『ありか』瀬尾まいこ/著▷「2026年本屋大賞」ノミネート作を担当編集者が全力PR

人生を全て詰め込んだ渾身の一作
水鈴社を立ち上げ、最初の作品である『夜明けのすべて』という作品を刊行してほどなくして、瀬尾まいこさんから相談を受けました。
「今、書店さんは大変な苦境にあると聞いています。なにか私にできることはないでしょうか」と(詳しくは瀬尾さんのエッセイ『そんなときは書店にどうぞ』をお目通しください)。
「お気持ちはよく分かりますし、自分もずっとそのことを考えています。でも瀬尾さんにできることは、渾身の名作を書いていただく以外にありません!」と暑苦しくお伝えしたところ、「そういうのとちゃう。つまんない男だな!(多分に意訳)」と言われたのですが、しばらく時間が経ったある日、瀬尾さんから原稿が届きました。
「名作かはわからないけれど、篠原さんに言われた通り、私の人生を全部込めたと言い切れる小説を書きました」。そんなメッセージと共に添えられていたのが、この『ありか』です。
本作は、2019年の本屋大賞受賞作『そして、バトンは渡された』をはじめとした数々の名作群で、人々の言葉にできない、かけがえのない関係性を紡ぎ続けた瀬尾さんが母と子の関係とその愛について真正面から向き合われた、まさに渾身の一作となりました。
瀬尾さんは、「大切なものだけでなく、触れたくないものも含め、フィクションとはいえ自分自身をここまで物語に描いたのは初めてです。その分、私にとって特別で、大切な作品になりました」とも語られています。
長く活躍を続けられている書き手には必ず、その方の作家人生にとってターニングポイントとなる作品があると思っています。この『ありか』は、瀬尾さんにとって、まさに新たな代表作とも言える特別な作品になったと感じています。
そんな作品をお預かりした以上、一人でも多くの読者にお届けすることが水鈴社の使命だと感じているところです。
大切な家族がいる人はもちろん、家族との関係が良好とは言えない人、一人ぼっちだと感じている人、全ての方々にお読みいただきたい作品となりました。
私には家庭もなければ子供もいませんが(めだかは数千匹います)、この作品が家族であり、愛おしい自慢の我が子です。
ぜひ、一人でも多くの方にお読みいただけたら幸いです。

──水鈴社 篠原一朗






