著者インタビュー

石田夏穂『我が友、スミス』
生きてるだけでユーモラス 第四五回すばる文学賞佳作を受賞し、第一六六回芥川賞候補にも選ばれた石田夏穂のデビュー作『我が友、スミス』は、ボディ・ビルにハマった会社員女性の物語だ。純文学は時に「シリアス・ノベル」と呼ばれることがある。が、本作は少し様相が異なる。シリアスさはもちろんあるのだが、そこにユーモアも見事に共存して
ゲスト/西 加奈子さん◇書店員が気になった本!の著者と本のテーマについて語りまくって日々のモヤモヤを解きほぐしながらこれからの生き方と社会について考える対談◇第11回
 生活保護の受給者がバッシングを受け、過重労働ややりがい搾取などの弊害が噴出している今、貧困や格差は深刻な社会問題だ。フェミニズムが盛り上がる中で、〝強くあらねばならない〟という呪縛にとらわれた男性たちの多くも生きづらさを抱えている。弱者が弱者のままで、当然の権利として助けを求めながら生きるにはどうしたらいいのか──。
ゲスト/東畑開人さん◇書店員が気になった本!の著者と本のテーマについて語りまくって日々のモヤモヤを解きほぐしながらこれからの生き方と社会について考える対談◇第10回
 誰もが〝生きづらさ〟を抱える今、心の問題をジャンル分けし、自分の取説を見つけるのがブームになっている。ひと昔前に比べると、「私ってなんだろう」と時間をかけて考える人も減っているようだ。傷つきやすく、実体をとらえることが難しい私たちの〝心〟は現在、「消滅の危機にさらされている」と東畑開人さんは言う。自分を大切にするため
東山彰良『怪物』
「愛と自由」の物語 台湾を舞台にした青春ミステリー『流』で二〇一五年に第一五三回直木賞を受賞した東山彰良が、まもなくデビュー二〇周年を迎える。最新長編『怪物』は、日本に暮らす小説家の現実が自作小説によってじわじわ侵食される様子を綴りながら、戦後アジアの歴史をも浮かび上がらせる。二〇年の蓄積があったからこそ飛び立つことが
著者の窓 第14回 ◈ 谷川俊太郎『モーツァルトを聴く人』
 一九九五年に刊行された谷川俊太郎さんの詩集『モーツァルトを聴く人』が、装いも新たに文庫化されました。文庫には『モーツァルトを聴く人』全篇が収録されているほか、音楽とモーツァルトにちなんだ詩二十三篇に書き下ろし一篇を加えた選詩集「音楽ふたたび」、堀内誠一さんとの共作で未刊行の絵本「ピアノのすきなおうさま」をオールカラー
藤谷 治さん『ニコデモ』
小説というのはある意味、歴史とは逆の表現形式だ 藤谷治さんの新作『ニコデモ』は、戦時中にフランスに留学していた青年と、北海道の開拓民となった家族の数奇な運命の物語。意外にも出発点は、「ファミリーヒストリーを書かないか」という依頼だったとか。さて、その経緯とは? 一人の男と、とある家族の不思議な縁 藤谷治さんの新作『ニコ
南原 詠さん『特許やぶりの女王 弁理士・大鳳未来』
ふと、ここに好き勝手に物語を書いてみたいなと思ったんです 第20回を迎えた『このミステリーがすごい!』大賞。昨年大賞を受賞したのは、現役弁理士の南原詠さんだ。自身と同じ職業、しかしまったく異なるキャラクターを主人公とした『特許やぶりの女王 弁理士・大鳳未来』は、特許権侵害をめぐる難題に挑む女性の奮闘を描く一作である。
 安倍政権時代、菅官房長官への鋭い質問で注目を集めた東京新聞記者・望月衣塑子さん。昨年十月に刊行された著書『報道現場』(角川新書)は、コロナ禍以降さまざまな変化にさらされている報道の現場のリアルを、日本学術会議への人事介入や入管問題などのトピックを交えながら綴ったノンフィクションです。変わりゆく時代、報道はどうあるべき
ゲスト/ひらりささん◇書店員が気になった本!の著者と本のテーマについて語りまくって日々のモヤモヤを解きほぐしながらこれからの生き方と社会について考える対談◇第9回
「現在、何にお金をかけていますか?」の質問に「趣味」と答える人はどれくらいいるだろう。「オタク」「推し」ということばが浸透した世の中で、好きなものにお金を使うことをアイデンティティーとする人は増えたのかもしれない。しかし、老後2千万円問題が取り沙汰されるなか、「浪費」はネガティブに捉えられることが多い。女性、消費、オタ
蝉谷めぐ実『おんなの女房』
おんなを味わう 江戸の歌舞伎役者たちの生き様をミステリ的趣向とともに綴った『化け者心中』で第一一回 小説 野性時代 新人賞を受賞した蝉谷めぐ実さんは、時代歴史小説の新たな担い手として颯爽と文学界に現れた。同作で第一〇回日本歴史時代作家協会賞新人賞と第二七回中山義秀文学賞を受賞し新作への期待が高まる中、ついに届けられた長
著者の窓 第12回 ◈ 岸 政彦『東京の生活史』
 岸政彦さん編『東京の生活史』(筑摩書房)は百五十人の聞き手が、百五十人の人々に東京での生活について聞いたインタビュー集です。家族との確執を語る人、華やかな東京暮らしを語る人、戦争体験を語る人──。プロフィールのない語り手の声が、それぞれの人生、それぞれの東京を鮮やかに浮かび上がらせる。現在四刷、一万五千部を超えるヒッ
河﨑秋子さん『絞め殺しの樹』
いいものも悪いものもいつかは終わりを迎えるんです 発表する作品が毎回高く評価される河﨑秋子さんが、待望の新作『絞め殺しの樹』を発表。根室に生きた一人の女性と、彼女の人生を想う青年の物語。書名はなんとも不気味だが、実はこれ、菩提樹のこと。主人公たちの人生のなかで、この言葉が意味したものとは?
ゲスト/岸 政彦さん◇書店員が気になった本!の著者と本のテーマについて語りまくって日々のモヤモヤを解きほぐしながらこれからの生き方と社会について考える対談◇第8回
 沖縄でのフィールドワークを長年続けている社会学者の岸政彦さん。岸さんのツイートから始動したという『東京の生活史』は、一般から公募した150人の聞き手が、東京で暮らした経験がある150人の語り手の人生を聞く、かつてない規模のインタビュー集だ。カウンセリングとも傾聴とも異なる、ただ「聞く」という行為は何なのか。そして、そ
斜線堂有紀『愛じゃないならこれは何』
恋は「殉ずる」の一択 二〇二〇年八月に刊行した特殊設定ミステリ『楽園とは探偵の不在なり』が第二一回本格ミステリ大賞の候補となり、斜線堂有紀は一躍、「本格」シーン最注目の存在となった。ところが、最新刊『愛じゃないならこれは何』は自身初となる非ミステリの短編集だ。その代わり──自身初の「本格」恋愛小説である。
ゲスト/荒井裕樹さん◇書店員が気になった本!の著者と本のテーマについて語りまくって日々のモヤモヤを解きほぐしながらこれからの生き方と社会について考える対談◇第7回
 コロナ禍やそれに伴う政治状況の変化によって、世の中にはネガティブな言葉が溢れ、要約という作業で言葉は削られている。〈短くてわかりやすい〉ことが重視される一方で、簡単にはまとめられない現実があるのではないだろうか。今回は障害者文化論を研究する日本文学者の荒井裕樹さんと、私たちの身の回りに溢れる「言葉」と社会との関わり方
辻村深月さん『闇祓』
ホラーの文脈の中で謎と真相を用意しようと考えました 「なんか不快だけれどもその理由をうまく説明できない」という経験をした人は多いだろう。辻村深月さんが新作『闇祓』で描くのは、そんな闇に取り込まれる恐怖。著者初の本格ホラーミステリ長編だ。
君嶋彼方『幻月と探偵』
諦めた先の人生 第一二回小説 野性時代新人賞を受賞した君嶋彼方の『君の顔では泣けない』は、いわゆる「男女入れ替わりもの」だ。しかし、定番のラブコメ路線には進まない。入れ替わってしまった男女の心情を透徹したリアリズムで描き出していく。そこには当該ジャンルに対する批評意識とエンターテインメントの作り手としての「逃げない」矜
著者の窓 第11回 ◈ 平松洋子『父のビスコ』
 二〇一八年から四年にわたって「本の窓」に連載されていた平松洋子さんのエッセイが一冊になりました。その作品『父のビスコ』(小学館)は、食と生活、文芸と作家をテーマに、幅広い執筆で知られる平松さんが、幼少期や家族のこと、生まれ育った倉敷について綴った、初の自伝的エッセイです。思い出の味、忘れがたい出来事を通して、人々のひ