ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第138回
私にとって東京は
「親の仇」であり、
行くだけで疲れる場所だ。
まず、打ち合わせをする広場的なところに、ファミレスのドリンクサーバーのようなマシンが設置されているのだが、それがヌタバなのだ。
逆に、出てくるのが全部ヌターバックスのコーヒーなため、コーラとメロンソーダを混ぜた謎ドリンクを作れないのだが、ヌタバのサーバー自体はじめて見た。
ヌタバのコーヒーが飲み放題とか、さすがに福利が厚生しすぎてないかと思ったが、別にタダというわけではないようだ。
それでも店で飲むよりは安価であろうし、社内で気軽にヌタバできるなんてさすがですな、としか言いようがない。
だが、さらに「何故かここのコーヒーは経費にならない」という耳より情報を聞いた。この旅一番の収穫と言ってもいい。
つまり、編集者に死んでも自腹を切らせたいと思ったら、打ち合わせ場所をK談社のヌタバが置いてある広場に指定すればいいということだ。
ノードリンクか水筒持参、または「先生、ここペイも使えます」と、作家に自腹購入を促せる胆力を持った編集でなければ、200円ぐらい使わせることが可能である。
他にも都会の駅などには「この箱の中で仕事できます」という、安楽死マシーンみたいなボックスが設置されていることがあるが、それが社内に設置されていた。
明らかに数年前来た時より施設がグレードアップしているのだが、自分が関わっている業界の景気がいいのは何よりだ。
ちなみにヌタバ広場では、昼休みという時間帯でもないのに、爆睡している者が何名かおり、誰もそれを気にしていなかった。
編集者は漫画家と対照的にコミュ力と社会性が必要と言ったが、会社員としては勤務形態や業務内容は自由そうに見えるので、定時出社必須で点呼を取るような会社では働けそうにないが漫画家を目指すほどヤケクソではないという人は編集者を目指してもいいかもしれない。
しかし、定時や決まった仕事に縛られない代わりに「失踪」など、普通の会社ではあまり起こらない事態に対応する臨機応変力は人一倍求められる仕事だと思う。
(つづく)
次回更新予定日 2024-9-11