ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第33回

ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第33回

ロックダウンにより、
印刷所の稼働が止まってしまったら、
私も収入激減の恐れが……。

金がないと、衣食住など物理的に困るだけではなく「知能が著しく下がる」という問題がある。
平素なら「助けると思って200万貰ってください」というスパムメールが来ても騙されることはまずないだろう。しかし困っている時に同じメールが来たら「これで助かった」とすら思ってしまうのである。

そのぐらいIQが下がってしまうため、数ある金を貸してくれる施設の中でも、いきなりカウカウファイナンスを選び、何とかしようとして余計傷を広げてしまうことも多いのだ。

よって、困った時にどこに相談するかは、困ってない時に調べて、IQが一桁になっても電話がかけられるように48pt以上のフォントで電話番号を書いて壁に貼っておいた方が良い。

…などという話を私は、自分の漫画やコラムでよく書くのだが、自分はやっているかというと「その時になってからネットで調べればいいでしょ」と思っていたりするので、本当に「困っていない時に困った自分を想像する」というのは難しいのである。

しかし実際、ここ3か月で世間は予想もつかない状況になっているので、自分にも明日予想外の展開が起こる可能性は十分にある。
とりあえず、最寄りの社会福祉事務所の場所と電話番号だけは調べた。これを読んでいる皆さんも、読み終わったら、それだけでも調べてみることをお勧めする。

2500字ぐらいある当コラムだが、それよりその数行の情報の方が5000兆倍有益であると断言できる。

ハクマン_33回

(つづく)
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カレー沢薫(かれーざわ・かおる)

漫画家、エッセイスト。漫画『クレムリン』でデビュー。 エッセイ作品に『負ける技術』『ブスの本懐』(太田出版)など多数。

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◎編集者コラム◎ 『浄瑠璃長屋春秋記 潮騒』藤原緋沙子