ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第26回
この季節、「年末進行」だけでなく、
軽々しく聞かれる「来年の抱負」にも
文句を言わせてほしい。
軽々しく聞かれる「来年の抱負」にも
文句を言わせてほしい。
作者コメントに限らず「来年の抱負」というのは、自分から言い出すのは良いが、他人に聞くものではない。
人生に目標がないのは決して悪い事ではないのに、相手はなくても「ない」とは答え辛いのだ。
面接とかで聞くのは良い。
あれは「それらしいことを言うべき場で、それらしいことが言えるか人間か」という社会性テストである。
もしくは破天荒なことを言ってイケメン若社長に「おもしれー女」と、気に入られるのをワンチャン狙うためにある。
それと同じことを、雑談や、まして作者コメントで求められるのはどう考えてもおかしい。あそこでどう答えても、アラブの石油王子が「貴女ハ面白い人デスネ」とは思ってくれないだろう。
さらに「健康」「現状維持」とか言うと「普通」「つまらない」と「すべったみたいな空気」になってしまうというおまけつきだ。
私が作者コメントを嫌うのは、聞かれたからにはそれなりに考えてしまうため、存外時間がかかってしまうのだ。
よって、質問を考えるほうも「年末だから来年の抱負だ」などと適当なことをせず、「あなたは犬ですか?」など、全部「はい」「いいえ」で答えられる質問を真剣に考えてほしい。
それと「今年一年を振り返って」という質問もやめるべきだ。
「振り返りたくない1年」を送った人間だっているのである。
それをわざわざ振り返させるというのは倫理に反する。
このように、目次コメントというのはいとも容易く倫理やコンプライアンスに反しているので、とても令和に残って良い文化とは思えない。
よって年末にコメントを求められた場合は「来年は作者コメントがなくなっていますように」と返すようにしている。
それに対して担当から「来年も確実にあります」という返事が返ってきた。
もうこの時点で、抱負どころか2020年に希望がない。
(つづく)