ヴァイタル・サイン

「推してけ! 推してけ!」第11回 ◆『ヴァイタル・サイン』(南 杏子・著)
評者・西川史子(医師・タレント)あまりに無常で、どうにもやるせない現実との闘い 一言でいうと、医療現場の日常を当事者の目線でリアルに描いた小説。私にとっては身近に感じられる出来事の連続で、気が付くと、一気に読み終えている自分がいました。看護師さんからの目線で、多くの患者さんに感じること、そこから自分の人生について考える
ヴァイタル・サインためし読み
プロローグ 「脈拍一二〇、血圧七八─五〇、体温三七度二分、呼吸数二四、意識混濁。どんな状況を想像しますか?」 皆、口をつぐんでいた。問いかけの内容を理解していないのだろうか。あるいは興味がないのか。もどかしさを感じながら、次の質問を投げる。「では、この血圧について言えることは?」 一人の手が上がった。「ショックです」いつも答えてくれる優秀な子だった。
南 杏子『ヴァイタル・サイン』
追いつめられないでほしいから 主人公が女性医師でない物語を書いたのは初めてです。医療現場で患者さんや家族に最も近い存在が看護師さん。命の最前線にいる緊張やストレスがあるにも関わらず、決して逃げずに献身的で、共感力があり、いつも笑顔を見せてくれます。そんな姿がとても魅力的で、神々しさすら感じていました。