◎編集者コラム◎ 『見知らぬイタリアを探して』内田洋子
◎編集者コラム◎
『見知らぬイタリアを探して』内田洋子

色を通してイタリアの素顔を描き出す随筆集
読むうちに色の向こう側から、これまで見えていなかったイタリアが浮かび出してきます。
イタリアをテーマにした名エッセイストとして知られる内田洋子さんは、長くイタリアに暮らし、40年以上日本とイタリアを往還されてきました。
そんな内田さんが、イタリアの「色」をテーマに十五の物語を紡いだのが今作品です。
〈大聖堂の暗闇に舞った黄色は警告なのか、抗いか、挑発か・・・〉
湖の島にある修道院で見た禁断の光景とは『ゴージャスな人』。
近所で可愛がられた少年の旅立ちに贈られたもの『おめでとう、ロベルト』。
サンマルコ広場で学生たちが遭遇した奇跡の光景『暮れて、明ける』。
ナポリの台所で北イタリアの工場で目撃した燃えるような体験『赤い理由』。
マグロを追って生きてきた男たちが語る命の物語『海から生まれる』。
ほか、馥郁たる味わいに包まれる十五色十五編のエッセイ。
解説は翻訳家の古屋美登里さんです。
内田の文章には、イタリア語が暮らしの中心にありながら日本語で書き続けることから生まれる緊張感がある。母語の外で暮らす者だけが知る緊張感、と言えばいいだろうか。外国語を知って初めて母語を深く理解する、というゲーテの有名な言葉がある。内田もイタリアで暮らし、その風土や言語に身を投じたからこそ、日本語の特異性や多彩さをこれほどまで巧みに使いこなす自由を手に入れたのではないか。内田が異者として存在し、母語で書き続けたからこそ、魔術師のように言葉で魅了する術を手に入れたのではないかと私は思う。
(解説より)
〇目次とテーマカラー
マフラー貸します 「紫」
肌合いの違い 「ピンク」
海にオリーブ 「緑」
老いた船乗りと猫 「灰 」
ゴージャスな人 「黄」
おめでとう、ロベルト 「青」
太陽からの贈り物 「オレンジ」
本屋とコーヒー 「茶」
さみしいクリスマス 「金」
暮れて、明ける 「白」
赤い理由 「赤」
ミラノの黒 「黒」
暮れていく 「銀」
海から生まれる 「透明」
どんな光にも色がある 「虹」
──『見知らぬイタリアを探して』担当者より






