デビュー小説

今月のイチオシ本【デビュー小説】
『貝に続く場所にて』は、今年の群像新人文学賞を受賞したデビュー作だが、第165回の芥川賞を射止めた(李琴峰『彼岸花が咲く島』と同時受賞)。3・11小説の側面が強調されるが、選考会後の会見で松浦寿輝が「震災から10年を経ないとこの物語に昇華できなかった、と感じさせる独創的なアプローチと感じました」と述べたように、正面から
今月のイチオシ本【デビュー小説】
 7篇の短篇を収めたこの独特すぎる作品集の魅力を、いったいどう伝えればいいのか。幻想小説でもファンタジーでもSFでもコメディでもない。ルイス・キャロルとジュール・ヴェルヌと宮沢賢治と江戸川乱歩を混ぜ合わせて攪拌し、どうでもいい蘊蓄や雑学をぼかすか放り込み、自由闊達・融通無碍な文体でユーモアたっぷりに再構成した感じ?
今月のイチオシ本【デビュー小説】
 茜灯里『馬疫』は第24回日本ミステリー文学大賞新人賞の受賞作。パンデミックもののサスペンスは数あれど、馬が主役というのは初めてではないか。しかも、その設定が大胆不敵。時は2024年1月。欧州で新型コロナがふたたび猛威をふるい、パリ五輪が見送られて、2回連続の東京五輪(!)が開かれることに。
今月のイチオシ本【デビュー小説】
 クリープハイプの尾崎世界観が候補になったこともあり、メディアでも派手に報道された第164回芥川賞。下馬評通り、宇佐見りん『推し、燃ゆ』が受賞したが、デビュー作ながら同じ回の候補になったのが、すばる文学賞受賞の本書。題名はポルトガル語で〝配偶者〟の意味(著者によれば、コンタクトと同じく、「コン」にアクセントがあるらしい)。
今月のイチオシ本【デビュー小説】
『人工知能で10億ゲットする完全犯罪マニュアル』 竹田人造 ハヤカワ文庫  最高にポップでテッキーな最新型のAIコンゲーム小説が登場した。その名も、『人工知能で10億ゲットする完全犯罪
今月のイチオシ本【デビュー小説】
『隣人X』パリュスあや子 講談社 『隣人X』は、第14回小説現代長編新人賞の受賞作(鯨井あめ『晴れ、時々くらげを呼ぶ』と同時受賞)。それぞれに悩みを抱えた3人の女性が小説の軸になる。文
HouteiYuugi
 現在の日本を舞台にしながら、リアルな法廷シーンで、あっと驚く鮮やかなどんでん返しを決めるのはむずかしい。せっかく裁判員制度が始まったというのに、それと同時に〝公判前整理手続〟が導入された結果、裁判の
Ai_no_Iikae
 2018年に惜しまれつつ解散したベイビーレイズJAPANは、6年の活動期間中に武道館公演も達成した中堅クラスの5人組女性アイドルグループ。ライブは何度か観たことがあるし、テレビの冠番組も観てましたが
Shamonuma
〈しゃもぬまを知っているだろうか。/中型犬くらいの大きさの馬で、見た目はロバに似ている。/体毛は薄橙色がかった灰色で、ところどころ色にムラがある。(中略)/人の言うことは聞かない。荷を引いたり、人を乗
ded_line
 著者は1978年生まれの哲学者。博士論文「ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学」を改稿した初の単著『動きすぎてはいけない』が哲学書としては異例のベストセラーになり、ツイートを書籍化した『別のしかたで』や
TsukinoOtoshiko
 早川書房が主催する公募新人賞、アガサ・クリスティー賞から、超大型サスペンスが登場した。とりわけ冒頭部分の牽引力は抜群で、選考委員の北上次郎氏が、「採点は5点満点だが、6点を付けようと思った」と書いて
hoshikudaki
 松葉屋なつみ『星砕きの娘』は、東京創元社が主催する創元ファンタジイ新人賞の今年(第4回)の受賞作。ファンタジイはあんまり……という読者もいるだろうが、本書はのっけからぐいぐい読ませる伝奇時代小説の秀
mamito
 劇作家が小説を書いて注目されるのは珍しくないというか、近年の純文学の大きな流れの一つ。本谷有希子、岡田利規、前田司郎、山下澄人、戌井昭人……。  小説家としてのデビュー単行本『マミトの天使』を出した
camouflage
 以前この欄で紹介した高山一実『トラペジウム』は、乃木坂46の主力現役メンバーの初長編だったが、本書『カモフラージュ』は、SKE48の中心メンバーだった松井玲奈の初単行本。食べものを軸にした全6編の短
onitsukijyube-shoei
 一昨年、不死鳥のごとく甦った日本ファンタジーノベル大賞から、チャンバラ伝奇小説のすばらしい快作が登場した。その名は『鬼憑き十兵衛』。ファンタジーはちょっと……という人も、時代小説はあんまり……という
utsukushi-shoei
 異国情緒あふれる南国を舞台に、宝石のように煌めく四つの物語がゆるやかにつながる。キーワードは記憶と感覚。  冒頭の「苦い花と甘い花」の主人公は、辺鄙な村から、東ティモールの首都ディリへと越してきた少
torapejium-shoei
 話題の『トラペジウム』は乃木坂46の一期生・高山一実のデビュー長編。男性アイドルでは、NEWSの加藤シゲアキが作家としても活躍中だが、現役のトップ女性アイドルが長編小説を刊行するのは、もしかしたら史
_永遠についての証明
 小説新人賞からこんな作品が出てくるとは。第9回野性時代フロンティア文学賞に輝く岩井圭也『永遠についての証明』は、過去にほとんど類例のない、数学青春小説の傑作である。  角川書店主催の同賞は、一昨年、