『まんが 子どものいない私たちの生き方 おひとりさまでも、結婚してても。』にはリアルな「子どもいないあるある」が満載!
登場するのは、6人の女性たち。共通するのは、40代以上で、「子どものいない」人生を歩むことがほぼほぼ決まっていること。自分がちょっとタブー感のある立場にいることを自覚しつつ、できるだけおだやかにママさんや身内とお付き合いするよう心がけているけれど、ときどき毒を吐きたくなることも……。
センターに立つのは母親たち。“私たち”は目立たず、ひっそりと……
子どもがいる女性には『ワーママ』や『シンママ』といった呼称があるのに、いない女性たちの立場を示す言葉は、確立されていませんよね。当事者同士でも周囲の環境や住む地域、価値観の違いなどから、ともすれば分裂しかねないこの本のテーマは、繊細なものだと思います
と語るのは、著者のくどうみやこさん。
これまで微妙なタブー感があった「子どものいない生き方」。くどうさんもその道を歩くひとりです。広告業界で精力的に働く中、40代で病気を患い、出産できる可能性がゼロに。いわゆる“子どものいない夫婦”として生きていくことになりました。
少子化が問題視されているなか、時代のセンターに立っていたのはママたちで、キラキラと輝いて見えました。私のような 立場は、ひっそりと、目立たないようにしていたけれど、出生率の低下は裏を返せば、子どもをもたない人たちが増えていることを意味します。これから、子どものいない人生は『新たな大人のライフコース』になる。まだ情報やデータが少ないからこそ掘り下げてみよう、と、ライフワークとして活動を始めることに。そこで始まったのが、「子どもがいない女性の会」――マダネ プロジェクトの開催です(以下、引用符内はくどうさん)
口にしないだけで、じつは共有している肩身の狭さや生きづらさ
ひとりずつ、子どものいない思いを語ってもらったところ、「とてもつらい」「いままで誰にも話したことがない」と涙ながらに打ち明ける人が続出。くどうさんは、子どもがいないことで苦しんでいる人が多数いることを、初めて認識したといいます。
不妊治療の末に断念した、病気など身体の問題、タイミングを逃した、仕事を優先した、経済的なこと、自ら選択した……など、理由やそこに至るまでの過程は、十人十色。さらに、全く気にしていない人もいれば、子どものいない人生なんて考えられないと、個々の気持ちには温度差もある。
そのため、女性たちを単純にひと括りにしづらい部分はあるのですが、同じ子どもがいない人生を歩む者同士。口にしないだけで、子どもがいない肩身の狭さや共通感情をもっていることを実感したんです
くどうさんは500人以上のリアルな声を聞き、子どものいない女性の心情や傾向などを自分なりに分析・データ化してきました。それをコミック(まんが)に仕上げたのが、森下えみこさんとの共著『まんが 子どものいない私たちの生き方 おひとりさまでも、結婚してても。』です。
6人の主人公たちが、それぞれの立場から発する本音と覚悟
本書では、年齢や立場が異なる6人のキャラクターが登場します。
1.ミホさん――不妊治療歴4年。治療を優先するために仕事を辞めたが授からず、望んで努力もしたのに子どもをもてなかったことを引きずっている。そのせいかいつも肩身が狭い。自分の存在価値に悩む日々。
2.マユミさん――40歳で結婚。自然な流れで子どものいない人生になった。パート勤務。最近、やたらと「時代が違っていたら、選んだ人生も違っていたかも」と思うことが多い。まだ年齢的に子どもをもてる夫には、じんわり罪悪感が……。
3.リョウコさん――キャリアウーマンだね、とよくいわれる。そのたびに心の中でトホホと笑う。本当は仕事より、ひとり旅とお酒のほうが好き。目の前の仕事を頑張っているうちに、婚期・産期を逃してしまったなと惑う氷河期世代。
4.ミサキさん――こだわりが強く、自分の世界観・価値観を大切にしている。派遣社員として働き出してからは、淡々と職務をこなし、時間内に終わらせ、ワークライフバランスを重視。子どもをもつよう勧められるたびにイラッとする。
5.カオリさん――自然と妊娠できると思っていたが授からず、37歳から不妊治療を始めたところ、夫に原因があると判明。だからこそ、なのか、「もし子どもがいたら」と考えがち。子どもがいない人は世間が狭いといわれるとモヤモヤする。
6.グランマダネからの提言――子宮の疾患が原因で妊娠・出産は叶わなかった、通称「グランマダネ」が、『子どもがいない女性の会』を主宰。同じ立場の女性たちが本音で話せる場を提供するとともに、悩める後輩たちに助言をしている。
そして、各まんがには、くどうさんによる、“私たち”が知っておかなければいけない知識や、元気がわいてくるアドバイスなどにあふれたコラム付き。
これって、ほぼ、私……!? と思えるほど、共感たっぷりのエピソードが満載。リアルな哀しみもトホホな現実も、子どもがアリでもナシでもOK!と思えるこれからの生き方のヒントが、きっと見つかります。
子どものいない女性共感必至のあるある満載
『まんが 子どもがいない私たちの生き方 おひとりさまでも、結婚してても。』
著・森下えみこ/くどうみやこ 小学館 定価¥1,430(10%税込)
A5判 128ページ
https://www.shogakukan.co.jp/books/09310659
<ためしよみはこちらから>
https://shogakukan.tameshiyo.me/9784093106597
【著者プロフィール】
まんが/森下えみこ(イラストレーター/まんが家)
静岡県生まれ。コミックエッセイのほか、書籍や広告、雑誌などのイラスト、まんがなどを手がけ幅広く活躍中。単著に『あしたの、のぞみ』(日本文芸社)、『40歳になったことだし』(幻冬舎)、『今日も朝からたまご焼き』、『独りでできるもん』シリーズ(ともにKADOKAWA)、共著に『えみこ、開運中!』(日本文芸社)、『マンガでわかる「すぐ不安になってしまう」が一瞬で消える方法』(すばる舎)など多数。
https://note.com/a35room
まんが原案・コラム/くどうみやこ(大人ライフプロデューサー/トレンドウォッチャー)
東京都生まれ。大人世代のライフスタイルからマーケティングまで、時流やトレンドをとらえた独自の視点で情報を発信。近年は、自身の体験から子どもをもたない大人のマーケットに着目。子どものいない女性を応援する「マダネ プロジェクト」を主宰。著書に『誰も教えてくれなかった 子どものいない人生の歩き方』『誰も教えてくれなかった 子どものいない女性の生き方』(ともに主婦の友社)など。
くどうみやこホームページ https://www.kudo-miyako.com/
マダネ プロジェクト https://madane.jp/
初出:P+D MAGAZINE(2021/04/15)