【NYのベストセラーランキングを先取り!】人間とVR世界で生き続けるアバターは共存できるか? ブックレビューfromNY<第62回>

NY在住のジャーナリスト・佐藤則男が紹介する、アメリカのベストセラー事情と、注目の一作をピックアップするコラムの62回目。今回は、2018年にスピルバーグ監督によって映画化もされた世界的ベストセラーの続編を紹介します。

<第62回>世界的ベストセラーの続編は、VRで生き続けるアバターと人間の生き残りをかけた仮想戦争


Ready Player Two/ by Ernest Cline
Ballantine, 2020.370ページ. US$28.99.

今月のベストセラー事情

今月の「ニューヨーク・タイムズ ベストセラー事情」は、ハードカバー・フィクション部門のトップ10 (2021 年1月3日の週)[1]を紹介する。

1.A Time for Mercy

By John Grisham
Doubleday

ジェイク・ブリガンスは、国選弁護人として殺人の容疑をかけられた若い男の弁護をすることになった。「ジェイク・ブリガンス」シリーズ3作目。
(ベストセラー10 週目)


2.Ready Player Two

By Ernest Cline
Ballantine

前作Ready Player Oneの中で、仮想現実世界オアシスの創設者ハリデーの遺言で行われたコンテストで優勝し、ハリデーの遺産を相続してオアシスの所有者となったウェイド・ワッツとその仲間は、人類の運命を左右しかねないチャレンジに遭遇する……。
(ベストセラー4週目)


3.Deadly Cross

By James Patterson
Little, Brown

ワシントンD.C.の2件の殺人事件の捜査のため、刑事アレックス・クロスとFBI特別捜査官ネッド・マホニーはアラバマ州へ飛んだ……。
(ベストセラー6週目)


4.The Return

By Nicholas Sparks
Grand Central

海軍の軍医だったトレヴァー・ベンソンはアフガニスタンで重傷を負ったため本国に戻り、祖父から相続したノースカロライナ州の家で静養していた。そして、その地で知り合った2人の女性によって、彼の人生は大きく変わることになった。
(ベストセラー12週目)


5.The Vanishing Half

By Brit Bennett
Riverhead

南部の小さな黒人コミュニティで生まれ育った双子の姉妹は16歳の時に家出した。そして14年後、姉は故郷の黒人の町に戻って黒人の娘と暮らし、妹は白人に成りすまして白人と結婚していた。離れ離れになり全く異なった暮らしをしていた2人の運命は複雑に絡み合っていく。
(ベストセラー29週目)


6.Where the Crawdads Sing

By Delia Owens
Putnam

1969年、ノースカロライナ州の静かな町でチェース・アンドリュースの死体が発見された時、地元の人たちは、湿地帯で一人暮らしをし、《湿地帯の娘》と呼ばれていた若い女性を犯人だと思った。
(ベストセラー120週目)


7.Daylight

By David Baldacci
Grand Central

FBI捜査官のアトリー・パインは、6歳の時に誘拐され消息不明の双子の姉妹メアリーを探していたが、彼女の捜索は、軍隊の捜査官ジョン・プラーの捜査活動とオーバーラップし、2人は世界規模の陰謀に巻き込まれていった。「アトリー・パイン」シリーズ3作目。
(ベストセラー5週目)


8.The Sentinel

By Lee Child and Andrew Child
Delacorte

さすらいの男ジャック・リーチャーは、ある朝テネシー州のプレザントビルという町に着いた。そこで1人の男が4人組に待ち伏せされ攻撃されているのを見かけ、この男を助けた。そしてリーチャーは、ラスティ・ラザフォードと名乗るこのさえない男が思いもかけずに関わってしまった陰謀と殺人に巻き込まれる羽目に陥った。「ジャック・リーチャー」シリーズ25作目。
(ベストセラー8週目)


9.The Awakening

By Nora Roberts
St. Martin’s

アイルランドに旅行したブリーン・ケリーは、妖精と人魚の世界に足を踏み入れた。The Dragon Heart Legacy 3部作の1作目。
(ベストセラー4週目)


10.The Law of Innocence

By Michael Connelly
Little, Brown

愛車リンカーンのトランクから死体が発見され、殺人容疑で逮捕された弁護士ミッキー・ハラ―は自分で自分を弁護することにした。「ミッキー・ハラ―」シリーズ6作目。
(ベストセラー6週目)


クリスマス前に出版された新作の激しい売り上げ合戦が一段落し、新年になって大御所作家の作品が上位にランクされている。また、ロングセラーのWhere the Crawdads Sing(120週目)と The Vanishing Half(29週目)が、10位以内に返り咲いているのが目を引く。

今月は、初登場から3週間1位にランクされ、4週目の今週は2位のReady Player Twoを取り上げたいと思う。

[1]“A version of this list appears in the January 3, 2021 issue of The New York Times Book Review. Rankings reflect sales for the week ending December 19, 2020.” (このベストセラー・リストは2021年1月3日のニューヨーク・タイムズ紙ブックレビュー欄に掲載。リストは2020年12月19日で終わる週の売り上げをもとに作成されている。)

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