ビジネス小説の第一人者・楡周平が「ニッポンの大問題」を斬る!!【馬鹿につけるバカの薬】最終回:“子育ての街”が少子化を解消する

新入社員、若手社員、就活生も必読!! つねに時代の先を読み、予測を的中させてきたビジネス小説の旗手・楡周平が、ニッポンの近未来に警鐘を鳴らす! もはや政治家、官僚に任せてはおけない。すべての日本人を覚醒させる一刀両断のノンフィクション。
最終回は、日本の喫緊の課題、少子化問題に対し、具体的な解決策を提案する。柱となるのは、子育て家庭に特化した巨大集合住宅施設。親の負担を軽減し、子どもを持つことにインセンティブを提供する「ネスティング・ボックス構想」とは?

ネスティング・ボックス構想

 所属する会社がテレワークを取り入れたとしても、大都市での生活を捨てられない人はたくさんいるでしょう。
 確かに、都市部での生活には魅力があります。
 しかし少子化、合計特殊出生率を向上させ、日本の人口を維持、回復させることを考えると、大都市は子供を持つのに極めて厳しい環境にあります。
 現在の平均初婚年齢は、厚生労働省の発表では、男性が31.1歳、女性が29.4歳(2018年)ですが、新婚当初から親と同居という方は、そういないでしょうから、都市部出身者、地方出身者のいずれを問わず、賃貸物件で新婚生活がスタートするのが一般的でしょう。
 当然、家賃、光熱費といった固定費が毎月発生するわけですが、dodaの調べではボーナス、残業代を含む31歳男性の年収は450万円、29歳女性が361万円。月収に換算すると男性37.5万円、女性30.1万円。
 これを高いと見るか、低いと見るかは人それぞれでしょうが、ここから所得税、住民税、健康保険料や年金等が引かれるわけですから手取額はかなり減ります。
 さらに、厚生労働省が公表している賃金構造基本統計調査では、ボーナス、残業代を含まない30~34歳の平均年収は大卒・院卒男性が386.2万円、高卒310.6万円、大卒・院卒女性336.5万円、高卒245.4万円となっています。
 ボーナス、残業代は定収ではありませんし、時々の状況によって増減するものですが、いずれにしても、この辺の金額が、基本収入となるわけです。
 さて、この中から、家賃をはじめとする固定費を支払えば、どれほどの金額が残るでしょうか。
 独身時代とは違って、結婚すれば6畳のワンルームとはいかないでしょうから、1LDKぐらいの間取りの物件を借りる方が多いはずです。
 もちろん地域によって家賃は異なりますが、東京だと6畳程度のワンルームでも、6万円はしますし、10万円を超える物件も珍しくありません。
 これが1LDKとなると8万円から14、5万円、上を見ればそれこそ切りがないのですが、いずれにしても家賃は格段に高くなります。
 仮に家賃が15万円だとしても、1年で180万円。さらに光熱費や通信費といった固定費に加えて、食費や交際費等もありますから、夫婦二人なら事足りるとしても、子供を持つのはやはり難しいかもしれません。
 しかも、これだけ少子化が深刻な問題だといわれ続けてきたにもかかわらず、妊娠・出産後も女性が継続して働き続けられる環境が整備されているとはいえないのが日本社会です。それどころか、マタハラと称されるように、今に至ってもなお、妊婦を邪魔者扱いする企業は数多く存在します。
 かといって、女性が仕事を辞めれば収入は激減しますから、たちまち生活が行き詰まる。妊娠に理解を示す職場で働いていたとしても、保育所を確保するのも大変です。入所できたとしても、子供が熱でも出そうものなら仕事を中断し、駆けつけなければなりません。そうでなくとも、夕方には子供を引き取り、さらに炊事洗濯。夫婦二人で取り組んだとしても、女性は子供を1人育てるだけでも大変な労力を使うことを強いられるのです。
 そして、子供が小学校に上がれば、収入の中に占める教育費の割合が増す一方となる。
 この辺りの事情は、前に詳しく述べましたので、ここでは割愛しますが、とにかく、学校外教育には大変な出費を強いられるのです。
 これでは、子供を儲けたとしても1人が精一杯。とても2人目どころではありません。かくして、日本の合計特殊出生率は、一向に改善されないということになるわけです。
 こうした問題を解消すべく、政府や各自治体は託児所を整備し、あるいは児童手当を給付し、と、様々な策を講じてきました。
 国、自治体が給付する児童手当は、
 0~3歳 月額1万5000円
 3歳~小学校修了まで、第一子、二子 1万円 第三子以降 1万5000円
 中学生 一律1万円
 これを年3回、4ヵ月分がまとめて支給されますので、一度に4万円からの手当が給付されるわけですが、はっきりいってこの程度の額では、保育園の費用の足しにする程度で終わってしまうでしょう。
 加えて、子供が成長するにしたがって、どうしても家は手狭になります。小学生になる頃には、家賃を払うくらいなら買ってしまうかと、マイホームの購入に踏み切る方がたくさん出てくるはずです。
 実際、国土交通省が発表した「平成29年度(2017年度)住宅市場動向調査」によると、はじめて住宅を取得した方の年齢は注文住宅、分譲(戸建・マンション)では30歳代が最も多く、中古戸建住宅、中古マンションでは40歳代が最も多いとあります。
 これは、住宅ローンの完済年齢の上限は金融機関によって異なるものの、75歳か80歳と決まっており、そこから逆算すると40歳代で契約をしている必要があるからです。
 さて、そうなると、今度は家賃に代わってローンの支払いが発生することになるわけですが、月々の支払いは、どれほどの額になるのでしょう。
 平成30年度の同調査によると、年間返済額は分譲マンションの購入世帯が最も高く130.9万円、注文住宅が116.5万円、分譲戸建住宅が116.7万円、中古戸建住宅が115.3万円、中古マンションが104.3万円と、いずれも100万円を上回っています(注文住宅は全国平均、その他住宅は三大都市圏での調査)。
 この調査から、東京で2LDK以上の間取りのマンションを借りることを思えば、ローンを組んでも購入した方が、月々の支払いは安くつくのが分かります。しかし、小中高は公立、塾も習い事もさせないというのなら別ですが、子供にかかる費用、中でも学校外教育にまつわる費用は、年々増加していくものです。
 いうまでもなく、住宅ローンの支払いは待ったナシ。最大35年もの間、契約書に書かれた通りの金額を支払う義務を負うのです。昇給があるにせよ、上記の調査によれば、世帯年収に占める住宅ローンの割合は分譲戸建住宅で17.5%。最も低い中古マンションでも、14.1%を占めるとありますから、やはり、家計には重い負担であることに変わりありません。
 してみると、都会で暮らしたい方々に、どうしたら子供を産んで貰えるのかと考えた時、重い負担となる住居と教育、この二つの問題を解決し、さらに子供を持つことによるインセンティブを提供するしかありません。
 問題を解決するには、同じ問題を抱えている人を、一つところに集めるのが最も早く、かつ効率的というのは、かねてからの私の持論です。
 たとえば、今回のコロナ禍でもそうなのですが、治療が必要と診断された感染者は各自治体が指定した病院に収容され、集中的に治療が施されました。もちろん、感染力が強い上に、治療する側にも高度な感染防止策を講じる必要があったからですが、同一の病を持つ患者を集めた方が効率的、かつ集中的に治療できるのはコロナに限ったことではないはずです。
 して考えると、子育てについても同じことがいえると思うのです。そして、それを可能にするのが、〝ネスティング・ボックス〟構想です。
 ネスティング・ボックスとは、英語で〝巣箱〟を意味します。
 共働きの家庭において、託児施設、保育所の確保が困難であることは、随分以前から問題視されてきました。長期間空きが出るのを待たなければならない上に、保育料の負担も強いられます。さらに日々の送迎が必要なことに加えて、保育時間にも制限があり、残業もままならないだけでなく、子供が体調を崩せば仕事を中断し、ただちに駆けつけなければなりません。
 こうした問題に直面している家庭は数多くあるはずですが、解決できない理由の一つには、子育てを行なっている家庭が分散しているということがあると思うのです。
 住居から、あるいは最寄り駅から託児所までの距離も長短がある。買い物ひとつ取っても、住居からスーパーまでの距離も様々なら病院もまたしかりです。それぞれにかかる時間の積み重ねが、仕事や日常生活の制約となって、親の負担を大きくしているのではないでしょうか。
 ならば、子育て家庭に特化した巨大集合住宅施設を公費で建設したらどうでしょう。
 敷地内には、病院もあれば小中学校もある。スーパーもあれば、学校外教育施設もある。もちろん保育施設も完備し、レクリエーション施設も整備するのです。
 おいおい大丈夫か、という声が聞こえてきそうですが、案外大丈夫かもしれませんよ。
 実は、マンションの建設費用は意外に安く、16階建てなら坪80万円もあれば十分なのだそうです。もちろん原価ではありません、建設会社の利益を入れても、この程度の費用で建設できるのです。
 1棟の建設費は、約23億円。10棟で230億円。現在支給されている児童手当とほぼ同額で、無料の子育て住宅が提供できるのです。詳しく見てみましょう。
 仮に1部屋60平米とすると、約1450万円。減価償却を50年の定額法で計算すると、1月2万4000円。60平米の2LDKならば、子供2人を育てるのに何とか事足りるでしょう。
 入居者は児童手当の給付は受けられませんが、子供を複数人儲ければ、一番下の子供が中学を卒業するまで居住し続けることができるようにします。
 つまり、2人、3人と子供を持てば、それだけ長く居住し続けられるわけです。
 さらに託児所を開設し、保育を必要とする居住者の子供のケアに万全の体制を整える。間近にある託児所に出勤時に子供を預け、帰宅時にピックアップ。敷地内には病院やスーパーもあれば、学校外教育の施設もある。特に保育と学校外教育では、そこで働く人材は、それらの分野で豊富な経験を持つシルバー人材を積極的に活用すれば、保育料も月謝も安く抑えることが可能になるでしょう。

築地市場跡地を少子化対策に有効利用

 もちろん、こういうと、「土地代を忘れちゃいませんか?」という声が出てくるでしょう。学校や学校外教育施設の整備費用、託児施設や病院の整備費用だって別勘定です。これだけの用地を大都市に確保しようものなら、大変な金額になりますからね。しかし、第一章でも述べたように、少子化がいかに恐ろしいものであるか、それこそ日本という国の存亡に関わる問題なのです。
 確かに民間所有の土地を購入する予算を確保するのは困難です。ならば国や自治体が所有する土地を活用するしかありません。
 中でも、私が着目している最適地は築地市場の跡地です。
 敷地面積23万836平方メートル、実に7万坪の東京都所有の土地が、銀座の目と鼻の先にあり、その活用方法はいまだ決まってはいません。
 商業施設とか、展示場を建設するとか、様々な案が出ているやに聞き及びますが、いまさらそんなものを造ってどうするのでしょう。
 商業施設なんて、東京にはいくつもありますし、展示会場だって都内にいくつもあれば、近郊には幕張メッセだってある。
 マンションをという声もあるようですが、超一等地に建つ物件を購入できるのは間違いなく富裕層。それも中高年が多数を占めることになるでしょう。
 実際、『日経アーキテクチュア』(2020年3月26日号)が報じるところによると、HARUMI FLAG内に選手村用に建設された分譲マンションSEA VILLAGE、PARK VILLGAEの計2323戸のうち売り出された940戸の50代以上の購入者の割合は35.2%、40代以上となると62.7%にもなるとある。
 40代が子供を儲けないとはいいませんが、絶対数は少ないはずですし、儲けたとしても1人がせいぜいでしょう。この6割以上の入居者は、家族構成が固まり、さらに平均を遥かに上回る所得があり、あるいは蓄財を持ち、交通の便がよく、繁華街へのアクセスが便利な物件に住もうという方々なのです。
 もちろん、それが悪いといっているのではありません。
 大都市への人口集中が少子化に繋がり、家計に占める高額の固定費や、子育てをする環境の不整備が子供を持つに持てない理由であるのなら、それを解決するのは行政、ひいては国の責任だと思うからいっているのです。
 それを富裕層向けに超一等地を売却してマンションを建てたり、総合商業施設や公共施設を建てて終わりにするのは余りにも惜しい。子育てをするのに理想的な環境を整え、経済的な負担を軽減することで、2人、3人と子供を持つ家庭が増えるなら、やってみる価値はあると思うのです。

 

ネスティング・ボックス構想の最適地と目される東京・築地市場の跡地
 
 

 少子化問題が取り沙汰されるようになって長い年月が経ちましたが、これまで打ち出してきた政策は、何一つとして効果がなかったのです。ということは、政策そのものが間違っていたことの証ではありませんか。
 だからいうのですが、オリンピックの選手村をマンションとして分譲すると決まった時には、大変な失望感を覚えたものです。少子化は深刻な問題だとこれだけいわれ続けてきたのに、政治家も役人も必死に知恵を絞っていないことがはっきりと分かったからです。
 それに、ネスティング・ボックスに適した用地は築地の跡地だけではありません。東京近郊には、住宅地を開発するつもりで確保したものの、計画が頓挫し、遊休地となっている政府系の広大な土地が幾つかあるのです。
 たとえば、千葉ニュータウンがそれです。
 70年代のニュータウン開発計画の中で、造成に至ったところまではよかったものの、さあこれからという時に起こったのがオイルショック、そしてバブル崩壊です。
 当初の計画では人口34万人を想定していたのが、上記の理由で14万人止まり。東京まで僅か40キロ。北総線を新設して交通機関も整備したものの、想定していた人口の半分を遥かに下回ってしまったのですからさあ大変。初乗り料金は310円、都内までだと片道1000円もかかることになってしまったのです。
 かといって料金を値下げすれば、経営が維持できません。周辺環境に対する住民の満足度は高いとはいえ、料金がこれほど高額では、首都圏の職場や学校に通う家族がいる人が住む気になれるわけがありません。住人の大半は、近郊の職場に自動車で通勤する人です。千葉ニュータウンから隣のむろの一区間の料金は309円(IC利用)、日本橋(36.0キロ)までとなると、何と1142円(IC利用)! 横須賀線だと、ちょうど東京・横須賀間(65.3キロ)に相当する料金です。
 開発を手がけたのは、千葉県と旧住宅公団、現在のUR(都市再生機構)ですが、いうまでもなく原資は税金が大半です。
 これだけの遊休地を何十年も眠らせておくのは、どう考えてももったいない。
 もはやニュータウン事業のような住宅地を開発し、分譲するといったビジネスモデルが成り立つ時代ではありません。バブル以前には、各地でニュータウンの開発事業が盛んに行なわれ、特にニューファミリー層といわれる子供を持つ若い世代から絶大な人気を集めたものでした。しかし、数十年の歳月を経たいま、子供は独立して他所の地に住居を構えて離れてしまい、住人の大半が高齢者ばかりとなった街はたくさんあります。
 賃貸団地にしても、計画当初は住み替えによる転出増とファミリー層の新たな転入が生じると考えられていたのが、子世代の転出が進む一方で、親世代は住み続ける入居者が多く、空き室も増加する傾向にあります。分譲戸建てに至っては建物が老朽化し、売りに出してもなかなか買い手がつかず、空き家も増えています。
 再開発をしようにも、住み続けている住人がいる限り、着手できません。かくして、かつてはブランドであったニュータウンも、すっかり魅力に乏しい街となってしまったところは、たくさんあるのです。
 その点、子育ての街は下の子供が中学を終えた時点で退去を迫られるのです。それこそ、住宅公団が計画当初に考えていた〝住み替えによる転出増とファミリー層の新たな転入〟が継続的に発生することになるでしょうし、居住者もまた、その時に備えて浮いた賃貸料金を住宅購入費とすべく貯蓄に励むでしょう。
 そんなものを建てれば、アパートやマンション経営者が大打撃を被る。民業圧迫だとか、公金を使ってそこまでする必要があるのかとか、同じ問題を抱えている国民は日本全国に存在する、大都市圏だけの特権になる、といった声が上がるでしょう。
 それ以前に、仮に子育ての街を設けたとしても、入居者の所得、生活観、価値観は千差万別です。集合住宅に住民間のトラブルは付きものですから、様々な問題が発生することは想像に難くありません。
 しかし、都市部に住み、都市部で働くことを選択する若者が数多くいる限り、経済的負担と子育ての環境を劇的に改善しない限り、少子化問題を克服することは不可能です。
 第一章でも述べましたが、人口減少は、文化、風習、言語、経済と、日本人が営々と受け継ぎ、築き上げきた全てのものを失いかねない、極めて深刻な問題なのです。
 非才の身には、この程度のことしか思いつきません。作家の妄想と失笑されるかもしれませんが、ならばより現実的、かつ効果的な策を、この機会に真剣に考えていただきたい。
 本来ならば、策を提示し、実行するのは政治の務めですが、はっきり申し上げて与野党を含め、現在の政治家には全く期待できません。
 野党はひたすら政権批判に執着し、与党のご重鎮は先のことなど知ったこっちゃない、明日の飯より今日の飯といわんばかりに、長期的ビジョンに立った政策を立案する議員は一人としていません。
 それももっともな話で、十年先には存命かどうか分からない高齢者ばかり。自分が存命である間は議員でいられればいいと考えているとしか思えないのです。
 官僚もまた同じです。
 合計特殊出生率が人口維持に必要な2.1を割り込んで長い歳月が経ち、少子化の先にどんな社会が持ち受けているか分かっているはずなのに、前例に拘り、斬新な政策を打ち出してでも事態の打開に全力を尽くすという姿勢はじんも見えません。この間、根本的な打開策を打ち出すこともできなければ、試してみることもなく、ただ児童手当や保育所の数を増やす程度の政策でお茶を濁してきたのです。
 これらの政策に注ぎ込んだ予算を使えれば、もっと大胆な政策を打ち出すことができたはずなのに、誰もしなかった。いや、立案しようとした官僚はいたのかもしれませんが、失敗に終わった時のことを恐れ、「俺が責任を持つ」といえる腹の据わった上司がいなかったのかもしれませんね。
 繰り返しになりますが、少子化の果てに待ち構えているのは、日本の慣習や言語までもが消滅しかねない、国のあり方が根底から変容してしまう現実なのです。
 我々の孫子の世代が、安心して暮らせる国であるためには、国内のどこに住もうと、安定した収入を得られ、家庭を持ち、子供を産み育てていける環境の整備が必要不可欠なのです。
 もっとも、「時代の流れには逆らえない。人口が減る分、移民を入れりゃいいだけじゃねえか」とおっしゃるのなら、別ですが……。

 

長い間、ご愛読ありがとうございました。
本作品は小社より刊行される予定です。

プロフィール

楡 周平(にれ しゅうへい)

1957年岩手県生まれ。慶應義塾大学大学院修了。米国企業在職中の1996年に『Cの福音』でデビュー、翌年より作家活動に専念する。「朝倉恭介シリーズ」「有川崇シリーズ」「山崎鉄郎シリーズ」をはじめ、『再生巨流』『介護退職』『虚空の冠』『ドッグファイト』『プラチナタウン』『ミッション建国』『国士』『バルス』等、緻密な取材に裏付けられた圧倒的スケールの社会派エンターテインメント作品を世に送り出している。近著に『TEN』『終の盟約』『サリエルの命題』『鉄の楽園』がある。

 
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初出:P+D MAGAZINE(2020/08/10)

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