ましいと思う彩子。考えや性格が正反対の2人ですが、いつしか親友となります。しかし些細なことでケンカとなり友情関係は崩れてしまうことに。それからは別々の道を歩んでいた2人ですが、ダイアナの父親探しをきっかけに再び交流が始まり…。長い時間をかけて築かれる、2人の成長と友情の物語です。

私の呪いを解けるのは、私だけ。「大穴」という名前、金色に染められたパサパサの髪、行方知れずの父親。自分の全てを否定していた孤独なダイアナに、本の世界と同級生の彩子だけが光を与えてくれた。正反対の二人は、一瞬で親友になった。そう、“腹心の友”に―。

第5位.『土漠の花』月村了衛著

土漠の花
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4344026306

ソマリアの国境付近で墜落したヘリコプターの救出作業にあたっていた、陸上自衛隊第一空挺団の12人。そこに以前から敵対していた部族の襲撃から逃れてきたアスキラという女が助けを求めてやってきます。1人の女性を守るために必死に戦う自衛隊員たちの姿が描かれます。自衛隊の内部や激しい戦闘の様子がとてもリアルに表現されています。

ソマリアの国境付近で、墜落ヘリの捜索救助にあたっていた陸上自衛隊第一空挺団の精鋭たち。その野営地に、氏族間抗争で命を狙われている女性が駆け込んだとき、壮絶な撤退戦の幕があがった。圧倒的な数的不利。武器も、土地鑑もない。通信手段も皆無。自然の猛威も牙を剥く。最悪の状況のなか、仲間内での疑心暗鬼まで湧き起こる。なぜここまで激しく攻撃されるのか?なぜ救援が来ないのか?自衛官は人を殺せるのか?

最後に

気になった作品はありましたか?面白そうな本を探しているという方はぜひ参考にしてみてください。

初出:P+D MAGAZINE(2016/11/12)

文月悠光著『洗礼ダイアリー』は平成生まれの詩人による初エッセイ集。著者にインタビュー!
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