【ラブレター】あの大作家がLINE告白したら!?
今度会ったら殺すよ?姦通罪で逮捕された北原白秋
運命の祝福を受けたような幸せな恋愛があれば、許されざる恋の道もある。
明治期の日本政府は、「姦通罪」という名の犯罪を設けました。人妻との肉体関係を伴う不倫愛を厳罰化することにより、近代的な家族制度の土台を確立しようとしたのです。
そんな姦通罪の罪に問われて逮捕されたのが、詩人の北原白秋。親交のあった写真家の妻、松下俊子との不倫愛は全国紙でセンセーショナルに報道され、大きな波紋を呼びました。
釈放後、社会からの評判が地に落ちた白秋ですが、相変わらず思わせぶりな挑発をしかけてくる俊子に振り回されながらも、戸籍上はまだ他人の妻である彼女との関係を解消することができませんでした。
そんな地獄のようなアバンチュールの誘いにしびれを切らした白秋が俊子に書き送ったのが上の手紙。かなり威嚇的な文面に感じますが、白秋が泥沼の逮捕□劇を経てなお、情欲の疼きから解放されていないこともわかります。
結局、二人は破滅的な恋の道をともに進み続け、極度の貧困生活に陥った白秋は、ぜいたく好きな俊子の虚栄心に悩まされることとなります。かつて世の名声を独り占めしていた大詩人は、ゲスの極みな乙女心にその身を捧げたのでした。
↓ そのやりとりをLINE風に再現 ↓
番外編:酔いどれ詩人、中年の恋。
さて、ここまで日本の文学者たちの恋文を紹介してきましたが、最後に反骨のアメリカ人作家、チャールズ・ブコウスキーの手紙を紹介します。
『詩人と女たち』(原題:Women)という著作があることからもわかる通り、女性との関係が絶えなかったブコウスキーが50歳を迎えた年、彼は20歳年下の詩人、リンダ・キングと燃えさかるような恋に落ちました。お互いに気の強い二人は衝突を繰り返し、そのケンカは暴力沙汰に発展することもしばしばだったと言います。
次にLINE風に再現するのは、二人の距離が急速に接近した頃、リンダと過ごした一夜が忘れられないブコウスキーが書き送った手紙です。あまりにも内容が刺激的なため原文での引用はできませんが、どうやら二人は冷蔵庫の前で大いに盛り上がってしまったようで……。
おわりに
文学者たちの深く激しい情愛と、それを伝える文章表現の巧みさ、改めてお分りいただけたでしょうか。
ラブレターというものは、それを送る相手がいて初めて成立するもの。過去の大作家たちによる時に甘美で、時に過激なラブレターの数々は、その相手を恋い慕うやむにやまれぬような気持ちを映し出しているかのようです。
皆さんも、特別な相手に特別な気持ちを伝えたいときは、LINEではなくとっておきのラブレターをしたためてみてはいかがでしょうか。じっくりと言葉を選んで書いた分、色良い返事をもらえるかもしれませんよ?
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