文学的「今日は何の日?」【8/17~8/23】
あの名作が世に出た日。
憧れのヒロインの誕生日。
かの大作家の失恋記念日。
……そう、毎日が何かの記念日です。さて、今日は何の日でしょうか。
8月17日から始まる1週間を見てみましょう。
8月17日
第9次遣唐使派遣の大使・多治比広成 、副使・中臣名代 らが選出される
井上靖の『天平の
出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4101063117/
<関連記事>
芥川賞作家・三田誠広が実践講義!小説の書き方【第60回】完成された中間小説
8月18日
柿本進一がゴルフに出かけたまま行方不明に――東野圭吾『探偵ガリレオ』
天才科学者・湯川学が常識を超えた事件の謎に挑む、東野圭吾の『探偵ガリレオ』。近所の池に釣りに出かけた2人の男子中学生は、大量のごみが投棄されたその池で、奇妙な金属板を見つけます。それは8月18日の早朝にゴルフに出かけたまま帰らず、行方不明となっていた歯科医・柿本進一の死に顔が精密に浮き上がったものでした。誰が、何のために、そしてどのようにして、硬い金属の板でデスマスクを作ったのか? 捜査に当たる警視庁捜査一課の草薙俊平は、その謎を解明するため、大学時代の旧友で帝都大学理工学部物理学科助教授の湯川に協力を求めるのでした。テレビドラマ化もされた人気シリーズの第1作です。
出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4167110075/
<関連記事>
【人物の心情描写が秀逸】東野圭吾のおすすめ作品5選
悩めるあなたに送りたい、東野圭吾の名言10選
東野圭吾『マスカレード・ホテル』他、ホテルが舞台の小説6選
8月19日
フレドリック・ブラウン「気違い星プラセット」で、主人公が地球に帰る日
ユーモラスな文体で、ショートショートの名手として知られる、アメリカのSF作家フレドリック・ブラウン。短編「気違い星プラセット」は、2つの太陽の周囲を8の字型の軌道を描いて回る惑星プラセットが舞台です。2つの太陽の中間地帯で発生する異常現象のせいで、地球から来た職員は皆、1~2年で帰還してしまいます。ほぼ3年間ここにいたランドも地球に帰る決心をし、退任を申し出ました。ところがその直後、しびれるような美女が彼の前に現れます。なんと彼の秘書だというのです。俄然地球に帰りたくなくなったランドですが、すでに彼の辞意は受理され、4日後の8月19日にアーク号で帰還することに……。ランドに逆転する術はあるのでしょうか?
出典:https://www.amazon.co.jp/dp/B07L9FXJK5/
<関連記事>
フレドリック・ブラウンのおすすめ作品5選
8月20日
就活生・半沢直樹、産業中央銀行の接触を受ける――池井戸潤『オレたちバブル入行組』
「倍返しだ!」のセリフでおなじみの、池井戸潤「半沢直樹」シリーズ。その第1作『オレたちバブル入行組』において、1988年8月20日午後9時過ぎ、慶應義塾大学経済学部の学生・半沢直樹は、産業中央銀行から電話を受け、翌朝池袋支店前で「サンデー毎朝」を持っている男に声をかけるよう指示されます。この頃、就職協定で決められていた学生による会社訪問解禁日は、9月1日。協定破りとなる企業からの接触に応じて出向いた半沢は、順調に二次面接、三次面接へと進み、そして同じ大学の渡真利忍、近藤直弼らと共に産業中央銀行から内定を得ました。半沢の「倍返し」の物語は、この日、始まったのです。
出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4167728028/
<関連記事>
【テンポの良いストーリー展開】池井戸潤のオススメ作品5選!
池井戸潤のドラマ化された人気作品をご紹介
就活小説に学ぶ、内定を勝ち取れるかもしれない4つの方法。
『陸王』池井戸潤・著者インタビュー
8月21日
八百善当主、永田町での店舗再開を決意――宮尾登美子『菊亭八百善の人びと』
江戸幕府8代将軍・徳川吉宗の時代に、浅草で創業した老舗料亭「八百善」。文人墨客や幕府の要人、果ては将軍までを客とする名店として知られていましたが、関東大震災で焼け落ち築地に移転、さらには戦中の高級享楽停止で閉店していました。宮尾登美子の『菊亭八百善の人びと』は、この名店の再興の物語です。昭和26年8月21日、八百善の8代当主・杉山了二は、永田町で店を再開することを決めます。長男・秀太郎は音楽の道に進んでいたため、会社勤めをしている次男・福二郎に店を任せるという了二。秀太郎や娘たちは反発しますが、了二の決定は覆りません。福二郎の妻・汀子の奮闘の日々が始まるのでした。
出典:https://www.shogakukan.co.jp/digital/09D053120000d0000000
<関連記事>
小説は美味しい。とっておきの料理シーンだけ集めました。
『檀流クッキング』をプロの手で再現!【夏メニュー編】
8月22日
チェーホフの戯曲『桜の園』で、ラネフスカヤの桜の園が競売にかけられる
ロシアの作家アントン・チェーホフ最後の戯曲となった『桜の園』は、日本でもたびたび上演され、親しまれている作品です。夫に先立たれ、直後に幼い息子も失ったラネフスカヤは、傷心のあまり娘と共にパリに渡り、5年後の5月、自分の邸宅「桜の園」に帰ってきました。かつては裕福だったラネフスカヤですが、今では借金まみれ。「桜の園」も8月22日に競売にかけられることが決まっています。商人のロパーヒンは広大な「桜の園」の一部を別荘地として貸し出し、収入を得るように助言しますが、ラネフスカヤには決断ができず、といって散財をやめることもできず……。作者の死の半年前に初演され、妻で女優のオリガ・クニッペルがラネフスカヤを演じた、チェーホフの代表作のひとつです。
出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4334752594/
<関連記事>
沼野充義著『チェーホフ 七分の絶望と三分の希望』が提唱する新しい像―川本三郎が解説!
8月23日
キャプテン・ゴーゴーが遭難、謎の宝箱が残される――角野栄子『魔女の宅急便』
スタジオジブリの人気アニメ映画『魔女の宅急便』は、角野栄子の同名の児童小説が原作です。魔女の世界のきまりに従い13歳でひとり立ちしたキキは、自分が使えるたったひとつの魔法「ほうきで飛ぶこと」を生かして、おとどけやさんを始めました。ある日、配達を頼まれたのは、沈没船から見つかった古い鍵。キャプテン・ゴーゴーの名前と住所が彫られたその鍵を、持ち主に届けてほしいというのです。その住所には今もキャプテン・ゴーゴーの曾孫と家族が暮らしており、何かが納められた宝箱が残されていました。依頼品はその鍵だったのです。キャプテン・ゴーゴーの命日である8月23日に、毎年、中身の当てっこをしてきたという一家。待ちに待った宝箱の中身とは?
出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4834022633/
<関連記事>
【著者インタビュー】鈴木敏夫『南の国のカンヤダ』
『仁義なき宅配 ヤマトvs佐川vs日本郵便vsアマゾン』
初出:P+D MAGAZINE(2020/08/17)