【すっきりとした読後感】山口瞳のオススメ作品をご紹介!

山口瞳(1926年11月3日 – 1995年8月30日)は、サントリー宣伝部勤務時代、ハワイ旅行が当たる懸賞のコピー「トリスを飲んでHawaiiへ行こう!」を生んだ日本の男性作家、エッセイストです。ここではその代表作を5冊ご紹介します。歯切れの良い口調ですっきりとした読後感を味わえるでしょう。

居酒屋兆治

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函館の街で小さな居酒屋を営む居酒屋兆治を中心に、妻茂子やかつての恋人のさよ、お店に集まる様々な人々の心境や人税模様が描かれています。高倉健主演で映画化もされた作品で、今も兆治を好きで忘れられず転落していくさよ、どうすることもできない兆治、人間の弱さをリアルに描いた哀感あふれる作品です。

広さ5坪の縄のれんのモツ焼き屋を舞台に、集う客たちの様々な人間模様を鮮やかに描く。

行きつけの店

行きつけの店
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4101111294

皆さんにも行きつけの店が1つか2つはあるのではないでしょうか。そのお店は、味はもちろん、店員の人柄やお店の雰囲気も自分に合っているのでしょう。こちらの『行きつけの店』は、山口瞳の行きつけの店について、その料理の背景にある「情」や「温かみ」が描かれています。一般的なグルメブックではないのですが、実際のお店を一風変わった角度から見ることができる一冊です。

著者が愛したのは、名店の味だけではない。それは、店の雰囲気であり、従業員の気働きであり、女将や主人の人柄である。「行きつけの店」を持つためには、なによりも人間がわからなくてはいけない。店とのつきあい方に学ぶ、山口ブンガクの極上のエッセンス。

礼儀作法入門

礼儀作法入門
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4101111294

ロングセラーになっている『礼儀作法入門』は、新社会人をはじめとして、礼儀作法とは何かを再考したい方にオススメの一冊です。今となっては時代錯誤とも受け取れるものもありますが、サラリーマン作家であった山口瞳の独特の口調で書いてあると「なるほど、そうか!」と頷きたくなります。また、「他人に迷惑をかけないように」、「健康であれ」というメッセージは時代に関係なく、とても大切なことでしょう。応用編として『続・礼儀作法入門』もあります。

世に作法の本は数あれど、礼儀を人づきあいの根本から教えてくれる書物は意外に少ない。「電話いそげ」「パーティーの四つの心得」「なぜか出世しない通勤の天才」など、金言の数々も心にしみる。とりわけ社会人初心者に贈りたい人生の副読本である。

血族

P+DMAGAZINEの血族書影

第27回菊池寛賞を受賞した『血族』は、山口瞳自身の出生の秘密を題材としたものです。美人で社交的な女性でありながら、好んで自らの過去を語ろうとはしない母について、その母の死後、筆者は謎を解き明かすかのように、母の人となりに迫っていきます。まるでミステリー小説を読んでいるかのような感覚で楽しむことができるでしょう。

本書は、山口瞳氏自身の家系の謎に迫る自伝的一冊である。

家族 ファミリー

家族 ファミリー_書影
こちらも山口瞳の家族について描かれたものです。『血族』では主に母親について描かれましたが、『家族 ファミリー』ではアイデアマンで実業家であった父親について描かれます。小学校時代の同級生・石渡広志に出会ったことで幼少期の記憶である「悪夢」がよみがえり、父の足跡を追求していくという構成になっています。『血族』『家族 ファミリー』とまとめて読むことで、山口瞳の人となりがわかるでしょう。

父の実像を追求する『血族』の続編的長編。

最後に

山口瞳のオススメの作品は如何でしたか?
連載「文芸女子」第6回目「家族の絆を再確認する名作」本好き美女が、山口瞳の『家族 ファミリー』を読む。」にて、りなさんに『家族 ファミリー』を読んで感想文を書いてもらっています。こちらも合わせてチェックしてみてください。

さらに今回ご紹介した『血族』『家族 ファミリー』『居酒屋兆治』はP+D BOOKSにて、紙、電子の書籍で発売されています。是非、山口瞳の作品に触れてみてください。

『血族』のためし読みはこちらから
『家族 ファミリー』のためし読みはこちらから
『居酒屋兆治』のためし読みはこちらから

初出:P+D MAGAZINE(2016/09/11)

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