宇田川拓也

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 昭和十五年、帝大経済学部を卒業して短期現役士官制度に応募した池崎幸一郎は、海軍主計士官となり、金剛級戦艦「榛名」に配属される。山本五十六連合艦隊司令長官の視察を明日に控えたある日、池崎は下士官のひと
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 帯に「舞い乱れる超絶技巧」という、なんとも本格ミステリーファンをわくわくさせる惹句が記された、深水黎一郎『虚像のアラベスク』は、中編ふたつと掌編で構成された書き下ろし作品だ。『エコール・ド・パリ殺人
_月の炎
 小学五年生の一ノ瀬弦太が授業の一環として皆既日食を観察してからほどなく、同級生──森川茜の家が火事になり、さらに学校の兎小屋も燃えてしまう。何者かの放火を疑う弦太は、学級図書で読んだ「ちびっこ探偵」
_少女を殺す100の方法
 いやはや『少女を殺す100の方法』とは、なんとも凄いタイトルをつけたものである。著者の白井智之は、惜しくも受賞は逃したものの横溝賞史上最大の問題作として話題を集めたデビュー作『人間の顔は食べづらい』
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 昭和二十年。美作宗八郎は東京の生家を遠く離れ、片田舎にある名門中等学校──白霧学舎に編入することに。するとそこで、寮長を務める一学年上の滝幸治、美作と同学年同室の斎藤順平のふたりが主宰し、・教授・な
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 昨年、五年ぶりに発表された『「茶の湯」の密室』で第二期が開幕した、愛川晶〈神田紅梅亭寄席物帳〉シリーズ。それから十カ月という早さで上梓された最新作『手がかりは「平林」 神田紅梅亭寄席物帳』は、これま
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 面白本を探し求める全国の読者諸兄よ、読んで驚け! 神野オキナ『カミカゼの邦』は、そう高らかに声を上げたくなる飛び切りの作品だ。  尖閣諸島のひとつである魚釣島の騒動を発端に、日本と中国が開戦。沖縄を
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 そうです。賀川少尉を殺したのはわたしです。──という犯人の独白から幕が上がる、古処誠二『いくさの底』の舞台となるのは、太平洋戦争の真っ只なか、戡定後のビルマの山村だ。  民間人である依井は、賀川少尉
20170731123811-0001 (2)
 拳銃を持った覆面姿の三人組が、甲府市内の宝石店を襲撃。警備員二名を殺傷して奪った宝石の総額は三億七千万円相当。ところが、主犯格のひとりが宝石を持ったまま、冬の北岳の奥へと姿を消してしまう……。  樋