ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第19回
1回の催促ぐらいでは
返信しないものが一つだけある。
この原稿をまた催促されて書いている。
催促されるたびに「よくもまあ、毎回忘れずに催促をしてくるものだ」と映画「刑務所の中」の山崎努のように感心をしている。
何故なら、この連載の担当以外、誰一人催促などしてこないのだ。
故に〆切どころか「掲載日の前日原稿を出す」ということも普通にある。
どうしてそんなことが、まかり通るのかというとWEB連載は「前日に出しても間に合う」からだ。
よって、このコラムの催促が掲載1週間前に来るたびに「てめえ、本当は前日に出しても間に合うってわかってんだぞ」と思っている。
このようにWEB連載の〆切は割とどうでもなるのだが、紙媒体だとそうはいかない。
…と言いたいのだが、先日、雑誌連載の〆切を3日破ったのにノー催促ということがあった。
私の方が気づいて、急いで原稿を書いて出したのだが、こっちが気づかなかったらあれはどうなっていたのだろう。音もなく休載、もしくは終了していたのだろうか。
このように私の担当はマジで催促をしてこないのだが、これは私を信頼していると言うより「出してこないなら載らなくても良いや」という大らかな気持ちで私の担当をしているからだろう。
お前らはそれで良いだろうが、こちらは収入に直結しているので、せめて1回ぐらいは催促してほしい。
よって原稿の催促も、ある意味ではありがたいと思っている。
「描いてこないので、終わりました」と連載終了が作者に事後報告されるよりはマシだ。
そして〆切を3日過ぎても、おそらく大丈夫だったように、漫画家に知らされる〆切というのは真の意味での〆切ではなく、大体本当の〆切より早めの日を知らされるのだ。
「おそらく」と言うのは、3日過ぎて原稿を出したのは良いが、それに対し全く返信がないからである。
せめて間に合ったのか、ダメだったのかぐらい教えてほしい、放し飼いが過ぎないか。
このように編集者と一言で言っても、マメさが全く違うのだ、中には「お前は漫画家か?」というぐらい、ホウレンソウがなってない奴もいる。
こういう担当がつくと作家は「自分で〆切を覚えておかないといけない」というハンデを背負うことになるのだ。