【作品多数】女流作家・栗本薫のオススメ作品を紹介!
新刊だけで約400冊以上の作品を世に送り出した栗本薫。SF、ホラー、BL、耽美…と幅広いジャンルの作品を発表していることも彼女の特徴です。今回はそんな栗本薫のオススメ作品をご紹介します。
2009年、56歳という若さですい臓がんのため亡くなった女流作家・栗本薫。約30年間の作家活動の中で残した作品は新刊だけで約400冊を数え、多作な作家として知られます。作品数が多いだけでなく、SF、ホラー、BL、耽美…と幅広いジャンルの作品を発表していることも彼女の特徴です。多才な作家・栗本薫とその代表作についてご紹介します。
栗本薫とは?
栗本薫は1977年に初めて『文学の輪郭』で第20回群像新人文学賞を受賞、翌1978年には『ぼくらの時代』で第24回江戸川乱歩賞を受賞し小説家デビューを果たしました。彼女は「文学における物語性の復権」を唱え、自身の作品の中でそれを実践、高い評価を得ていました。ジャンルによって中島梓と栗本薫の2つのペンネームを使い分け、様々な作品に取り組み多くのベストセラーを生み出しました。作品の中には同性愛を扱った内容のものも多く、新たな作品ジャンルの先駆者として後世の作家たちに影響を強く残しています。
※『文学の輪郭』の受賞は、中島梓名義での受賞です。
それでは、ここからは栗本薫のオススメ作品を紹介していきます。
栗本薫、オススメ作品
1.未完作品「グイン・サーガ」
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4150301174
豹の頭を持つ戦士、グインを主人公とするヒロイック・ファンタジー小説です。舞台は地球によく似た架空の星で、国家間の戦争が絶えず繰り広げられる世界。その中でグインやその周囲の人々の野望や友情、恋愛、決別といった複雑な人間模様を描いています。正伝だけでも130巻を超え、その人気は国内に留まらず海外版も出版されています。著者の死去により刊行が中断されていましたが、栗本の遺志を汲み2012年頃から複数の作家によって執筆が再開されました。
亡国パロの王族・リンダとレムスの双子の姉弟は、逃走先のルードの森で追っ手のモンゴール兵に捕えられる。双子が絶望に落とされたその時、目の前にたくましい豹頭の男が現れ…。「マトゥルスの血族」、「魔術師オーフェン」の沢田一が、125巻を数えなお書き続けられている大長編ヒロイック・ファンタジー!
2.『伊集院大介』シリーズ
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4061838121
色白で長身、銀縁めがねがトレードマークの名探偵・伊集院大介を主人公とするミステリー小説シリーズです。非常に穏やかで優しい性格の伊集院は、事件のないときには何日もぼーっと過ごすような人ですが、事件解決に向けて動いているときには一変、行動的・活動的になります。その推理は単に犯人を探し出すだけでなく、事件の裏に広がる様々な人間模様や複雑な背景をつまびらかにすることに主眼を置いています。長編で24作、短編集は4冊が伊集院大介シリーズとして刊行されています。
東京から特急で2時間ほどの山中に山科警部の親威がオープンしたばかりのペンションに幽霊が出没、客足もすっかり途絶えているという。霊能者を装った伊集院大介が乗り込んだ翌日、雪で孤立したペンションに謎の殺人事件が!山科警部を相手に、ご存じ名探偵・伊集院大介の推理が冴える傑作7編。
3.江戸川乱歩賞受賞作、『ぼくらの時代』
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/B000J856VG
1978年に第24回江戸川乱歩賞を受賞した『ぼくらの時代』には、作者と同姓同名の探偵が登場します。作者である栗本薫は女性ですが、この作中キャラクターは男性で、小柄で童顔の二枚目という設定です。彼の大学のバンド仲間のバイト先で起きた女子高生連続殺人事件の解決に向け、彼とその仲間たちが動き出す…というミステリー小説ではありますが、当時の若者たちの抱える苦悩や心の叫びを捉えた社会派作品でもあります。この「ぼくら」はシリーズ化され、『ぼくらの気持』『ぼくらの世界』と刊行されました。
アルバイト先のTV局内で発生した女子高生連続殺人事件を、ロック・バンド仲間の信とヤスヒコと解決しようと挑む――。当時の若者たちの感覚や思考を背景に、凝った構成と若々しい文体によって、シラケ世代とミーハー族の心の断面をえぐった江戸川乱歩賞受賞作。
4.「魔界水滸伝」シリーズ
クトゥルー神話をモチーフとする栗本薫の伝奇ロマンで、地球を侵略しようともくろむクトゥルーの神々とそれを阻止しようとする地球古来の神々との戦いを描いています。民話や伝承の中でしかその存在が知られていない神々の血は、時空を超えて人類の中に脈々と受け継がれていた。地球の危機に際しその末裔たちの力が覚醒し、クトゥルーの邪神を倒すべく立ち上がる。その間で滅亡の危機に瀕する人類の運命は…。全20巻に及ぶ大作で、続編『新・魔界水滸伝』も刊行されています。
地球を侵略しようとするクトゥルーの神々と、それを阻止しようとする神州・日本を中心とする地球古来の神々との闘い、そして神々の圧倒的な力の前に滅びて行こうとする人類の危難を描いた大河小説。
終わりに
栗本薫のオススメ作品は如何でしたか? シリーズものなど多くの作品を残している栗本。一冊づつ、手に取ってみてはいかがでしょうか?
途中でご紹介した「魔界水滸伝」シリーズは、P+D BOOKSにてデジタル、紙の書籍で発売中です。
ためし読みもこちらからチェックできますので、是非、栗本薫の作品を堪能してみてください。
初出:P+D MAGAZINE(2016/09/09)