長月天音

週末は書店へ行こう! 目利き書店員のブックガイド 今回の目利きさん うさぎや 矢板店 山田恵理子さん
 ウクライナの4歳の女の子が空爆で命を落としたと自宅でつけているテレビのニュースから流れてきた。亡くなる1時間前に母親と笑顔で歩いていた映像に涙が出てくる。幼い子どもの被害に耐えられない。もうやめてと世界中から願っても止められない。もっと現代には秩序があると思っていたが、幻想だった。『モノクロの夏に帰る』を執筆するにあ
長月天音『ほどなく、お別れです 思い出の箱』
変わるものと、変わらないもの 東京の外れに暮らす私は、時々無性に東京スカイツリーが恋しくなる。いてもたってもいられなくなり、つい足を運んでしまう。展望デッキまで上ることもあれば、下から見上げて満足するだけのこともある。スカイツリー周辺が舞台の『ほどなく、お別れです』の執筆中は、近隣を歩き回って作中の人物の気持ちを想像す
◎編集者コラム◎ 『ほどなく、お別れです』長月天音
 7月6日に文庫判が発売となった『ほどなく、お別れです』は、長月天音さんのデビュー作です。2018年に第十九回小学館文庫小説賞を受賞(応募時タイトル「セレモニー」)し、単行本として刊行された際には、グリーフケア(身近な人を亡くし悲嘆に暮れる人に寄り添い、立ち直るまでの道のりをサポートする遺族ケア)小説として大きな反響を
思い出の味 ◈ 長月天音
 小学校中学年の頃まで、夏休みを山小屋で過ごしていた。父親が山小屋の管理人だったのだ。日本百名山にも選ばれた山の山頂近い小屋まで、食料の詰まった重いリュックを背負った母と弟と私は、子供の足で四時間ほど
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悲しみの場所で強く生きる  私は霊感があるわけでも〝気〟に敏感なわけでもない。しかし〝悲しみの気配〟というものを確かに感じたことがある。  大学生の頃、私は葬儀場でアルバイトをしていた。告別式では、
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人は生死の境界線をも越えた無数の繋がりの中で生きている  長野県で地域医療に従事する医師である夏川草介は、2009年に様々な患者と向き合う内科医の姿を描いた『神様のカルテ』で第10回小学館文庫小説賞
長月天音さん『ほどなく、お別れです』
 東京で実家暮らしをしている大学四年生の清水美空は、就職活動で連戦連敗し、三年前に始めたものの休職中だったアルバイトに復帰する。スカイツリーのすぐ近くにある地上四階建ての葬儀場、坂東会館のスタッフの仕