ミステリー小説

今月のイチオシ本【ミステリー小説】
 たとえばリーガル・サスペンスでは、ひとを裁くことの難しさが繰り返し採り上げられ、このジャンルにおける永遠のテーマのひとつになっている。つまり人間とは、容易に割り切れない存在である「ひと」をはかることに決して長けてはいない証左といえよう。けれど社会で生きていく限り、ひとはひとからはかられ、評価づけされることからは逃れら
今月のイチオシ本【ミステリー小説】
 それが、現実──。ままならない日々を、そう割り切って受け入れていく生き方も、ひとつの処世術といえるのかもしれない。けれどそうすることで、目を背け、距離を置き、冷遇しているなにかを忘れてないか。丸山正樹『ワンダフル・ライフ』は、複数のケースを提示し、ミステリの手法を用いて読み手に、その〝なにか〟の一端をのぞかせようと
『放課後の嘘つきたち』酒井田寛太郎 ハヤカワ文庫  ライトノベルのフィールドから、青春ミステリの有力な書き手が颯爽と現れた。  酒井田寛太郎『放課後の嘘つきたち』は、全校生徒五千
今月のイチオシ本【ミステリー小説】
『売国のテロル』穂波 了 早川書房  アフリカの小さな漁村から世界各地に広まったとされる、従来の抗生物質や成分ワクチンがまるで効かない新型の炭疽菌災禍。漁村からは都市や農村への渡航、空
Anohi
 物事の表層を一瞥しただけで、つい訳知り顔をしてしまう人間の卑しい浅はかさ。まさきとしか『あの日、君は何をした』は、大鎌を振り被りながら、それはおまえにも当てはまらないか──と終始読み手を問い質すよう
SilverCountry
 冒頭で、渋谷を混乱に陥れた女性ゲームクリエイターが自ら命を絶つ、『虹を待つ彼女』(第三十六回横溝正史ミステリ大賞受賞作/二〇一六年)。人工知能による作曲アプリが普及した作曲家なき世界で、それでも作曲
Tokyo_Hollowout
 東京オリンピック開幕を控えた七月、新聞記者の塚口は、不審な電話を受ける。相手は、開会式の日に都内を走るトラックの荷台でシアン化水素ガス──青酸ガスを発生させるという。すると直後、その予告が嘘ではない
Shikeihyouketsu
 チャリティコンサートが行なわれていた高松駅前の広場で、紙袋に入れられた手製の爆弾が爆発。十二歳の少年が死亡し、十数名の重軽傷者を出す大惨事となった。警察は防犯カメラの映像を手掛かりに、当時十九歳の小
jinmen
 手続きや協議の支援をはじめ、相続に関するマネージメントを請け負う「相続鑑定士」である三津木六兵には、常に行動をともにする〝ジンさん〟なる相棒がいる。濁声の毒舌家で、六兵を「ヒョーロク」と呼んで小馬鹿
gokujounowana
「簡単な雑用から重大な任務まで、なんでもお引き受けいたします」  悪人たちのもとにふいに届く、「便利屋」からの簡素なダイレクトメール。連絡先は携帯の番号のみ。いったい差出人は何者なのか──?  深木章
lastpage
 それまで思い描いていた物語の様相が一変し、大いに驚嘆させられる悦び。ミステリーのなかでも、こうした「どんでん返し」や意表を突く急展開がお好みの向きも多いことだろう。水生大海『最後のページをめくるまで
sister
 十九歳の少女──君待秋ラは、十年ぶりに発見された異能の持ち主「匿技士」だ。彼女の前に立ちはだかる男──麻楠均もまた「匿技士」であり、その手に握られた鉄筋は彼の特殊な能力によって生み出されたものだった
daiseido-shoei
 周木律のデビュー作『眼球堂の殺人 ~The Book~』(第四十七回メフィスト賞受賞作)刊行から早六年。ついに「堂」シリーズが、第七弾『大聖堂の殺人 ~The Books~』で大団円を迎えた。  二
murders-shoei
 総合商社に勤める阿久津清春は、帰宅途中、街灯の光のなかで揉み合う男女に遭遇し、女から助けを求められる。ナイフを持った背広姿の男に襲われているのは、以前に合コンめいた食事会で会ったことのある柚木玲美だ
keidaidehaoshizukani-shoei
 葬儀社、国会議員、新興宗教の教祖、都知事、町役場の広報課etc。二〇一〇年、第四十三回メフィスト賞受賞作『キョウカンカク』(のちに『キョウカンカク 美しき夜に』改題文庫化)でデビューした天祢涼は、多
natsuwotorimodosu-shoei
 東京創元社《ミステリ・フロンティア》は、「次世代を担う新鋭たちのレーベル」として、二〇〇三年十一月にスタートした。第一回配本は、伊坂幸太郎『アヒルと鴨のコインロッカー』。以降、米澤穂信、桜庭一樹、道
shisyanoame-shoei
 スケールの大きな──という表現は、謀略サスペンスや冒険小説を評する際に用いられることが多い。だが、周木律『死者の雨 ─モヘンジョダロの墓標─』は、本格ミステリーながら異例ともいえる、まさに"スケール
kiminoomoide-shoei
 持病と不眠症、そして過去の苦い記憶に苛まれ、すっかり人生に絶望していた遠藤達也の前に、「思い出コーディネーター」を名乗る見知らぬ女性が現れる。彼女は、達也が一か月後の八月三十一日に死亡することを告げ