大沢在昌のおすすめ小説【ハードボイルドの巨匠!】

ハードボイルド小説の巨匠として知られる大沢在昌。デビュー後はしばらく売れない時期が続きましたが、1990年に発表した『新宿鮫』が宝島社「このミステリーがすごい!」ランキングで第1位となり一躍人気作家となります。今回は大沢在昌のオススメ作品5選を紹介します!

新宿鮫

新宿鮫
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4334766986

映画化やドラマ化もされ人気シリーズとなっている作品。1993年には、『新宿鮫 無形人間』で第110回直木賞を受賞しました。主人公は新宿鮫と呼ばれる一匹狼の刑事、鮫島。シリーズ第1作目となる『新宿鮫』では、新宿の歌舞伎町近辺で警察官が連続して殺害されるという事件が起こります。1人で事件を追う鮫島は、銃の密造の天才と言われる木津について捜査し始め、犯人を追い詰めていきます。物語の中で、鮫島がたった1人で捜査をする理由や新宿鮫と呼ばれるようになった経緯も明らかになっていきます。いかなる犠牲を払ってでも、正面から問題に立ち向かう主人公の姿に胸を打たれます。

毒猿

毒猿
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4334767176

新宿鮫シリーズの第2作目の作品です。ストーリーの中心となるのは、「毒猿」と呼ばれる台湾からやってきた凄腕の殺し屋。毒猿は自分を裏切った台湾マフィアのボスに復讐をするために日本へとやってきます。そして毒猿を追って日本へやってきた台湾の刑事、郭はかつて軍で毒猿と同じ特殊部隊にいて友人でもありました。2人の刑事、殺し屋、台湾マフィアが絡み合い壮絶な戦いとなるラストシーンへと展開していきます。国境を超えた刑事同士の共感や、犯罪者となった友人に対する思いの葛藤など男たちの熱い思いに思わず涙が溢れます。激しく展開する運命に引き込まれ、主人公の信念を貫く姿にも、心が揺さぶられます。

心では重すぎる

心では重すぎる
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4163197303

人気シリーズとなっている、佐久間公シリーズの長編第4弾の作品です。主人公の佐久間公は、静岡にある薬物中毒患者の更生施設「セイル・オフ」で働きながら、失踪人の捜索が専門の私立探偵としても活動しています。佐久間は、失踪した人気漫画家の捜索を依頼されます。そして更生施設には、渋谷のチーマーであった少年が入所してきます。何かにひどく怯えている様子の少年。少年の更生のために、佐久間はある女子高生に接触することに。すると漫画家の失踪事件と女子高生がリンクしていき…。派手な格闘シーンなどは少ないものの、現代社会の歪みが如実に描かれ、思いメッセージを感じます。

パンドラ・アイランド

パンドラ・アイランド
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4198618682

島の保安官が死亡したことから、臨時の保安官として働くことになった元刑事の高州。島でのんびりと平穏な暮らしをしようと思っていた高州ですが、着任初日に老人の死体が発見されます。その老人は、死ぬ前日に「島には財産があって拳銃もある」と高洲に話していました。その後、島では次々と殺人事件が発生して…。外界との関わりが制限された孤島、島に隠された財産をめぐる争い、そして明らかになっていく島の秘密。事件が思わぬ方向に行き、目まぐるしい展開から目が離せません。島という密閉された空間で展開されるので、終始緊張感に満ちていて、ドキドキしっぱなしです。

海と月の迷路

4620107964
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4620107964

2014年に第48回吉川英治文学賞を受賞した作品。昭和34年、人口5000人の炭鉱の島で発生した少女の不審死。主人公の荒巻は、事故死と言う見解に疑問を持ち、殺人事件として捜査をする若い警察官です。閉鎖的な島で、独自に殺人事件の捜査を開始する荒巻。13年前に起きた同じような少女の死亡事件、そして新たな殺人が起きようとして……。「一気読み必至!」「ページをめくる手が止まらない!」という感想が多数寄せられています。中だるみがなく、終盤まで一気に読めるパワフルなストーリーです。当時の暮らしを想像しながら読んでしまいます。主人公の正義感溢れる姿が爽快でもあります。

天使の牙

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出典:https://www.shogakukan.co.jp/books/09379561

2003年に、大沢たかお主演で『天使の牙』を原作とした「天使の牙B.T.A」という映画が公開されています。新しいタイプの覚せい剤「アフター・バーナー」が市場を広げ、勢力を拡大しつつある犯罪組織クライン。その摘発に警察が立ち向かう!銃器、武器の詳細や、犯罪組織等の活動が事細かに書かれ、とてもリアリティがあります。その繊細さに加え、スピーディな展開、ド派手なアクションシーン満載で、「スカっとした!」と読み終わりに思えるそんな作品です。読み進めるうちに、サスペンスとしての期待感がどんどん盛り上がり、各キャラクターの魅力が際立ってきます。
『天使の牙』の詳細はこちら

『天使の牙』の続編である『天使の爪』も発刊されています。
『天使の爪』(上)の詳細はこちら
『天使の爪』(下)の詳細はこちら

最後に

ハードボイルド小説の魅力はやはり男らしい主人公と緊張感に満ちたストーリー。特に大沢作品は、硬派で力強く、一本気な男の生き様に惚れ惚れするような作品ばかりです。ハードボイルド小説はあまり読んだことがないという方もぜひ読んでみてください。

初出:P+D MAGAZINE(2016/12/12)

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