ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第46回
この業界では自分の作品も
いつか売れる可能性がある
よって、まず存在を知られ、俺様の大事な金を使うべき作品なのかを判断してもらうためには無料公開というのはもはや不可欠だと思っている。
むしろ、1話目すら無料公開しない出版社は何をやっているのだと思う。タイトルと表紙と作者名、あらすじだけで、貴重なお金を使わせようなんて強気が過ぎる。
特に私は「カレー沢薫」という作者名を見た時点で、購買意欲がそがれるというハンデを背負っているのだ。
最近の漫画はツイッター漫画に代表されるように、1話どころか出合って4ページで絶頂させることが重要になってきている。
もちろん4ページで「これは面白い、2兆払う」と思わせられるに越したことはないが、全ての作品がそうではなく、1話では面白さがわからないが、途中から俄然盛り上がってくる物も多い。
そういう作品が、面白くなるところまで読者の目に触れず終わってしまうというのはもったいない。時には思い切って無料で続きが気になる所まで読ませて、話題を作り、続刊を金を出して買ってもらう、という戦法も必要である。
もちろんこの戦法は諸刃の刃である。無料で満足されてしまう場合もあるし、何よりますます「漫画はタダで読むもの」という意識を植え付けてしまい、金払いの悪い読者を増やしてしまう結果にもなりかねない。
作品に金を払わす力がないと言えばそこまでだが、作家にとってプラスになることも多いが、同時にリスクもあり、痛し痒しなのが「無料公開」というものである。
作家として痛いし痒い上に、消費者としてもその恩恵を受けることも拒んでいたら全身の皮膚が爛れてしまう。作家として得が得られないなら、せめて消費者として得したいものである。
よって、違法アップロードなどは論外だが、合法で無料公開されているものはどんどん読んでいただき、それで気に入ったら今度は金を出して買ってくれ、というのが私の意見である。
私も、ピクシブで「推しカプ R-18」検索している時、表示されるエロ漫画バナーをクリックし、試し読みして気が付いたら課金していた、ということはよくある。
やはり無料でもいいから「まず読ませる」ということが大事なのである。