『進撃の巨人』アメリカ版・「北欧神話」を題材にした作品がヒット |ブックレビューfromNY【第16回】
NY在住のジャーナリスト・佐藤則男が紹介する、アメリカのベストセラー事情と、注目の一作をピックアップするコラムの16回目。今回は、『進撃の巨人』アメリカ版ともいえる作品をピックアップして紹介します。
<第16回>「北欧神話」を題材にしたアメリカ版『進撃の巨人』
Norse Mythology/ by Neil Gaiman
Norton, 2017. 299ページ. US$25.95
今月のベストセラー事情
今月の「ニューヨーク・タイムズ ベストセラー事情」は、ハードカバー・フィクション部門のトップ10 (2017年3月5日の週)[1]を紹介する。
1. Lincoln in the Bardo
By George Saunders
Random House
1862年2月、エイブラハム・リンカーンの11歳の息子のウィリーは手厚い看病の甲斐なく病死した。二日後、ウィリーの遺体はジョージタウンの墓地の地下埋葬室に安置された。その夜、地下埋葬室で悲しみにくれながら息子の遺体と一緒に過ごしたリンカーンは、墓場中のゴーストたちに遭遇するという不思議な体験をした。
(ベストセラー初登場)
2. Norse Mythology
By Neil Gaiman
Norton
神話に影響されたSFやファンタジー小説、コミックを書いてきた作家が、北欧神話そのものを語る。
(ベストセラー2週目)
3. Echoes in Death
By J.D. Robb
St. Martin’s
家に帰る途中のニューヨーク市警の警部補イブ・ダラスと彼女の大金持ちの夫の車の前に突然よろめきながら現れた血まみれの裸の若い女性……。イブ・ダラスが主人公のシリーズ44作目。 著者名J.D. Robbはロマンス小説作家のNora Roberts がミステリー小説を書く時のペンネーム。
(ベストセラー2週目)
4. Heartbreak Hotel
By Jonathan Kellerman
Ballantine
心理学者アレックス・デラウェアとロス市警の警部補ミロ・スタージスは老婦人のミステリアスな死を捜査する。「アレックス・デラウェア」シリーズ32作目。
(ベストセラー初登場)
5. Never Never
By James Patterson and Candice Fox
Little Brown
シドニー市警の刑事ハリエット(ハリー)・ブルーは自分の兄(弟)が3人の女性殺人事件の重要参考人になっていることを知り驚愕する。メディアの好奇の目を避けるためにハリーはパース市警に移動になり、行方不明になっている鉱山労働者ダニー・カーターの捜査をすることになった。捜査が進むにつれ、ほかにも行方不明者がいることがわかってきた。
(ベストセラー5週目)
6. Two by Two
By Nicholas Sparks
Grand Central
32歳でラッセル・グリーンはすべてを手に入れていた。美しい妻、可愛い6歳の娘、広告マンとしての輝かしいキャリア、そして広大な自宅。しかしある日、すべてがひっくり返ってしまった。妻と職をなくし、娘と2人きりになってしまったのだ……。
(ベストセラー20週目)
7. The Whistler
By John Grisham
Doubleday
フロリダのBoard on Judicial Conduct(裁判官品行審議会)の捜査官レイシー・シュトルツは、ネイティブアメリカン居留地に建設されたカジノを巡り、マフィアから多額の賄賂が裁判官に流れているという訴えを捜査することになった。
(ベストセラー17週目)
8. The Girl Before
By J.P. Delaney
Ballantine
サディスティックな建築家は住む人(若い女性)を思いのままに支配するようなモダンな家を建てた。心理スリラー。
(ベストセラー4週目)
9. The Underground Railroad
By Colson Whitehead
Doubleday
南北戦争前の米国南部ジョージア州のプランテーションで過酷な運命を強いられていた奴隷の少女コラは、奴隷解放を目的とする《地下鉄道》の存在を知った。そして《地下鉄道》に乗って未知の自由へ踏み出した。アメリカ黒人史上、実際に存在した奴隷解放のための市民ネットワーク《地下鉄道》をテーマにした小説。
(ベストセラー28週目)
10. Right Behind You
By Lisa Gardner
Dutton
元FBIプロファイラーのピアス・クィンシーとパートナーのレイニー・コナーは里親として女の子を養育している。女の子の兄は8年前、妹と自分を守るため酒乱の父親を殺した。そしてその兄はまた殺人を犯した。「クィンシー&レイニー」シリーズ7作目。
(ベストセラー3週目)
[1] “A version of this list appears in the March 5, 2017 issue of The New York Times Book Review. Rankings reflect sales for the week ending February 18, 2017. Lists are published early online.”(このベストセラー・リストは2017年3月5日のニューヨーク・タイムズ紙ブックレビュー欄に掲載。リストは2月18日で終わる週の売り上げをもとに作成されている)