源流の人
アジア唯一の「演劇博物館」館長は不条理演劇の研究における第一人者 いま凝視するのは現代テレビドラマ 新聞やネットコラム記事で積極発信 言葉では簡単に表せない作品の魅力を探り、作り手に代わって言語化する。演劇・テレビ文化研究者が汲み取る豊かな表現世界とは。『エルピス──希望、あるいは災い──』(関西テレビ、脚本・渡辺あや
鋭いながらも淡々とした筆致を貫き現代社会を批評する姿に広がる共感 ラジオの穏やかな語り口も魅力的な気鋭のライターが見てきた世界とは 日常を斜めから見て本質に迫る言葉の担い手は、感じたことを綴り、発し、編み、世に問いかけ続ける 青白く見える星ほど、じつは表面温度が高い──。そんな天文の不思議を、彼の綴る文を読むと思い起こ
七〇年代から八〇年代を駆け抜けた英ロック全盛期の「巨星」らの肖像 一瞬も見逃さずシャッターを押した伝説の、日本人フォトグラファー 国境も人種も超えて自然体に生きてきた。被写体の陰日向なくレンズの向こうに見てきたものとは。一枚の写真がある。広々とした芝生に座る、四人の若者たち。空は青く、芝は碧く、誰もが皆、寛いだ表情を浮
七十年以上前、南の島マーシャルで息絶えた旧・日本兵が遺した日記 彼の生きた軌跡たどる息子の旅をひたむきに映像記録に刻み、後世へ 未知の土地、人、記録……様々な歴史実践を通じて、「問い」を投げかけ続ける表現者が目指すものとは 雲ひとつない青空の下、三人の中年女性が、笑い合いながら地べたに座っている。南洋の島国の光をぞんぶ
全世界の喝采を全身に浴びながら世界最高峰のコンクールで熱演 若きピアニストは白衣に身を包み現役医学生として研鑽を積む日々 選択肢はいくつあってもいい。心動かされる演奏は「ダブルメジャー」だからこその「自由」から生み出される。「ピアノの詩人」ショパンの生地・ワルシャワで、五年ごとに開催される「フレデリック・ショパン国際ピ
唯一無二の存在感 気鋭の俳優は日本舞踊の若き家元として脚光 たおやかに、ときに激情を秘めて多様な表現空間を自由に舞い踊る 華やかな舞台は稽古の積み重ねがあってこそ。三代目の心奥に秘めた確かな決意とこれから。俳優・二宮和也の演じる主人公・鳴沢温人が社長を務める会社に勤務し、彼の家で起きた誘拐事件の謎を解くべく尽くす温和な
食材の持ち味を見つめ、器を見つめシンプルかつ普遍的な料理を追求 創る者らと語り合い、切磋琢磨し小説や映像世界に深みを与えていく 評判が評判を呼び、おいしさを提供する道へ。人と土地との縁を大事にしてきたふたりの滋味深い生き方とは。一九六〇年代の沖縄・山原地域で育った少女・暢子を主人公にした、NHK連続テレビ小説「ちむどん
数字や勝利至上主義から脱却し楽しめるスポーツを希求していく アスリートや指導者を支えながら身体と心の声に、耳を傾け続ける きっかけは哲学者たちの言葉だった。研究者へとシフトチェンジしたラグビー元日本代表は、ノーサイド精神のもと後進を育てていく。「筋トレへの傾倒は、『しなやかな身のこなし』をむしろ阻害する方向に働く。から
新聞各紙を凝視し、俯瞰して世の中の有形無形を一刀両断 「将来世代に恥じないように」忖度なしに世に放つ 喋って、書いて、読み解いて。ネタとして時事問題を楽しむ発信者は、笑いに変えて核心を突く。毎朝、十四紙もの新聞を細かくチェックする。各紙を俯瞰しながら、ニュースの取り扱われ方の「クセ」を見つける。そして、世の中の有形無形
「孤独を解消すること」を命題に分身ロボット開発に没頭した日々 少年時代の苦い記憶を経て知った今を肯定しながら生きる尊さ 「生かされている」を「生きる」へ──テクノロジーで社会参加の可能性を広げる「黒い白衣」の開拓者は、空間を超えて人々を繫いでいく。東京・日本橋。昭和通りの交差点に面するカフェを訪ねた。「分身ロボットカフ
書店に生まれ、書店と共に生き続け絶望も乗り越えて「書店員の星」に まだ見ぬ一冊が拓く新たな人生の扉、次世代へ繋ぐために東奔西走は続く たった一冊から取次可能。流通の常識を覆す試みで、元書店員は本との出合いの場を広げてゆく。 一冊の本は、読む者を新たな世界へと繋ぐ扉だ──。その信念のもと、本と向き合い続ける人物と出会った言葉と真正面から向き合い磨き上げ、人物の活きる演劇空間を紡ぐ劇作家 物語は運命に翻弄され流転しながらそれでも光の射す方へと観衆を導く 芝居、ミュージカル、テレビドラマ。気鋭の脚本家は舞台の枠を超えて等身大の「人間」を描き出す。 この人の紡ぐ台詞は、一言たりとも聞き逃したくない──。劇場通いを日課とする筆者が敬愛する、気
言葉と真正面から向き合い磨き上げ、人物の活きる演劇空間を紡ぐ劇作家 物語は運命に翻弄され流転しながらそれでも光の射す方へと観衆を導く 芝居、ミュージカル、テレビドラマ。気鋭の脚本家は舞台の枠を超えて等身大の「人間」を描き出す。 この人の紡ぐ台詞は、一言たりとも聞き逃したくない──。劇場通いを日課とする筆者が敬愛する、気
デビュー四十年、還暦を越えた「東洋一のサウンド・マシーン」 ミナト・ヨコハマの風に吹かれ聴こえる旋律、見据える未来 初の全曲カバーアルバムで新境地を開いた〈歌うメロディー・メイカー〉は、聴く者を記憶の彼方へと誘い続ける。 カモメが蒼空を自由奔放に飛び交う、横浜港。その南端に突き出た本牧エリアは、日本におけるジャズやR&
大切なのは「ゼロ」からではなく「いち」からはじめるということ 大人気エッセイストが提唱する経験に依存しない新しい生き方 強い言葉は、ひとのこころを疲弊させる。言葉に込める思いがたとえ「正義」であったとしても、その思いを乗せる言葉が過剰に強ければ、広い海原ではおよそ予想もつかない波を生む。その波は、見当違いに海岸の砂を抉
「たそ」の愛称で親しまれる元タカラジェンヌはいま、花園の外から舞台を支え、新旧のファンを魅了する ある時は、主役の吸血鬼に血を吸われ、舞台上でやたらと暴れまくる、不動産業者。また、ある時は、王朝物でつねに目を半分だけ開けたままの、怪しげな右大臣。いかり肩でモヒカン頭の用心棒。角刈りにねじり鉢巻きの、威勢のいい車引き──
パラ・ファッションだからこそかっこよく。自らスカートの裾を翻し目指すパリコレで、ランウェイの先に見ている地平とは。 一枚の巻きスカートをまとい、揺るぎない眼差しで立つ。そんな男性の姿をとらえた写真が、ここ最近、メディアを駆けめぐっている。黒を基調としたロングの巻きスカートには、「無限の空間」を主題にしたという、ほの青く
若き日の欧州生活で得た国際感覚。数々のエンターテインメントレストランの創出者は、危機に瀕した日本の外食産業を救おうと闘っている。例年より遅く関東甲信地方の梅雨入りが発表された、その日の、宵のくち。東京・道玄坂上にある和食レストラン「権八 渋谷」を訪ねた。「大人の蕎麦屋」と銘打つこの店は、
国内外を問わず注目を集めるオルタナティブ書店の先導者は、未曽有の事態の中、新たな仕事を紡ぎ出す。東京・銀座一丁目。華やかな彩りをまとう大通りから入った閑静な一角に、世界でも唯一無二の書店がある。店の名は「森岡書店」。一九二九(昭和四)年に建てられたクラシックなビルの一階の、白を基調とした、シンプルでモダンな空間だ。