今月のイチオシ本【ノンフィクション】

『にほんでいきる 外国からきた子どもたち』
毎日新聞取材班 編

今月のイチオシ本【ノンフィクション】

明石書店

 少子化、高齢化が進む日本で、これから先、喫緊の問題になるのは労働力不足であることは間違いない。2018年12月、国会では入管難民法の改正が参議院本会議で強行採決された。これまで低賃金の単純労働を強いられてきた外国人技能実習生を、新たな在留資格「特定技能」に移行させ、一定条件を満たせば家族の帯同を認めるという。この時点で日本に住む外国人は273万人。この法律の施行によってさらに多くの外国人が日本に移り住むと予想されている。

 いまや外国人労働者抜きではどんな産業も成り立たないのは自明の理だ。しかし彼らの子どもたちはどうしているのか。

 強行採決から一か月後、毎日新聞では外国人の子が置かれた現状を取材し、紙上で連載を始めた。調査は外国籍の子が多い100自治体を選びアンケートを行った。本書はその結果をまとめたものだ。

 自治体からの回答によると日本人と同じような就学確認をしていたのは34自治体にすぎず、義務教育年齢の外国籍の子どもの約2割が学校に通っているかどうか確認できない「就学不明」であることがわかった。

 憲法には「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ」とある。文科省の解釈では義務教育の対象は「国民」であり外国籍は含まない。放置しても法的な問題は生じないとされてきた。

 法律の外にいることになる外国人の子どもの姿を追うと、児童虐待で殺されたり、母親の無理心中に巻き込まれたりという悲劇も浮かび上がる。

 学校に通うことができたとしても、日本語の教育がされず、授業が理解できないことで「発達障害」とみなされ、通常学級に通えないという例も散見できた。

 仕事を探しているうちに、詐欺グループに利用されたり、ホームレスになったりしてしまう子もいた。

 この報道は多方面から認められ「新聞労連ジャーナリズム大賞優秀賞」と「新聞協会賞」をダブル受賞した。同じ日本で幸せに生活するために早急な体制づくりが必要なのだ。

(文/東 えりか)
〈「STORY BOX」2021年4月号掲載〉

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