『探偵小石は恋しない』森 バジル/著▷「2026年本屋大賞」ノミネート作を担当編集者が全力PR

衝撃的な体験で、現実の見え方が変わる。
「事前情報なしでお読みください」
この注意喚起を、『探偵小石は恋しない』の紹介をするときに常に言い続けてきました。まっさらな状態でお読みいただくことが、本作を一番楽しんでいただく方法だからです。
それゆえに本作は、〝何が面白いのか〟についての情報も限りなく絞られて展開されてきました。にもかかわらずこうして本屋大賞にノミネートいただけたのは、いち早く本作を読んで応援してくださった書店員さんたち、そしてネタバレ禁止を厳守しながら口コミで面白さを広げてくださった読者のみなさまのおかげです。あらためてお礼をお伝えさせてください。本当にありがとうございました。
このエッセイでもネタバレなしで、本作の魅力を紹介させていただきます。
まず、名探偵のような推理案件に憧れる探偵・小石さんと、彼女に振り回されながらも適切なフォローを披露する助手・蓮杖くんという愛すべき探偵コンビ。このふたりの掛け合いがずっと楽しい。ただの雑談でも永遠に読んでいられるのではないかと思うほど、テンポ良くユーモアにあふれています。私が一番好きなセリフは、小石さんの「正論きらーい」です。ぜひみなさんも明日から使ってください。
次に、あふれんばかりのミステリ愛。探偵の小石さんはミステリオタクで、実在するミステリのタイトルが作中に多数登場します。ミステリがいかに面白いものか小石さんは魅力的に語ってくれますし、本作を読了する頃にはミステリの面白さの虜になっているはずです。ぜひ、作中に登場したミステリもお楽しみいただきたいです。
最後に、「そのひと言で、世界が一変する」というメインコピーに象徴される、度肝を抜かれる驚愕体験。なにかあるのだな、と少し身構えて読んでいても騙されてしまう、その衝撃たるや。発売前にお読みいただいた書店員さんのアンケートでは、実に97.3%が「騙された」と回答をくださいました。ただし本作は、〝ただ衝撃的なだけ〟のミステリではありません。衝撃的な体験をすることで、現実の見え方が変わる。そんな経験を与えてくれる作品だからこそ、多くの方に応援いただけたのだと思っています。
驚愕のミステリであり、至高の恋愛小説であり、読後感も抜群で、読んだら人に薦めたくなる作品です。自信をもってお薦めします。ぜひ「事前情報なしで」お楽しみください。
──小学館出版局文芸編集室 中村僚






