著者インタビュー

荒木あかね『此の世の果ての殺人』
謎の魅力 今年五月、ミステリーの老舗新人賞として知られる江戸川乱歩賞に荒木あかね『此の世の果ての殺人』が選出された。二三歳七ヶ月での受賞は、一九五四年創設の同賞において史上最年少だ。本作は、探偵&助手が連続殺人事件の謎を解く本格ミステリーである。ただし物語の舞台は、人類滅亡が決定付けられた世界だ。 『地上最後の刑事』か
ゲスト/永井玲衣さん◇書店員が気になった本!の著者と本のテーマについて語りまくって日々のモヤモヤを解きほぐしながらこれからの生き方と社会について考える対談◇第16回
 子どもの頃は些細なことに「なんで?」と疑問を投げかけていたけれど、いつの頃からか「そういうものだから」と分かったふりをして自ら世界を小さくしてはいないだろうか。永井玲衣さんは、ライフワークとして行っている哲学対話を「他の人と一緒にままならなさをまっとうに苦しむ場」だという。世界をよく見るために哲学するとはどういうこと
芦沢 央さん『夜の道標』
自分が抱いていた恐怖や問題意識と繫がりました 作家生活十周年を迎えた芦沢央さんの新作『夜の道標』。一九九〇年代に起きた殺人事件をめぐり、容疑者の男、男を匿う女、彼らに関わる二人の少年、調査を進める刑事の姿から炙り出されるものとは。この時代、この人物設定だからこそ切り込めるテーマに勇気を持って挑んだ痛切で衝撃的な一作だ。
「舞台でしか生きられない」──中村吉右衛門さんが最期に綴った言葉を振り返る
 昨年11月、8ヶ月の闘病の末に77歳で世を去った、歌舞伎俳優の中村吉右衛門さん。このたび、新刊『中村吉右衛門 舞台に生きる』(小学館)が出版されたが、実はこの作品、吉右衛門さんが生前、「本の窓」で連載していたエッセイを中心にまとめたもの。著者が綴っていた歌舞伎への思いを、本書とともに夫人の波野知佐さんに振り返っていた
著者の窓 第19回 ◈ 若松真平『声をたどれば』
「ココイチ」のカレーをきっかけに変わった人生、亡き父の絵が起こした奇跡、パンの耳を残す息子への「ヤマザキ」の神対応──。無名の人に起こったささやかで、思いも寄らない出来事の数々。若松真平さんの『声をたどれば』(小学館)は「朝日新聞デジタル」に掲載されて反響を呼んだ記事二十五本をまとめた一冊です。のべ二億人超のユーザーに
宇野 碧『レペゼン母』
分かり合いたい 和歌山で梅農園を経営する〝おかん〟がヒップホップという武器を片手に、逃げ癖のついたダメ息子とラップバトルに臨む。第一六回小説現代長編新人賞受賞作『レペゼン母』は、斬新にしてキャッチーな物語の展開を追ううちに、やがて人生にまつわる普遍的なメッセージへと辿り着く。自分は何者であるかというリアルを表明 ビート
ゲスト/吉田貴司さん◇書店員が気になった本!の著者と本のテーマについて語りまくって日々のモヤモヤを解きほぐしながらこれからの生き方と社会について考える対談◇第15回
〝成就しなかった〟恋愛は、苦い黒歴史であれ甘美な体験であれ、すべての人にとって忘れられない記憶となっているはずだ。若かった当時は不可解に思えた異性の思わせぶりな態度や急な心変わりの理由が、年齢を重ねたことで見えてくることもあるし、永遠に理解できないこともある。男たち(たまに女たち)の「あのときこうしていたら」を10年聞
飛鳥井千砂さん『見つけたいのは、光。』
みんなグラデーションの中で生きている 飛鳥井千砂が久々に新作を上梓。『見つけたいのは、光。』は、仕事と育児をめぐる物語。復職したい母親、職場でマタハラを訴えられた女性、人気育児ブログの書き手という、まったく異なる立場の三人が偶然集まった時、そこで繰り広げられる会話とは? 今の時代の問題点をあぶり出す意欲作だ。 きっかけ
著者の窓 第18回 ◈ デボラ・インストール『ロボット・イン・ザ・ホスピタル』
 AIの発達によりさまざまなロボットが生活に入り込んでいる時代、ちょっと子どもっぽい中年男性・ベンが出会ったのは、壊れかけのロボット・タングだった──。ベンたちチェンバーズ一家がタングと過ごす笑いあり涙ありの毎日を、ユーモアたっぷりに描いたデボラ・インストールさんの「ロボット・イン・ザ・ガーデン」シリーズ。最新作『ロボ
ブレイディみかこ『両手にトカレフ』
希望の強度 エッセイ集『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』が国民的ベストセラーとなったブレイディみかこが、初小説を発表した。依存症の母をケアし弟の面倒も見る一四歳の少女・ミアの物語は、「子供の貧困」に象徴される現代社会の見えざる現実を映し出す。 自分の家族にかこつけて書くことは止めよう 英国ブライトンに暮らす
白石一文『道』刊行記念特別インタビュー
 読み手の世界の認識を揺さぶる、壮大なスケールの小説を描いてきた白石一文。このたび最新長編『道』を発表した。中年男性が、かつて失った大切なものを取り戻すため、1枚の絵を手がかりに時空を超える。タイムリープした先の世界に、想像を超える事実が現れ、物語は未知の領域へ。時間という、定まりのない概念の言語化に、極限まで迫った傑
著者の窓 第17回 ◈ 中塚久美子 吉永磨美『失敗しないためのジェンダー表現ガイドブック』
 ジェンダー問題への関心が高まるにつれ、性差をめぐる表現も見直されつつあります。一方で性差別による「炎上」も後を絶ちません。新聞労連ジェンダー表現ガイドブック編集チームによる『失敗しないためのジェンダー表現ガイドブック』(小学館)は、報道関係者に向けてジェンダー表現の指針を示した本ですが、一般読者にも有益な情報が満載で
ゲスト/ジェーン・スーさん◇書店員が気になった本!の著者と本のテーマについて語りまくって日々のモヤモヤを解きほぐしながらこれからの生き方と社会について考える対談◇第14回
 二〇一三年にコラムニストとして鮮烈なデビューを飾って以来、中年女子のリーダーとして発信を続け、共感と憧れをもって圧倒的に支持されているジェーン・スーさん。そんなスーさんも、以前は〝美魔女〟と呼ばれる自分の欲望に忠実に生きる女性たちを馬鹿にしていたのだという。「年甲斐もなく」という社会の呪縛から解き放たれ、自分らしく歳
千葉ともこさん『戴天』
私が書くなら、自己犠牲の英雄にはしたくない 二〇二〇年に松本清張賞を受賞したデビュー作『震雷の人』で骨太な中国歴史絵巻を披露し注目された千葉ともこさん。待望の新作『戴天』は前作に続き、唐の時代の安史の乱がモチーフ。前作とは登場人物も切り口も異なる本作で描こうとしたものとは? 唐の時代と今の日本を重ねて まだデビュー二作
浅倉秋成『俺ではない炎上』
俺は悪くない? 就職活動を題材にした『六人の噓つきな大学生』が二〇二二年本屋大賞をはじめ各種文学賞にノミネートされた浅倉秋成は、いま最も勢いのある作家である。レジェンドの小畑健とタッグを組み、自身は原作を手がけた漫画『ショーハショーテン!』も大きな話題になっている。最新作『俺ではない炎上』は、ネット炎上を題材にした逃亡
ゲスト/大前粟生さん◇書店員が気になった本!の著者と本のテーマについて語りまくって日々のモヤモヤを解きほぐしながらこれからの生き方と社会について考える対談◇第13回
 コロナ禍で人と人との関わりが減少している今、みんな、どんな恋愛をしているのだろう。恋愛関係になることで、相手を想い大切にしようという感情が芽生える一方、その想いが時に暴力的になり加害性を帯びてしまうこともある。時代の変化とともに新しい形の恋愛や人間関係も生まれているが、そもそも私たちが「恋愛」だと思っていたことの本質
白尾 悠さん『ゴールドサンセット』
この年齢だからこそ身体が語る部分がある 人間の身体の豊かさ、人生の輝きを感じさせてくれる作品。それが白尾悠さんの新作『ゴールドサンセット』。中高年限定の劇団のメンバーと彼らと関わる人々の人生模様を浮き彫りにする本作のきっかけは、実はとても身近なところにあったという。 きっかけは母親の女優デビュー 白尾悠さんの新刊小説『
町田そのこ『宙ごはん』
親も成長する 孤独の持ち主たちが擬似家族を形成し、回復していく姿を描き出した初長編『52ヘルツのクジラたち』で二〇二一年本屋大賞を受賞した町田そのこが、最新長編『宙ごはん』で再び家族というテーマと向き合った。「ごはん」を共通モチーフにした全五話は、優しさと温かさに加え、人生の苦みもしっかりときいている。育ててくれた「マ