【先取りベストセラーランキング】1985年のディストピア小説『侍女の物語』待望の続編! ブックレビューfromNY<第47回>

NY在住のジャーナリスト・佐藤則男が紹介する、アメリカのベストセラー事情と、注目の一作をピックアップするコラムの47回目。今回は2017年にアメリカでテレビドラマ化され、大きな話題となった1985年出版のディストピア小説『侍女の物語』の続編を紹介します。

<第47回>1985年ベストセラーのディストピア小説『侍女の物語』で明かされなかった「その後」を描いた続編

ATWOOD書影
The Testaments/ by Margaret Atwood
Nan A. Talese/Doubleday, 2019.419ページ. US$28.95

今月のベストセラー事情

今月の「ニューヨーク・タイムズ ベストセラー事情」は、ハードカバー・フィクション部門のトップ10 (2019年10月6日の週)[1]を紹介する。

1.The Institute

By Stephen King
Scribner

深夜、ミネアポリス郊外の閑静な住宅地で殺人事件が起こった。侵入者は両親を殺し、眠っている息子のルークを誘拐した。窓のない部屋で目覚めたルークは、次第に自分と同じように特殊な才能を持つ子供たちが、同じ施設の別の部屋に閉じ込められていることに気付いた。この施設では子供たちの才能を搾り取るためにあらゆる手段が用いられ、用済みになった子供たちは姿を消した……。
(ベストセラー2週目)


2.The Testaments

By Margaret Atwood
Nan A. Talese/Doubleday

1985年に出版された『侍女の物語』(“The Handmaid’s Tale”)の時代から約15年後に、3人の女性が証言した「その後」の物語。
(ベストセラー2週目)


3.Where the Crawdads Sing

By Delia Owens
Putnam

1969年、ノースカロライナ州の静かな町でチェース・アンドリュースの死体が発見された時、地元の人たちは、湿地帯で一人暮らしをし、「湿地帯の娘」と呼ばれていた若い女性を犯人だと思った。
(ベストセラー55週目)


4.Land of Wolves

By Craig Johnson
Viking

メキシコから戻ったワイオミング州の保安官ロングマイヤーは、首を吊って死んだ羊飼いが自殺か他殺かの捜査を始めた。そして逃走中の一匹の狼と殺人犯がこの件と関連があるのではないかと疑った。 「ウォルト・ロングマイヤー」シリーズ15作目。
(ベストセラー初登場)


5.The Girl Who Lived Twice

By David Lagercrantz
Knopf

リスベット・サランデル(ドラゴン・タトゥーの女)はついに宿敵と対峙しようとしていた。「ミレニアム」シリーズ6作目。
(ベストセラー4週目)


6.The Oracle

By Jonathan Cahn
Front Line

7つの鍵を持った旅行者は7つのドアを順に開けてゆく。そしてそれぞれのドアの向こうには、現代の世界を変えるような重大な出来事の背景に潜む古代の謎が隠されていた……。
(ベストセラー3週目)


7.Killer Instinct

By James Patterson and Howard Roughan
Little, Brown

ディラン・ラインハート博士とニューヨークの刑事エリザベス・ニーダムはニューヨークで起こったテロ事件の解決のため、殺人犯を追う。Instinctシリーズ2作目。
(ベストセラー2週目)


8.Red at the Bone

By Jacqueline Woodson
Riverhead

2001年、16歳のメロディのために祖母のブルックリンの家でお祝いのパーティが開かれ、彼女はオーダーメイドのドレスを着て登場した。このドレスは実は16年前、メロディの母の16歳のお祝いのパーティのために仕立てられたものだったが、結局16年前のパーティは開かれなかった……。メロディの両親や祖父母に関するファミリー・ヒストリー。
(ベストセラー初登場)


9.The Titanic Secret

By Clive Cussler and Jack Du Brul
Putnam

ダーク・ピットは偶然1世紀前の名探偵アイザック・ベルの残した文書を発見した。ダーク・ピットとアイザック・ベルは、世紀をまたいでタイタニック号の遭難の謎に挑むことに……。「アイザック・ベル」シリーズ11作目。
(ベストセラー2週目)


10.A Better Man

By Louise Penny
Minotaur

カナダのケベック州警察の警部アーマンド・ガマッシュは、ちょうど州全体が洪水の危機に見舞われている時、行方不明の娘を探してほしいという父親の依頼を受けた……。「警部アーマンド・ガマッシュ」シリーズ15作目。
(ベストセラー4週目)


先月からリストに残っているのは、ベストセラー55週目のロングセラー作品“Where the Crawdads Sing” のみだ。そのほかはすべて、過去4週間以内にベストセラー入りした新作ばかりだ。

今月は、ベストセラー2週目、第2位の “The Testaments”を取り上げたいと思う。この作品は前週、第1位で初登場している

[1]“A version of this list appears in the October 6, 2019 issue of The New York Times Book Review. Rankings reflect sales for the week ending September 21, 2019. Lists are published early online.” (このベストセラー・リストは2019年10月6日のニューヨーク・タイムズ紙ブックレビュー欄に掲載。リストは2019年9月21日で終わる週の売り上げをもとに作成されている。)

アッシュ・スミス『千葉の殺人』
鈴木るりか『太陽はひとりぼっち』