【NYのベストセラーランキングを先取り!】ガブリエル・ゼヴィン最新作! ビデオゲーム会社を立ち上げた3人の群像劇 ブックレビューfromNY<第80回>

NY在住のジャーナリスト・佐藤則男が紹介する、アメリカのベストセラー事情と、注目の一作をピックアップするコラムの80回目。『書店主フィクリーのものがたり』などで日本でも人気のガブリエル・ゼヴィンが、20世紀終わりのビデオゲーム最盛期に、ビデオゲームを共同で開発・製作して会社を立ち上げたアメリカの大学生たちを主人公にした小説を紹介します。

<第80回>日本でもおなじみの人気作家が贈る、ビデオゲーム開発に没頭した3人の大学生の群像劇


Tomorrow, and Tomorrow, and Tomorrow/ by Gabrielle Zevin
Knopf, 2022.416ページ. US$28.00.

今月のベストセラー事情

今月の「ニューヨーク・タイムズ ベストセラー事情」は、ハードカバー・フィクション部門のトップ10 (2022 年8月7日の週)[1]を紹介する。

1.Portrait of an Unknown Woman

By Daniel Silva
Harper

伝説的なスパイであり、美術修復師のガブリエル・アロンはイスラエル諜報機関との関係を保っているものの、今はベニスで若い妻と2人の幼い子供と静かに暮らしている。しかし、ロンドンの画商が最近再発見された古い絵画の売買に関わる調査をガブリエルに依頼したことで危険なゲームに巻き込まれる羽目に陥った。「ガブリエル・アロン」シリーズ22作目。
(ベストセラー初登場)


2.The 6:20 Man

By David Baldacci
Grand Central

一流投資銀行で新米アナリストとして働いているトラヴィス・ディヴァインは毎朝、安物のスーツを着て合成革のブリーフケースを持ち、6時20分の電車でマンハッタンに通勤していた。しかし、同僚であり元カノのサラが会社の倉庫で死体となって発見されたことで、彼は経済パワーの殿堂であるこの会社の闇を探る役割を担うことになった。
(ベストセラー2週目)


3.Shattered

By James Patterson and James O. Born
Little, Brown

マイケル・ベネットは新婚旅行から戻った時、元相棒のFBI捜査官エミリー・パーカーの失踪を知った。彼女はどうやらアナキスト・グループを追っていたようだった。エミリーを救出すべく、マイケルは行動を起こす。「マイケル・ベネット」シリーズ14作目。
(ベストセラー初登場)


4.The Hotel Nantucket

By Elin Hilderbrand
Little, Brown

1922年の火事で19歳の従業員グレース・ハドリーが死亡して以来、荒廃していたナンタケット島のホテルがロンドンの富豪に買い取られ、新装オープンした。総支配人として雇われたリズベット・キートンは複雑な過去を持つホテル従業員と客への対応を迫られた。
(ベストセラー6週目)


5.The It Girl

By Ruth Ware
Scout

エイプリルはハナ・ジョーンズがオックスフォード大学に入学して初めて知り合った学生だった。エイプリルは快活で明るく、しかし時として小悪魔的な典型的《イットガール》で、ハナはたちまち彼女の虜になった。エイプリルを中心にウィル、ヒュー、ライアン、エミリーそしてハナはいつもつるんでいたが、2学期の終わりにエイプリルは死んだ。10年後、ウィルと結婚し出産を控えていたハナは、エイプリルを殺害した罪で服役していた元オックスフォード大学のポーターであるネヴィルが刑務所で死んだと聞いた時、過去に終止符を打ったと思った。しかしある日、若いジャーナリストの訪問を受け、ネヴィルが無罪であることを示す証拠を示されたことで、ハナは昔の仲間に連絡してエイプリルの死の謎を探り始めた。
(ベストセラー2週目)


6.Sparring Partners

By John Grisham
Doubleday

書名と同名の中編を含む3作品を収めた、ジョン・グリシャムにとって最初の中編小説集。
(ベストセラー8週目)


7.Tomorrow, and Tomorrow, and Tomorrow

By Gabrielle Zevin
Knopf

MITの学生セイディとハーバード大学の学生サムは卒業の前年、共同でビデオゲームを開発した。そして、サムのルームメイトのマークスも加えた3人はビデオゲーム会社を立ち上げた。
(ベストセラー3週目)


8.Lessons in Chemistry

By Bonnie Garmus
Doubleday

1960年代初めのまだ男性優位の時代、科学者エリザベス・ゾットは唯一の女性研究者として研究所内で難しい立場にあった。数年後にシングルマザーとなったエリザベスは、なんとテレビの料理番組のスターになっていた。
(ベストセラー12週目)


9.The Midnight Library

By Matt Haig
Viking

生と死の境目に存在する《図書館》がある。人生に失望したノラ・シードは自殺を図り、気づいた時、その《図書館》にいた。時は真夜中0時……。
(ベストセラー85週目)


10.Rising Tiger

By Brad Thor
Atria/Emily Bestler

国家の危機ともいえる事態に立ち向かったアメリカのトップ・スパイであるスコット・ハーヴァスはいつもとは勝手が違う状況に戸惑った。「スコット・ハーヴァス」シリーズ21作目。
(ベストセラー3週目)


ベストセラー85週目(9位)のThe Midnight Libraryは引き続き堅調な売れ行きを示している。The Hotel Nantucket、Sparring Partnersも先月から引き続き10位以内にランクされている。

今月は、ガブリエル・ゼヴィンのTomorrow, and Tomorrow, and Tomorrowを取り上げたい

[1]“A version of this list appears in the August 7, 2022 issue of The New York Times Book Review. Rankings on weekly lists reflect sales for the week ending July 23, 2022.” (このベストセラー・リストは2022年8 月7日のニューヨーク・タイムズ紙ブックレビュー欄に掲載。リストは2022年7月23日で終わる週の売り上げをもとに作成されている。)

【著者インタビュー】青山文平『やっと訪れた春に』/男たちの生き様を鮮やかに描く、先の読めない時代小説
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