『エピクロスの処方箋』夏川草介/著▷「2026年本屋大賞」ノミネート作を担当編集者が全力PR

幸福に生きるとはどういうことか
作家で、医師でもある夏川草介さん。
医師免許を持たれているというだけではなく、今なお医療の最前線で多忙な日々を過ごされる、現役のお医者さんです。
以前、夏川さんに「医師であることと作家であること、どちらを大切に考えていますか」と聞かれたインタビュアーさんがいらっしゃいましたが、夏川さんは迷うことなく「自分は医師です」と話されました。
夏川さんは、小説を書くことは、どうしても寝られない夜の寝酒のようなものだと表現されました。小説を書くから、医師として存在できるのだと。
この『エピクロスの処方箋』の主人公である雄町哲郎は、夏川さんと同じように飄々としながらも「人の命と幸福」について問い続けています。
幸福に生きるとはどういうことか。幸福は環境が与えるものなのか、それとも自分の力で生み出すものなのか。幸福と快楽とは何が異なるのか。
古代ギリシャの哲学者・エピクロスは、この問いに対して二つの簡潔な答えを示しているそうです。それは、心に悩みがないこと、肉体に苦痛がないこと。そこに、20年間人の命と向き合い続けた夏川さんが付け加えたのが、「孤独ではないこと」という条件です。
そんな哲学的な問いを内包していますが、本作はページを捲る手が止まらない、感動と興奮のエンターテインメント小説です。
ある日、哲郎は尊敬する准教授から助太刀を頼まれるのですが、その患者はかつて哲郎が激怒させた大学病院の絶対権力者の父親でした。哲郎はどのようにその患者と向き合うのか。そして哲郎を慕う後輩や、敵意を隠さない元同僚に何を伝えようとするのか──。
2024年の本屋大賞4位となった『スピノザの診察室』から連なるシリーズではありますが、本作単体でもお楽しみいただけます。
『エピクロスの処方箋』を読んだスタッフが、「この本を読んでくださる方が増えれば増えるほど、世界がより良い方向に向かうと本気で思います」と興奮気味に語ってくれました。
最高に面白くて、深く考えさせられて、前向きになる──。
一人でも多くの方に、そんな読書体験をしていただけたらと願っています。
なお、雄町哲郎シリーズは映画化も決まり、続刊も刊行予定です。
水鈴社を、日本を代表する医療小説シリーズに育ててまいりたく、是非ともお手に取っていただけたら幸いです!

──水鈴社 篠原一朗






