著者の窓

著者の窓 第16回 ◈ 堀江 栞『声よりも近い位置』
 岩絵具と和紙と膠によって、独特の質感をもった作品を生み出し続ける画家・堀江栞さん。彼女のデビュー作から最新作まで、九十点余りの作品を収める画集『声よりも近い位置』(小学館)が発売されました。「対象物と、長い時間にわたって対話を続けることで彼らに近づき、静かに発せられる声を、なんとか聴き取りたい」──。動物や石、人形を
著者の窓 第15回 ◈ 東山彰良『怪物』
 東山彰良さんの新作『怪物』(新潮社)は、日本・台湾・中国を舞台にした圧倒的スケールのエンターテインメント。出版社の女性社員との不倫関係に陥った、台湾出身の作家・柏山康平。彼の叔父で、台湾から大躍進政策時代の中国に飛行した王康平。二〇一六年と一九六二年、ふたつの物語は柏山の書いた小説『怪物』において重なり合います。愛と
著者の窓 第14回 ◈ 谷川俊太郎『モーツァルトを聴く人』
 一九九五年に刊行された谷川俊太郎さんの詩集『モーツァルトを聴く人』が、装いも新たに文庫化されました。文庫には『モーツァルトを聴く人』全篇が収録されているほか、音楽とモーツァルトにちなんだ詩二十三篇に書き下ろし一篇を加えた選詩集「音楽ふたたび」、堀内誠一さんとの共作で未刊行の絵本「ピアノのすきなおうさま」をオールカラー
 安倍政権時代、菅官房長官への鋭い質問で注目を集めた東京新聞記者・望月衣塑子さん。昨年十月に刊行された著書『報道現場』(角川新書)は、コロナ禍以降さまざまな変化にさらされている報道の現場のリアルを、日本学術会議への人事介入や入管問題などのトピックを交えながら綴ったノンフィクションです。変わりゆく時代、報道はどうあるべき
著者の窓 第12回 ◈ 岸 政彦『東京の生活史』
 岸政彦さん編『東京の生活史』(筑摩書房)は百五十人の聞き手が、百五十人の人々に東京での生活について聞いたインタビュー集です。家族との確執を語る人、華やかな東京暮らしを語る人、戦争体験を語る人──。プロフィールのない語り手の声が、それぞれの人生、それぞれの東京を鮮やかに浮かび上がらせる。現在四刷、一万五千部を超えるヒッ
著者の窓 第11回 ◈ 平松洋子『父のビスコ』
 二〇一八年から四年にわたって「本の窓」に連載されていた平松洋子さんのエッセイが一冊になりました。その作品『父のビスコ』(小学館)は、食と生活、文芸と作家をテーマに、幅広い執筆で知られる平松さんが、幼少期や家族のこと、生まれ育った倉敷について綴った、初の自伝的エッセイです。思い出の味、忘れがたい出来事を通して、人々のひ
著者の窓 第10回 ◈ デイヴィッド・ピース『TOKYO REDUX 下山迷宮』
 一九四九年七月、当時の国鉄総裁・下山定則が行方不明となり、轢死体となって発見されるという怪事件が発生しました。いわゆる下山事件です。今なお議論が尽きないこの戦後最大の謎に、東京在住のイギリス人作家デイヴィッド・ピースさんが挑みました。下山総裁は殺されたのか、それとも自殺だったのか? 虚実のあわいを縫う物語で事件の真相
著者の窓 第9回 ◈ くどうれいん『氷柱の声』
 エッセイ集『うたうおばけ』、歌集『水中で口笛』などが話題の作家・くどうれいんさんが、初の小説『氷柱の声』(講談社)を発表しました。東日本大震災発生時、盛岡の高校生だった主人公・伊智花の目を通して、人びとの経験や思いを紡いだ連作小説です。震災報道では触れられることのない、さまざまな葛藤や悩み、苦しみ。語れないと思ってい
『星の王子さま』の著者サン=テグジュペリの半生を描いた佐藤賢一さんの長編『最終飛行』(文藝春秋)が話題を呼んでいます。第二次世界大戦中、人気作家だったサン=テグジュペリは四十代になって自ら志願して危険な戦場に戻り、偵察飛行中に命を落とします。彼を大空に駆り立てたものは何だったのか。激動の時代に翻弄されながら、理想と愛に
著者の窓 第7回 ◈ 砂原浩太朗『高瀬庄左衛門御留書』
 二〇二一年一月の刊行以来、各紙誌で本読みのプロたちに絶賛されている砂原浩太朗さんの時代小説『高瀬庄左衛門御留書』(講談社)。デビュー二作目にして、早くも山本周五郎賞・直木賞にノミネートされた注目作です。五十歳を前に妻と息子を失い、亡き息子の嫁・志穂に絵を教えながらつましい生活を送る下級武士・高瀬庄左衛門。しかし藩を
著者の窓 第6回 ◈ レ・ロマネスク TOBI 『七面鳥 山、父、子、山』
 派手なコスチュームとメイクがトレードマーク、フランスをはじめ世界各国で人気を誇る個性派音楽ユニット「レ・ロマネスク」。メインボーカルのTOBIさんは、テレビ番組『仮面ライダーセイバー』に出演するなど、近年ますます活動の幅を拡げています。三月に刊行された『七面鳥 山、父、子、山』(リトルモア)は、広島県の小さな町で生ま
著者の窓 第5回 ◈ 五十嵐 大 『ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた 30のこと』
 五十嵐大さんの自伝的エッセイ『ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと』(幻冬舎)が静かな反響を呼んでいます。聴覚障害者である両親に愛情を注がれ、幸せな幼少期を送っていた五十嵐さん。しかし自分の家族が〝ふつう〟と異なっていることに気づき、大好きだった母すら疎ましく感じるように
著者の窓 第4回 ◈ 王谷 晶 『ババヤガの夜』
 現代女性のリアルな声をすくいあげた小説・エッセイで注目される作家・王谷晶さん。昨年十月に刊行された最新作『ババヤガの夜』(河出書房新社)は、女性作家には珍しいハードな展開に心震わされるバイオレンス長編です。暴力の才能に秀でた新道依子と、不自由な生活を強いられている暴力団組長の娘・内樹尚子。
 アートディレクションを担当したパルコの広告で一時代を築き、衣装デザインを手がけたフランシス・コッポラ監督の映画『ドラキュラ』でアカデミー賞を受賞。国境も文化の壁も越え、ワールドワイドに活躍した伝説のデザイナー・石岡瑛子(一九三八~二〇一二)。ギンザ・グラフィック・ギャラリーと東京都現代美術館で展覧会が同時開催され、
著者の窓 第2回 ◈ 三浦しをん 『マナーはいらない 小説の書きかた講座』
『まほろ駅前多田便利軒』『舟を編む』などの人気作品で知られる三浦しをんさんが、初の小説の書き方エッセイ『マナーはいらない 小説の書きかた講座』を刊行しました。小説を書くうえで大切なテクニックや
著者の窓 第1回 ◈ 梨木香歩 『炉辺の風おと』
『西の魔女が死んだ』『家守綺譚』などの幻想的な小説や、『春になったら莓を摘みに』『水辺にて』などの自然をテーマにしたエッセイで多くの愛読者をもつ梨木香歩さん。最新作『炉辺の風おと』は、数年前からの八ヶ