【家族の絆を再確認する名作】本好き美女が、山口瞳の『家族 ファミリー』を読む。|文芸女子#6

本が大好きな美女をピックアップする、「文芸女子」のコーナー。現役女子大生に昭和文芸を読んでもらい、平成生まれの彼女たちが感じるその魅力を、若さみなぎるフレッシュな感性で語って頂きます!今回は現役の医大生の登場です!

垣間見える知性が魅力!現役医大生のりなさんをCLOSE UP!

りなさんプロフィール写真

みなさん、はじめまして。りなです。
東京都出身、6月1日生まれの22歳です。血液型はB型。
日本大学医学部医学科の2年生です。
将来は、多くの人を美しくしたい、という夢を叶えて、美容医療に携わりたいと思っています。

趣味は、もちろん読書。そして美容研究。
週に3~4冊は読みます。
今話題となっている本には、必ず目を通すようにしています。本屋さんにはよく行くので、表紙を見てピンと来たものは即、読みますね。
電子書籍ももちろん愛用していますよ。学校での課題の本も多いのですが、夢に向かって学ぶのはとても楽しいので、難しい本でも苦になりません。

―最近読んで面白かった本はどんな本ですか?

『戦略は歴史から学べ』。
過去に活躍した成功者の“絶対法則”を述べている本です。あらゆる戦略家は、各々の時代で、その先を見越して世界を眺めて行動していたのです。自分が何をしたいか、何を目指しているのかを冷静に分析し、思考を巡らせることの大切さを、身にしみて感じる1冊です。

―好きな作家と作品について教えてください。

太宰治、芥川龍之介なども好きですが、堀江貴文も好きです。
好きな作品は、岸見一郎・古賀史健の『幸せになる勇気』、『嫌われる勇気』。
そして白取春彦の『ニーチェの言葉』。
人生の指標を示してくれるような、参考にしたくなる内容の本が好きです。

-インタビューより


知性がみなぎり、医師という夢に向かって邁進しているりなさん。

将来は、美容医療に携わりたいということですが、今からとても研究熱心なところが魅力です。趣味でもある美容の研究が、将来の夢にも繋がっているとは、理想的ですね。日夜、情報収集や、勉学に励んで、夢へと近づく努力をしているそうです。

山口瞳の「家族 ファミリー」に感じる、家族の絆

そんなりなさんが、P+D BOOKSより発売中の、山口瞳『家族 ファミリー』を読んで、感想文を書いてくれました。

家族の絆について、深く考えさせられたというりなさん。
巧みな描写に、どんどん引き込まれたといいます。
自分の価値観における、理想の「家族像」とは?
考えるきっかけになるかもしれません。
作品の魅力が凝縮された、りなさんの感想文を、ぜひ読んでみてください。

りなさんプロフィール写真2

山口瞳『家族 ファミリー』を読んで

題名の通り、家族をテーマにした小説です。
家族、というとやはり各々考えさせられるものがあります。作者は、父親を溺愛していました。そして、母親を悲しませたとして憎んでもいました。
作者にとって考える家族像とは、一般化された円満なものとは少し異なり、彼なりの考えはどこか歪んでいるように感じました。
おそらくこの筆者の歪んだ家族像のきっかけは壮絶な幼少期を過ごしたことに起因するのだと思います。彼の母親は父親との不倫関係によって生まれた作者を育てることに苦を感じ、幼い作者とともに自殺を試みます。これは彼にとっても記憶に刻まれる出来事であり、人格形成に大きく関わったのではないでしょうか。

私自身、いまこうしてこの文章を書いているさなか、離れて暮らす母親と少し意見の食い違いが起こってしまいました。そのおかげ、というのも言い方が悪いですが、改めて家族とは何か、自分の価値観においての家族像とは何なのかを考える機会となりました。

私にとって家族とは、たとえお互いが離れていても常に心を通じ合わせる存在です。やはり20年間一緒に暮らしていたため家族というものには、言葉に言い表せないほどの付加価値があると思います。それはどんな家族にも共通で、産んでくれ育ててくれた人々は自分の幼少期からの人格形成、それこそ人間の生きる上での軸を形成しているのですから切っても切れない絆で結ばれていると思います。
私の家系は、賭け事はしない、それこそ堅い固定観念のある家族です。法事など親戚行事は欠かさず行い、古いしきたりを守っていると言えます。作者の家庭とは違いますが、読み進めていくにつれて小説の世界に益々引き込まれるものがありました。彼もまた、そのような厳粛な育ちによって、幼いころは暴力観念にかられるなど現代では考えられないような苦しみを、味わっていたのでしょう。成長し彼なりの人生を歩み、相当な年月が経ち、当時の苦しみから解き放たれ改めて幼少時代、そして彼の父親についての記憶を探求していきます。作者にとっての父親は絶対的な存在で、しかも謎のヴェールに包まれており、常に疑問を抱きつつ父親の実像を明らかにしていきます。その描写は巧みなもので、読者の興味を引き寄せていく、さすがだなと思わずにはいられませんでした。様々な出会い、人脈を通し明らかになる事実はどこか悲しく切なく、深く考えさせられるものだと身に染みて感じました。

りなさんプロフィール写真3

文・りな

おわりに

りなさんの感想文はいかがでしたか?
家族ついてじっくり考え、自身の価値観を見つめ直したというりなさん。
P+D MAGAZINE編集部では、文芸女子・りなさんに読んでみてほしい作品のリクエストを絶賛受付中!お問い合わせまでお寄せください。お待ちしています!

今回りなさんが読んだ、「家族 ファミリー」はP+DBOOKSで絶賛発売中です。

kazoku_family
ためし読みはこちらからチェック!

初出:P+D MAGAZINE(2016/08/24)

古谷経衡著『ヒトラーはなぜ猫が嫌いだったのか』が見せるユニークな論考。鈴木洋史が解説!
芥川賞作家・三田誠広が実践講義!小説の書き方【第2回】さえない女の子のさえない現実