ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第93回
私のサイン本はいつからか
「ガチャ形式」で
行われている。
そんなわけで、毎回本が出るたびに、可能な限りサイン本は受けるようにはしているのだが、サイン本というのは意外とサイン以外に労力がかかるのである。
まず、TOKIOがラーメンを作るのに畑を耕すところから始めるように、私のサイン本は部屋の掃除をする所から始まる。
何故なら私の部屋にデフォルトで単行本を置けるスペースなどないからである。
またそうしないと、皆様のお手元にきな粉餅のごとくパブロソがまぶされた本が届いてしまう。
また私の仕事部屋は2階にあるため、合計100冊だとしたら10冊ずつ本を持って階段を10往復することになってしまい、もはや筋トレ、もしくはリハビリである。
サイン本を段ボールに戻すのはそこまで手間ではないが、最後に封をするガムテープがなくて発狂するまでがサイン本である。
だが、どこの出版社も、宛名記入済みの着払い送り状を同梱してくるところはさすが社会性があると思う。
しかし、もう一つ贅沢が許されるなら「サインペン」を入れて欲しい。
部屋を掃除し、単行本を2階まで持って上がり、最初の一筆目が「限りなく透明に近いグレー」で発狂するのも様式美になりつつある。
私が使い切ったサインペンをちゃんと捨てると思ったら大間違いだ、部屋にあるサインペンの3本中3本使い切っており、内2本細い方のキャップを無くしているのがこの俺だ。
このように「タダだから死ぬほど担当に文句が言える」という意味でも、やはりサイン本は引き受ける価値がある。
(つづく)
次回更新予定日 2022-10-25