歴史・時代小説

採れたて本!【歴史・時代小説】
『塞王の楯』で直木賞を受賞した今村翔吾の受賞後第一作は、池波正太郎、司馬遼太郎、火坂雅志らが取り上げた人気の戦国武将・真田幸村を描いている。関ヶ原の戦いに勝利し豊臣家を滅ぼす機会を狙う徳川家康のもとに、二度も煮え湯を飲まされた真田昌幸の息子・幸村が大坂城に入ったとの報告が届く。長男の信之は家康に仕え、第二次上田合戦で徳
採れたて本!【歴史・時代小説】
 明治末の一九〇八年、木下杢太郎、北原白秋、長田秀雄、吉井勇、石井柏亭ら耽美派の芸術家が、〈牧神の会〉を結成した。宮内悠介の新作は、隅田川沿いの第一やまとで開かれる会合で語られる不思議な話を、〈牧神の会〉のメンバーが推理する多重解決ものの連作集である。団子坂に展示された乃木将軍の菊人形に刀が突き刺されたが、番人は刀を持
採れたて本!【歴史・時代小説】
 源平合戦から鎌倉初期は歴史小説の激戦区の一つになっているが、今年の大河ドラマが人気脚本家の三谷幸喜が手掛ける『鎌倉殿の13人』ということもあり、昨年は、周防柳『身もこがれつつ 小倉山の百人一首』、武内涼『源氏の白旗 落人たちの戦』、奥山景布子『義時 運命の輪』、伊東潤『夜叉の都』など力作の刊行が相次いだ。保元の乱に敗
今月のイチオシ本【歴史・時代小説】
 冲方丁『月と日の后』は、藤原道長の娘で一条天皇の中宮になった彰子の一代記である。著者は、一条天皇の皇后・定子と清少納言を描いた『はなとゆめ』を発表しており、紫式部が仕えた彰子に着目したのは必然だったのかもしれない。道長の命で一二歳で入内した彰子だが、すぐに一条天皇が真に愛する定子が敦康を出産、道長が揃えた名家出身の女
今月のイチオシ本【歴史・時代小説】
 伊東潤『琉球警察』は、警察小説の手法で、戦後史、日米関係などを描いた『横浜1963』の系譜の作品である。奄美諸島の徳之島出身の東貞吉は、一八歳の時、働きに出た沖縄で警察官に採用された。沖縄では奄美出身者は差別されており、貞吉は警察学校の教官・大城から何度も鉄拳制裁を受ける。そんな貞吉の救いになったのが、奄美出身ながら
今月のイチオシ本【歴史・時代小説】
 直木賞候補になった『春はそこまで 風待ち小路の人々』など市井人情ものの時代小説で人気を集める志川節子の新作は、〝日本の博物館の父〟と呼ばれる田中芳男を主人公にしており、初の歴史小説に挑んで新境地を開いたといえる。信州飯田城下の医師の家に生まれ、子供の頃から植物や鉱物を集めるのが好きだった芳男は、兄を早くに亡くし、
今月のイチオシ本【歴史・時代小説】
 デビュー作『虎の牙』、二作目『落梅の賦』と戦国時代の武田家にこだわってきた武川佑は、三作目となる本書で、架空のヒロインを主人公に、先行作が少ない室町六代将軍・足利義教の時代を舞台に選んだ。迫力の戦闘シーンや重厚なテーマを継承しつつも作風を広げたところは、新境地といっても過言ではない。
今月のイチオシ本【歴史・時代小説】
 実在した上海自然科学研究所の研究者が、戦時下の上海で細菌兵器の謎を追う『破滅の王』が直木賞候補になった上田早夕里の新作は、やはり戦前の上海を舞台に日中戦争の和平交渉を描いている。一九三九年、今井武夫陸軍大佐らが中心となり、蒋介石と和平交渉をする「桐工作」が進められた。当時の中国は親日派の汪兆銘と対日強硬派の蒋介石が争
『妖しい刀剣 鬼を斬る刀』東郷 隆 出版芸術社  博覧強記で時代考証にも定評がある東郷隆は、文物の故事来歴を掘り下げる江戸時代の考証趣味に通じる『戦国名刀伝』『本朝甲冑奇談』などを発表
今月のイチオシ本【歴史・時代小説】
 一七九八年、長崎から出港したオランダ船が、暴風雨で座礁、沈没した。長崎奉行は沈没船の引き揚げができる人間を募集したが、ことごとく失敗した。そこに廻船業者の村井屋喜右衛門が現れ、難事業を成功させた。『南総里見八犬伝』『真田十勇士』などで歴史時代小説作家としても注目を集める松尾清貴の新作は、生地の山口県や活躍した
Yukihatago
 第二七回鮎川哲也賞を受賞した今村昌弘『屍人荘の殺人』は、各種ミステリ・ベスト一〇の一位を独占するなど高く評価された。同賞の最終候補だったのが、江戸北町奉行所定町廻り同心で「八丁堀の鷹」の異名を持つ戸
Shishinn
 馳星周の初の歴史小説『比ぶ者なき』は、名家の出身ながら政治的には不遇だった藤原史(後の不比等)が、なりふり構わず上を目指すノワール色の強い作品だった。続編となる本書は、前作に登場した不比等の宿敵・長
SHikkiraretaOnna
 伝説のハードボイルド作家だった高城高は、二〇〇九年に明治中期の函館を舞台にした新作の警察小説『函館水上警察』を刊行して復活した。続編『ウラジオストクから来た女』では、ルーツを調べるため函館に来た浦潮
taiheiyou_shokudou
 一九一〇年、全国の社会主義者、無政府主義者が、明治天皇の暗殺を計画したとして逮捕され、傍聴が許されず、証人も呼ばれない異常な裁判で二十四名が大逆罪で死刑(後に十二名は無期懲役に減刑)の判決を受ける大
SeijanoKakera
 先日、ローマ教皇フランシスコが来日され、反核兵器のメッセージを送った。言語学者・川添愛の初の歴史小説『聖者のかけら』は、現教皇が名前を受け継いだアッシジの聖フランチェスコ(英語名フランシスコ)が作っ
yuugennoeshi
 第一五回「このミステリーがすごい!」大賞の優秀賞を受賞した『京の縁結び 縁見屋の娘』で二〇一七年にデビューした三好昌子は、『京の絵草紙屋 満天堂 空蝉の夢』『群青の闇 薄明の絵師』など、江戸時代の絵
hebo
 今の歴史時代小説は二〇代、三〇代の活躍が目立っているが、そこに一九九〇年生まれの新たな若手が加わった。それが、西南戦争を題材にした『へぼ侍』で松本清張賞を受賞してデビューした坂上泉である。作中には、
himiko
 朝日時代小説大賞は、第一〇回での休止が発表された。最年少の二七歳で最後の受賞者となった森山光太郎は、同賞の第七回、第八回でも最終候補になった実力派で、デビュー作の題材は古代史の最大の謎とされる卑弥呼