連載小説

◇長編小説◇里見 蘭「漂白」連載第6回
   第一章──自白      1 「どうした。全然食べてないじゃん」  三浦俊也(みうらしゅんや)が言った。  職場近くのワインバル。夕食を誘われ、仕事に区切
◇長編小説◇里見 蘭「漂白」連載第5回
「漂白」目次 「……私は、栗原学さんを殺すつもりなんて、ありませんでした。あのときは、ただ、自分の身を守ろうと無我夢中で……」  嗚咽(おえつ)で、彼女の言葉は途切れた。 「すみません……私からは、
◇長編小説◇里見 蘭「漂白」連載第4回
「漂白」目次  志鶴は、司法解剖を担当した医師による鑑定書を書画カメラで提示した。 「検察側は、栗原氏の死因を、腹部の傷口からの出血による、出血性ショックとしています。救急手術を担当した医師による死
◇長編小説◇里見 蘭「漂白」連載第3回
「漂白」目次  志鶴は、検察側が証拠として請求した、栗原学の死体の損傷状況をイラストにした書面を書画カメラで提示した。 「栗原氏の体には、腹部の傷の他、もう一つ、爪やすりによる傷があ
◇長編小説◇里見 蘭「漂白」連載第2回
「漂白」目次  ──呑(の)まれるな。  胸の中で、ひるみそうな自分を叱咤(しった)し、もはやこの世にはいない相手に声をかける。  ──やるよ。見てて、尊(たける)。
◇長編小説◇里見 蘭「漂白」連載第1回
「漂白」目次    序章──予震  「弁護人、最終弁論をどうぞ」  静まりかえった法廷に裁判長の声が響く。 「はい」  答えた川村志鶴(かわむらしづる)は、弁