◎編集者コラム◎ 『宙ごはん』町田そのこ
◎編集者コラム◎
『宙ごはん』町田そのこ

パンケーキ レシピ ふわふわ
パンケーキ ふわふわ ヨーグルト
パンケーキ ヨーグルト 簡単
単行本『宙ごはん』の発売前に、パンケーキを焼いた。ヨーグルトがキモだった。ぐるぐる混ぜるだけで美味しくきれいに焼けた。文庫化にあたって、同じレシピで焼こうと検索したけど、見つからなかった。
パンケーキを焼いてから、この原稿を書こうと思ったのに。仕方がないのでパソコンに向かう。ふと、『宙ごはん』についてどこかで書いたことがある気がした。どこかって、「小説丸」以外に考えられないんだけど笑。
あった。「2023年本屋大賞」の候補作にノミネートされたときの全力PRだった。
読み返して驚いた。『宙ごはん』はもともと書き下ろしだったこと。ノワール風味の幻の第五話があったこと──だからか……!
町田そのこさんの最新刊『月とアマリリス』は、著者初のサスペンス作品とうたっている。執筆にあたり、「実在の事件をもとにした作品を」「ミステリーを、サスペンスを」とお話したことが始まりだった。
その提案に町田さんは驚いていたけど、ちゃんとその筆力があることを『宙ごはん』のときに提示してくださっていたんだった。
今度はわたしが驚いた。
はっ……! 『宙ごはん』のことを書くつもりが新刊の話をしてしまいました。
『宙ごはん』の文庫には、単行本の初版カバー裏に掲載した掌編のほか、この物語の未来を照らすような掌編(書き下ろし!)を収録しています。単行本で読まれた方も、ぜひお読みください(何度も読んできたからと油断していたら、わたしはあるシーンでうわわーんてなりました)。
文庫化にあたり、作家の寺地はるなさんに解説をいただきました。本作のことはもちろん、町田さんの作品の魅力を紐解き、その的確さに、膝をバシバシ打ちながら拝読しました。こちらも、ぜひぜひお読みいただきたいです。寺地さん、ありがとうございます。
フリーアナウンサーの堀井美香さんには、単行本の刊行時に推薦文をいただきました。その一説を文庫の宣伝にも使っています。堀井さん、ありがとうございます。
宣伝担当がショート動画を作成しました(感謝!)。胃袋をくすぐる素敵な映像となっています。どこかで見かけたら、反応していただけると嬉しいです。
結局、パンケーキは別のレシピで焼いた。それほどふくらまなかったし、上手く焼けたのは、最後に残った生地で焼いた小さめの一枚だけだったけど、家族と食べたら美味しかった。
三年が経って、猫は二匹になった。『宙ごはん』は、家族の物語だ。

──『宙ごはん』担当編集者より