ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第24回
出版社主催の漫画家の集いに行ったことがない。
それに私は、自分がサクセスできないことより、他人がサクセスする方が許せないという、不幸になるために生まれて来た生物である。
不用意に漫画家の知り合いが出来ると、そいつがサクセスしたというニュースを聞くたびに恨まなければいけなくなる。
もちろん「会ったこともない作家のサクセス」も恨んでいるのだが、顔を知っているとより具体的に死を祈らなければいけなくなってしまう。
まだ「売れている漫画家の概念」を恨んでいる方がマシだ。
それでもデビューして1年ぐらいは、同業者と出会うようにはしていたのだが、その人たちも売れた順からツイッターをミュートしていったところ「誰もいなくなった」のである。
こんなに悲しいことが起こるなら、最初から出会わなければ良かったと、サウザー様のように泣いた。
よって、今では積極的に作家の知り合いは作らないようにしている。
そんな人間が、漫画家だらけのパーティに行くというのは自ら労災を起こしに行っているようなものだ。
もちろん、作家に労災保険というものは存在しない。
そして第一に私はプライベートで漫画関係者に会って漫画の話をしたくないのだ。
休日に会社の人間と会って会社の話をしたいだろうか? それと同じである。
しかし、漫画家同士はプライベートでも熱く漫画の話をしている、というのも「アイドルはウンコしない」程度の私の妄想なのかもしれない。
意外と全員「プライベートで漫画の話なんかしたくねえ」と思っており、風俗やガンプラの話だけしている可能性はある。
もしくは、編集者の悪口、その場にいない作家の醜聞の話ばかりしているのかもしれない。
そうだとしたら、漫画家の友人も欲しい気がしてきた、「担当サイコパス選手権」ならかなり上位に食い込めるはずだ。
しかし、私は担当や他の作家の悪口で盛り上がっていた友人作家が売れたら、今度はそいつの悪口を言う自信がある。
煌びやかな出版社パーティに出席することで、ますます自分の人生を薄汚す、それが俺だ。
ツイッターに流れてくる豪華な忘年会ツイートをリツイートし「呼ばれてないぞ!(笑)」とエアリプをするのがお似合いなのである。
それすらしなくなったら「本当に呼ばれなくなったんだな」と思って欲しい。