著者インタビュー

藤野可織さん
 二〇一三年、文芸誌『群像』に〈8月の8つの短篇〉のうちの一篇として掲載された「ピエタとトランジ」。のちに短篇集『おはなしして子ちゃん』にも収録されたが、その後も続篇が執筆され、このたび長篇『ピエタと
神津凛子さん『ママ』
 シングルマザーの成美(「わたし」)が目を覚ますと、手足は縛られ見知らぬ部屋にいた。天井からは裸電球が吊るされており、床と壁は黒いビニールで覆われている。真っ先に脳裏に思い浮かべたのは、幼い一人娘・ひ
kubosan-banar
時代とともに家族観は変わってきており 家族の形も自在に変わっていいと思う  デビューから10年。女性にとっての性愛や妊娠出産をめぐり、それまで具体的に語られることの少なかった本音や実情を、繊細な筆致で
伊吹有喜さん
 手作業で羊毛から糸を紡ぎ、手織りで作り上げるホームスパン。もともとはイギリスの伝統織物だ。それが明治時代に日本に伝えられ、岩手の盛岡、花巻周辺で産業として根付いたという。伊吹有喜さんの新作長篇『雲を
有川ひろさん
 自衛隊、土木建築会社、県庁観光課、児童養護施設……。さまざまな職業のリアルを、主人公の人間的成長と共に描くお仕事小説は、有川ひろの代名詞であり十八番だ。最新作『イマジン?』では、映像制作会社および
chinensan-banar
精神疾患を抱える者が犯した罪の行方を 考えるための材料を物語を通じ提供した  18年『崩れる脳を抱きしめて』 、19年『ひとつむぎの手』 、20年 『ムゲンのⅰ』と3年連続で本屋大賞候補に。また、最近
特別インタビュー 早瀬  耕さん『彼女の知らない空』を語る
 文庫刊『未必のマクベス』がベストセラーとなり、一躍注目作家となった早瀬耕さん。豊富な演劇の知識と、サイエンスの知見を採り入れた密度の高い物語が高く評価されています。このたび、待望の新作『彼女の知らな
koyanagasan-banar
味覚は人としての軸や自信に繋がるぶん 他人に否定されたり支配されるのは怖い  山本一力、柏井壽、小山薫堂各氏を選考委員として新設された「日本おいしい小説大賞」。その第1回受賞者となった古矢永塔子氏にと
★編集Mの文庫スペシャリテ★『完全無罪』大門剛明さん
きらら……『完全無罪』、非常に読みごたえのある物語でした。大門さんがデビュー作から取り組まれている、冤罪問題というテーマの集大成のようにも思いました。 大門……真新しいテーマではなかったのですが、いつ
高山羽根子さん
 戦後まもない頃。〈わたし〉は美術系出版社の榎田から、水彩画家の平泉貫一について調べてほしいと頼まれる。大戦末期に出征した彼は、終戦後に復員した時、人相がすっかり変わっていたという。榎田は別人のなりす
相沢沙呼さん『medium 霊媒探偵 城塚翡翠』
 二〇一九年に発表された『medium 霊媒探偵 城塚翡翠』は、相沢沙呼にとって、〇九年に始まった作家人生において、最も評価された作品となった。これまでにも賞の候補になったことはあったが、今回の成功は
上田秀人さん
 上田秀人が「STORY BOX」にて連載『新陰の大河 上泉信綱』をスタートさせたのは、昨年の夏だった。数々の剣豪を生んだ柳生新陰流の始祖・上泉信綱を主人公にした同作は、第二巻で柳生石舟斎(二代目)
小手鞠るいさん『ある晴れた夏の朝』
──小学館児童出版文化賞受賞、おめでとうございます。現代アメリカに住む高校生が原爆投下の是非を問う、という設定が新鮮でした。 小手鞠……偕成社の編集者の方から、「原爆をテーマにした児童向けの作品を」と
壇蜜さん
 芸能活動開始とともに始めたブログを今も定期的に更新し、すでに一〇冊以上もの随筆の著書を持つ。「書くこと」を表現手段の一つと位置付けてきた壇蜜が小説家デビューするのは、必然だったと言えるだろう。むし
森絵都さん
 普段特別気にしているわけではないけれど、言葉にされると「あるある」「わかるわかる」と思うことは多い。日常のなかで生じる、ささやかな反発心もそのひとつ。小さな、でも絶対に譲れない事柄についてのエピソー
伊岡 瞬さん『不審者』
きらら……最新刊『不審者』の主人公、折尾里佳子は主婦業と共に、在宅で校閲の仕事をしています。この設定の着想はどこから? 伊岡……これまで家族をテーマに、小説を書いてきました。以前に発表した『悪寒』は夫
井上荒野さん
「今回の本は、私の小説にしてはちょっとメッセージ性があるかもしれません。私はいじめが本当に嫌いだし、少女少年に死んでほしくないという気持ちがあるから」  人間同士が関わるなかでの微妙な心理に鋭く切り込
小川 哲さん
 文庫版が刊行されたばかりの『ゲームの王国』は、カンボジアが舞台だった。上巻はフランスから完全独立後の一九五六年より始まる、同国の血なまぐさい現代史をベースにしたリアリズム小説だが、下巻では一気に二