文学的「今日は何の日?」【4/6~4/12】
あの名作が世に出た日。
憧れのヒロインの誕生日。
かの大作家の失恋記念日。
……そう、毎日が何かの記念日です。さて、今日は何の日でしょうか。
4月6日から始まる1週間を見てみましょう。
4月6日
「たいせつなことはね、目に見えないんだよ」――あの『星の王子さま』が刊行される
第二次世界大戦中の1940年、フランスの小説家アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリは、ドイツ寄りの姿勢をとるフランスのヴィシー政権への反発から、ポルトガル経由でアメリカに亡命。その亡命先のアメリカで1943年4月6日に出版したのが、今も世界中で愛され続ける童話『星の王子さま』です。ニューヨークの出版社レイナル&ヒッチコックから、フランス語版と英語版が同時に刊行されました。サハラ砂漠に不時着した飛行士の「ぼく」と、どこか遠い星から来た「王子さま」の出逢いと別れの物語。この機会に読み返してみてはいかがでしょうか。
出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4001156768/
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4月7日
川端康成の貴重な少女小説『親友』の主人公2人の誕生日
昭和文学を代表するノーベル文学賞受賞者・川端康成が、実は低年齢層の読者に向けた少女小説も書いています。そのうちのひとつ『親友』は、安宅めぐみと田村かすみという、新制中学1年の同級生2人が主人公。ともに4月7日生まれで、いとこ同士のように顔かたちが似ていることから、自然と仲良くなりました。あまえんぼうで少し気難しいかすみに対し、めぐみは正反対ののんびり屋。かすみのおじさまに対する反発、憧れの上級生・容子の登場などの出来事に翻弄され、時に仲たがいしてしまうことも。そんな2人に、やがて別れの日が訪れて……。BL小説の元祖のような展開です。
出典:https://www.shogakukan.co.jp/books/09352247
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4月8日
『重力ピエロ』の主人公の弟・春が生まれる
伊坂幸太郎が初めて直木賞候補となった小説『重力ピエロ』において、現代美術の巨匠パブロ・ピカソが死んだ1973年4月8日に生まれたのが、主人公・
出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4104596019/
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4月9日
主人公・松平残九郎の母、「くそ婆あ」こと麻佐女が八面六臂の働き
渡辺謙主演のテレビドラマでも人気の高い、柴田錬三郎の時代小説『御家人斬九郎』。第3篇「あの世で金が使えるか」は、
出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4087453308/
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4月10日
アメリカ近代文学の金字塔『グレート・ギャツビー』が発売される
1925年のこの日、F・スコット・フィッツジェラルドの3作目の長編小説『グレート・ギャツビー』が刊行されました。発売日が迫るにつれ、著者は本当にこの題名でいいのか?と悩み始めます。初めは『金の帽子のギャツビー』、次は『赤と白と青の旗のもとに』に変えたいと申し出ますが、編集者から「直接的なほうが、ずっとアイロニーが効くのでは」と言われてやっと決断。しかし売れ行きは思わしくなく、版元であるスクリブナー社から前借りしていた6000ドルも返せなかったといいます。この作品が見直され、フィッツジェラルドの代表作、アメリカ近代文学の金字塔と再評価されるようになったのは、彼の死後10年以上たってからのことでした。
出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4794221320
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4月11日
『怪談牡丹燈籠』で、飯島平太郎が酔漢を斬り殺す
明治期の名人として数多くの創作落語を残した三遊亭円朝の怪談噺『怪談牡丹燈籠』において、寛宝3年4月11日のこの日、湯島天神で聖徳太子の御祭礼が行われました。そのとき、刀屋の店先で刀の目利きをしていた若侍・飯島平太郎の
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4月12日
仮装舞踏会の夜、億万長者マイルズ・デスパードが謎の死を遂げる
アメリカの推理作家ジョン・ディクスン・カーの代表作のひとつ『火刑法廷』において、4月12日の夜、大富豪デスパード家の当主マイルズが胃腸炎のため亡くなりました。マイルズ死去の晩、古めかしい服を着た女性が彼の部屋にいたこと、その女性は200年前にふさがれたドアから出て行ったことを知り、死因に疑問を抱くマイルズの甥マーク。遺体の確認をしようとしますが、なんと遺体は納骨堂から消えていました。推理小説と怪奇小説を融合させた怪奇ミステリーともいうべき作品で、2006年には「ミステリマガジン」誌の「オールタイム・ベスト」第2位に選ばれています。
出典:https://www.amazon.co.jp/gp/product/4150703701
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初出:P+D MAGAZINE(2020/04/06)