住野よるとは?デビューのきっかけやおすすめ作品
ネット上では「キミスイ」という流行語も生まれるなど話題となった作品、「君の膵臓をたべたい」。2016年本屋大賞で2位を獲得し、注目を集めました。著者「住野よる」はどんな人なのか?どういうきっかけで小説家になったのか?住野よるのオススメ作品もご紹介します。
「君の膵臓をたべたい」で注目を集めた住野よる。この作品は本屋大賞2016では第2位、読書メーター読みたい本ランキングでは第1位になり、ネット上では「キミスイ」という流行語も生まれるなど話題となりました。
内容とともに注目を集めたのが秀逸なタイトル。短いけれど印象的でぐっと心をつかまれます。書店でもそのタイトルに惹かれて本作品を手に取ったという方も多いようです。住野よるとはいったいどんな人物なのでしょうか?人気作品の紹介と合わせて住野作品の魅力に迫ります。
(合わせて読みたい:
『君の膵臓をたべたい』が実写映画化。今最も話題を集める作品の魅力を探る。)
住野よるが、小説家になったきっかけ
ペンネームや作品の雰囲気から女性だと思われている方も多いかもしれませんが、住野よるは大阪在住の男性作家。
現在のところ兼業作家のようです。プロの小説家になりたいと考えはじめたのは大学生の頃。有川浩や西尾維新、乙一の作品などに影響を受けていると語られています。
もともとライトノベルが好きで、自分の作品をきっかにライトノベルにも関心を持ってもらえるとうれしいとtwitterでもコメントしています。
住野よるが、WEB小説よりデビューした経緯
高校のころから執筆活動を開始し、それからは毎年、KADOKAWA主催の「電撃小説大賞」に応募するために小説を書き続けていたという住野よる。
当初はライトノベル風の作品を書いて賞に応募していましたがなかなか受賞できず、賞をとるには別のテイストがいいのではと思い書きあげたのが「君の膵臓をたべたい」でした。しかし規定の文字数を超えてしまったため、他の賞への応募へと切り替えたそうです。しかしそれでも受賞はならず。
それでも誰かに読んでほしいという気持ちから、小説家の投稿サイト「小説家になろう」に「君の膵臓をたべたい」を投稿したところ、話題となって書籍化が決定し作家としてデビューすることとなりました。
さて、ここからは住野よるのオススメを紹介いたします。
住野よるのオススメ作品
1.君の膵臓をたべたい
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4575239054
他人には興味を持たずクラスで孤立している「僕」と、天真爛漫でクラスの人気者である「彼女」の物語。接点のなさそうな二人ですが、僕が彼女の日記を拾ったことがきっかけで二人の物語がはじまっていきます。日記を見て、彼女が膵臓の病に冒されていて余命わずかであると知ってしまった僕。自分とまったく違う性格の彼女に惹かれていく僕と、闘病中の彼女に襲いかかる過酷な運命。余命わずかな重い病気というテーマながらも読みやすい文章とテンポのいい会話でスムーズに読みすすめることのできる、さわやかな青春ストーリーとなっています。
偶然、僕が病院で拾った1冊の文庫本。タイトルは「共病文庫」。
それはクラスメイトである山内桜良が綴っていた、秘密の日記帳だった。
そこには、彼女の余命が膵臓の病気により、もういくばくもないと書かれていて――。病を患う彼女にさえ、平等につきつけられる残酷な現実。
【名前のない僕】と【日常のない彼女】が紡ぐ、終わりから始まる物語。
全ての予想を裏切る結末まで、一気読み必至!
2. また同じ夢を見ていた
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4575239453
2作目の出版となるのが、長編小説の「また、同じ夢を見ていた」。同級生を見下していて、クラスにひとりも友達のいない少女。彼女が出会う、リストカットを繰り返す女の子、アバズレとよばれる女の子、静かに余生を生きているおばあさん、そして尻尾の短い猫との物語。それぞれの幸せとは?彼女が出会った女性たちやクラスメイトの桐生君との交流を通して、「人生とはなにか。」「幸せとはなにか。」について考え、ひとりの女の子が成長し大切なことに気づいていく物語となっています。主人公の口癖である、「人生とは○○みたいなものだね。」というたとえにも注目です。
デビュー作にして25万部を超えるベストセラーとなった「君の膵臓(すいぞう)をたべたい」の著者が贈る、待望の最新作。
友達のいない少女、リストカットを繰り返す女子高生、アバズレと罵られる女、一人静かに余生を送る老婆。
彼女たちの“幸せ”は、どこにあるのか。「やり直したい」ことがある、“今”がうまくいかない全ての人たちに送る物語。
最後に、住野よるの気になる名前の由来は?
中性的なペンネームも印象的な住野よる。ご本人がそのペンネームの由来について次のようにコメントしています。
教室のすみっこにいるような子の夜に創造性があるはずだという意味が(後付けだけど)ありますよw。
作品の中でも、友達のいない女の子や男の子がよく登場していますね。タイトルやペンネームにも言葉のセンスが感じられ、今後の作品も楽しみです。
初出:P+D MAGAZINE(2016/08/01)