石田衣良のおすすめ作品5選!若い感情を巧みに描く

『池袋ウエストゲートパーク』など爆発的な人気作品で有名な石田衣良。若者たちの生きる姿を描いた作品が多く、小説の中で若者独特の複雑な心情や葛藤が巧みに表現されています。女性が書いているのかと思ったという印象を持つ人が多いように、恋愛小説では、女性の切ない気持ちがうまく描かれておりその繊細な表現力には定評があります。

4TEEN

4TEEN
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4101250510

第129回直木賞受賞作。多感な時期の若者の悩みや、心の葛藤を描いた作品。舞台は東京の下町、月島。そこで暮らす4人の中学生たちはいつも一緒に行動しています。少年たちが友情や恋など様々な経験を経て大人へと成長していく姿がリアルに表現されています。さわやかな青春ストーリーというよりは、病気やいじめ、アルコール依存症、家庭内暴力、同性愛などかなり重いテーマが扱われています。

池袋ウエストゲートパーク

池袋ウエストゲートパーク
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4167174030

第36回オール讀物推理小説新人賞を受賞した作品。著者のデビュー作であり、11作品まで続く人気シリーズとなっています。宮藤官九郎による脚本、長瀬智也や窪塚洋介などのキャストでドラマ化され話題となりました。主人公は実家の八百屋を手伝いながら、夜は仲間と池袋西口公園にたむろして所在なく過ごしている真島誠。正義感が強く人に好かれ周りから一目置かれている誠が、トラブルを解決していく物語です。

娼年

娼年
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4087476944

第126回直木賞の候補作ともなった、長編恋愛小説。松坂桃李主演で舞台化され話題となりました。主人公は20歳の大学生、森中領。領は女性に興味がなく恋愛も楽しめず、バーテンダーとしてバイトをしながら暮らしています。そして、友人の紹介で知り合ったボーイズクラブのオーナー、静香にスカウトされ男娼として働き始めることに。自分を買う女性たちと出会い関係を持つうちに、領の気持ちに変化が生じ始めます。男娼という仕事を通して一人の青年が成長していく姿が描かれます。

美丘

美丘
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4043854021

2010年に、吉高由里子、林遣都の主演でドラマ化された作品です。
主人公の橋本太一は本が好きな大学生。大学の準ミスにもなった美人の恋人がいる太一ですが、気が強く自由奔放な峯岸美丘に出会い、徐々に惹かれていきます。しかし美丘は治療法のない難病を発症しており、それを告げられる太一。そして太一は病気を抱えながら生きる美丘と同棲を始めることに。すると美丘は太一にある約束をして欲しいと言い出す。命が与えられていることのすばらしさを思い出させてくれる、苦しく切ないラブストーリーです。

スローグッドバイ

スローグッドバイ
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4087478165

切ない恋の物語10編の恋愛ストーリーからなる短編集。恋に傷つき泣くことができなくなった女性、ネットで知り合い付き合うことになった男女、デリヘル嬢に恋をした男性……。表題作の『スローグッドバイ』は、別れることがわかっているカップルが最後のデートをするというストーリー。最後のデートではどんな会話が交わされるのでしょうか。いろいろなかたちの恋愛が描かれていて、どこか懐かしくもあり、かつ多くの恋愛を疑似体験したかのような作品になっています。

最後に

小説家になる前はフリーランスのコピーライターとして活躍していた石田衣良。その影響か、センセーショナルなテーマや作風で話題を集めることも多い石田衣良作品。広告コピーのようなハッとさせられるセリフもたくさん登場します。繊細な心情描写やセリフにも注目して作品を楽しんでみてください。

初出:P+D MAGAZINE(2016/11/27)

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