ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第165回

「ハクマン」第165回
担当ガチャは同時に作家ガチャでもある。

それと同じように、新人編集者指導のために、担当が二人体制になるということは珍しくない。

ただし私に初めてついたサブ担当は、雑誌の看板作品のサブ担当をしていたが、あまりに態度が悪いことで放逐され、私のサブ担当になるという流れだったため、長らく「本土で罪を犯した奴が私のところに流されてくる」という認識だったが、どうやら必ずしもそうではないらしい。

もちろん、内部でどのような配置がされているのかはわからないので、私の担当は刑罰扱いなのかもしれないが、大体は新人がやってくる。

確かに私の仕事は流れ作業っぽいので、新人が仕事の流れを学ぶにはちょうどいい作家なのかもしれない。

しかし、編集者の仕事を作家と一緒に作品づくりをしていくものと捉えるなら、私はドブ中のドブ作家である。

まず、打ち合わせをしようとしないため、作品がこれからどういう方向に進むのかわならないまま担当しなければいけないし、提案や感想を述べても無反応なのである。

実際は担当の感想や意見は聞いてはいるし、それを反映させることもあるのだが、意見に対しレスを返さず、直作品に反映させるだけなので、人によってはフルシカトされていると感じるかもしれない。

自分の好きにやって好きに死んでいく作家と捉えれば、手がかからないと言えなくもないが、相手は新人である。

少しでも作品が良くなるように、そしてパイセンにやる気があるところを見せるために、作品に対し様々な意見や提案を述べてくるかもしれない。

それに対し私が「原稿データ送ります」しか返さないことで、やる気を削いでしまわないか心配ではある。

漫画とは作家と編集が二人三脚で作っていく仕事だと教えこむためには、毎日8時間の打ち合わせを所望してくる作家につけてあげた方がいいのではないかと思う。

ハクマン第165回

(つづく)
次回更新予定日 2026-7-8

 
カレー沢薫(かれーざわ・かおる)

漫画家、エッセイスト。漫画『クレムリン』でデビュー。 エッセイ作品に『負ける技術』『ブスの本懐』(太田出版)など多数。

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