ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私

漫画家・カレー沢薫による連載毒舌エッセイ。

NEW
ハクマン第96回
前回部屋にG(ゴリラ)が出現したことにより、部屋の掃除が急務となり、そのどさくさで古いPCを搬出し、新しいPCの導入に成功した。名作ギャグマンガ「稲中卓球部」に寝ている女のパンツを起こさないように脱がせる「パンツ職人」というのが登場したことがある。手練れのパンツ職人にとって相手の「寝返り」はピンチではなく様々な摩擦に乗
ハクマン第95回
漫画家になって十数年、他の作家と交流することはほとんどなかったが、Twitterのボイスチャット機能に依存するようになってから、漫画家と話す機会が増えた。そこでわかったのは「漫画家は9割心療内科に行っている」ということだが、スタンド使い同士が惹かれあうように、たまたまそういう作家が集まってしまっただけだろう。「家にトレ
ハクマン第94回
今年もあと3ヶ月である。毎年こう言ってため息をついている人間は時間が無限にあったとしても何も成し遂げないので安心してほしい。そもそも何を成し遂げていようと時間は流れるのだ。時間の流れを筋肉で止めることができるというなら、今年がすでに3ヶ月しか残ってない奴は筋トレ不足だったとして反省の余地がある。だがきんにくんの今年だっ
ハクマン第93回
サインが終わる前にサインが始まる。ついに俺のスピードがコブラを超えてしまった。そう思ったが、どうやら周回遅れだったようで、コブラ君と教室に戻ろうとしたら、お前はもう一周と先公に言われてしまった。私は自著が発売するたびにサイン本を書くのだが、先月は2冊発売したため、1冊目のサインが終わらない内に2冊目のサイン本が到着して
ハクマン第92回
防災省もドン引きの大型台風14号がやってきた。我が故郷は他の都道府県から忘れられているのはもちろん、住んでいる者さえ時々自分がどこに存在しているのか見失うレベルの地味県である。しかし、今年は4,630万円誤振込を皮切りに、甲子園で準優勝、その快挙の裏で私の集落は野生の猿に住民が60人以上襲われ、危うく村が滅びかけたりと
ハクマン第91回
先日久しぶりにS学舘から漫画の新刊が出た。この媒体もS学舘なので伏せる必要はないのだが、S学舘のSがシットのSを表しているのはあまりにも有名なので一応伏せさせてもらった。編集に指摘される前から、コンプラを意識するのが令和のデキる作家である。ちなみにシットはもちろんファッキソガッデムシットのシットだ。開始から学びの宝庫…
ハクマン第90回
現在私は漫画をフルデジタルで描いているのだが、デビュー当時はネームを紙に書き、それをファックスで送っていた。つまり私は団塊ジュニア世代で8050問題の50側、80サイドを担当してくれる年金受給者をメン募中、ということになるのだが、実際は団塊ジュニアに魚民で説教されているぐらいの年齢である。よって私がデビューした時にはネ
ハクマン第89回
近い将来人間の仕事はAIに奪われるらしい。そんなものはくれてやれとしか思わないが、どうやら「AIに仕事を奪われ、お前らは餓死する」という脅しの意味らしい。そうだとしたら、人間が困ったことになるとすでに予想されているものを何故一生懸命開発しているのか。人間の仕事がなくなるということはそれだけ税金の世話になる人間が増えると
ハクマン第88回
「小栗くん童貞だったことある?」これはあまりにも童貞の気持ちがわかっていない、小栗旬に対して発せられた名言である。確かに小栗旬ともなれば生まれた時から童貞じゃなかった可能性は十分にある。しかし、我々は皆生まれる時に女性器を通過しているのだ。しかも、体の一部を入ったかと思ったら出す、どっちつかずな態度を取り続けた上に「や
ハクマン第87回
こう見えて私も日本漫画家協会の一員である。そう書いたところで今年度の会費を払っていないことに気づいて払いに行った、危うく一員じゃなくなるところであった。しかし漫画家協会の会費の支払い期日は4月1日から3月31日までなのだ。つまり今年度の会費は今年度中に払えば良いというガバガバビッチ締め切りなのである。さすが、漫画家協会
ハクマン第86回
私はこのようなコラムや漫画など、いわゆるエッセイ系をクソほど書いている。最近エッセイ業界に激震が走る出来事があった。詳細は省く、というか怖過ぎて書けないが、エッセイ漫画のネタにされていた作者の親族側が実はすごく嫌だった、という話である。しかしこのエッセイに書かれた側が激おこ脱糞丸という現象はそこまで珍しくなく、前までジ
ハクマン第85回
恐ろしいことにまた締め切りが近づいているのだが、当然のように書くことがない。あまりにも書くことがなさすぎて何かネタになるようなことがないかとグーグノレで「漫画家」と検索してしまった。漫画家が書くことがなさすぎて「漫画家」でググってしまうというのは、セックスのことを知りたすぎて辞書でセックスと引いた上に蛍光マーカーでチェ
ハクマン第84回
締め切りが終わったと思ったらもう次の締め切りである。この連載を始めて痛感したのは、隔週で漫画家の生活に特筆すべきことが起こるわけがない、ということである。漫画家でなくても、大体の人間はそうだろう。多重債務者でもない限りはそう毎回ジャンプ漫画みたいなアツい展開は訪れない。逆に言えば、今からあらゆる消費者金融から金を借り、
ハクマン第83回
これを書いているのは5月6日であり、人によってはGWが終焉、今日から出社という者もいるだろう。「GW」を「ガッデムウィーク」と読むのは漫画家他、定休という概念がない職業の者にとって常識である。懲役経験者が「2ヶ月」を「ニゲツ」と読むぐらい自然なことだ。だが最近、識者の間で「ゴッサムウィークでは」という新説が提唱されてい
ハクマン第82回
先日Ⓐ先生がお亡くなりになられた。ここでうっかりF先生作品の話を始める痛恨のミスは犯したくないのでちゃんと調べたが、Ⓐ先生といえば、オバケのQ太郎、プロゴルファー猿、笑ゥせぇるすまん、怪物くんなど、どれも我々世代が幼少期一度はテレビで見た作品を生み出したレジェンド作家である。しかし Twitter に流れてきたⒶ先生エ
ハクマン第81回
先日、税理士のところに確定申告の結果をとりに行った。確定申告が終わった後は、納税の喜びを噛み締めるべく、公園の水がぶ飲み、図書館で虚空見つめ三昧、〆に公衆便所でウンコ、という納税フルコースを毎年嗜んでいたのだが、今回はあまりにも税金が高すぎて「公衆便所でゲロ」という、メニューにない奴を頼むことを許された。私もやっと納税
ハクマン第80回
同業者への嫉妬心があまりにも強すぎる、という理由から漫画家としてデビューして以来10年以上、他の漫画家とは極力関わらないようにしていた。関わらなかったところで、刃牙のリアルシャドーにより召喚した、会ったこともないサクセス作家と連日死闘を繰り広げる日々に変わりはないのだが、下手に知っている作家がサクセスしてしまうとリアルに相手を害しに行ってしまう恐れがある。
ハクマン第79回
前回「二週間後確定申告がどうなっているか乞うご期待」と、エッセイに引き、という禁じ手をいとも容易く使ったわけだが、まず二週間経ってしまったことに驚きである。作家は常に「締め切りがくるはずがない」という揺るぎなき信念を持った生き物なのだ。この強い精神力があるからこそ「締め切り前日に白紙」という常人なら狂を発するか、