【栃木県民マンガ】負けるな!ギョーザランド!! 第12回 神々は栃木に集う! まんが/いちごとまるがおさん 監修/篠﨑茂雄
長らく連載してきた「負けるな!ギョーザランド」もいよいよ最終回。第1回でアマテラスとも関係のある神明宮を紹介したけど、今回はたくさんの神々が登場するぞ。あ、チャオズたちも神様だったね。

今回紹介する宇津救命丸は安土桃山時代創業で長い歴史を誇っている。
ついでに栃木の老舗企業トップ10を紹介すると……
第1位 板室温泉 大黒屋(旅館) 1551年(室町時代)
第2位 宇津救命丸(医薬品) 1597年(安土桃山時代)
第3位 上澤梅太郎商店(漬物) 1603年(江戸時代)
第4位 青源味噌(味噌) 1625年(江戸時代)
第5位 丸伊呉服店(呉服) 1627年(江戸時代)
第6位 第一酒造(清酒) 1673年(江戸時代)
第7位 渓雲閣(旅館) 1681年(江戸時代)
第8位 下藤屋旅館(旅館) 1683年(江戸時代)
第9位 シノザキ(木材卸売) 1689年(江戸時代)
第10位 大丸温泉旅館(旅館) 1691年(江戸時代)
さすがに原泉数で全国10位に入る栃木。
老舗企業10社のうち4社が旅館だ。
連載終了記念に栃木の老舗温泉巡りにいこうかな?
というわけで、単行本『負けるな!ギョーザランド』は
8月に大増ページで発売予定。
栃木に関係ある人はもちろん、ない人も手に取ってちょーだい!
単行本『負けるな!ギョーザランド!!』は小学館から8月6日に発売!
マンガ中の記号(※1)などは、マンガのあとに出てくる用語解説「餃子国の歩き方」の番号と対応しています。















■(※1)宇津救命丸

その昔、全国ネットで頻繁にテレビCMが流れていたから、宇津救命丸の存在を知らない人はいないだろう。でも、栃木の企業だったなんて、県民以外は驚くかも。しかも創業は安土桃山時代の1597年で、栃木の企業のなかでも2番目に古い歴史を誇る。ちなみに1位は須塩原市の板室観光ホテル大黒屋で、創業は1551年だ。
「宇津家の秘薬」金匱救命丸の優れた効能は次第に評判となり、のちに将軍を輩出することになる一橋家に毎年救命丸を献上するほどになったとか。
古くからの建物などがきちんと保存されており、5人以上集まれば、1659年につくられた宇津薬師堂や、かつての製造機械などを集めた宇津史料館の見学もできるぞ。
■(※2)足尾銅山

寛永通宝などの貨幣や日光東照宮、江戸城などの銅瓦などに使われた足尾の銅は、一時衰退した時代もあったが、戦後まで採掘が続けられていた。20世紀の初頭には日本の銅の産出量の40%を占めていたってーから、すごいべさ。
ただ、規模がでかいから周辺地域への影響もものすごく、坑道を支えるために木材を伐採したため、渡良瀬川は洪水が頻発。精錬の際に発生する亜硫酸ガスや、坑内などから出るヒ素、カドミウムなどの有害物質によって、深刻な環境汚染を引き起こした。
で、佐野出身の衆議院議員・田中正造(1841~1913)が国会でこの問題を激しく追及。議員辞職後の1901年には、天皇陛下に直訴しようとして失敗するけど、鉱毒問題は世間の注目を集めたんだわ。田中正造のことは、わりと最近まで小学校の教科書にものっていたから、みんな知ってるよね? その後、渡良瀬遊水地の設置などの対策が進められたが、銅産出量の減少もあって1973年に閉山となった。
銅山跡地には、トロッコで坑道に入れるメイン施設「足尾銅山観光」のほか、貴賓客の接待や宿泊施設として利用されていた迎賓館「古河掛水倶楽部」、足尾の歴史の紹介する「足尾銅山記念館」もある。旧坑口や閉山で誰も住まなくなった街並みも見れるから、一日中楽しめるぞ。
ちなみに、足尾銅山の成功をステップにして古河財閥が成立(戦後、解体されたけど)。古河財閥って、三井や三菱と比べると有名じゃないから、知らない人も少なくないかもしれないが、旧古河財閥の関連企業は結構多い。たとえば、古河機械金属、古河電気工業、富士電機、富士通、横浜ゴム、日本軽金属、朝日生命保険などなど。
ちなみに富士電機、富士通の「ふじ」は、古河の「ふ」、ドイツ・ジ(シ)ーメンス社の「じ」からつけられたものなのだよ。だから何だと言われたら困っちゃうけど。
■(※3)スサノオ

亡くなってしまったイザナミを黄泉の国に訪ねたイザナキが、帰ってから行った禊で生まれたのがアマテラス、スサノオたちきょうだい。スサノオはイザナキに「海を統治せよ」と命じられたのにこれを拒否したので、高天原から追放された。
その後、アマテラスを困らせて天の岩戸に隠れてしまうきっかけを作ったかと思えば、ヤマタノオロチを退治して、その尾から出てきた草薙太刀をアマテラスに献上したりと、やることなすことが極端。ともかく力が強くて暴れん坊、というイメージがある。
太陽の女神で最高神に位置付けられているアマテラスだが、この弟には手を焼いているようで……。
■(※4)殺生石

中国などで人心をたぶらかしていた九尾の狐が日本に上陸。鳥羽上皇に仕える女官となった九尾の狐=玉藻前は、次第に上皇の寵愛を受けるように。ところが上皇が病がちになり、陰陽師が原因を調べたところ、女官に化けていた九尾の狐のせいだとわかった。
九尾の狐は那須に逃れて悪さを繰り返していたが、ついに討ち取られる。が、毒をまき散らす石に姿を変えたので、殺生石と呼ばれるようになったとか。
これが2022年に真っ二つに割れて話題になったことを覚えている方もいるだろう。周囲には遊歩道が整備されているけど、硫黄の匂いが立ち込めるなかに地蔵が林立していて、なんだか黄泉の国に向かう道のよう。一度訪ねて損はないぞ!
■プロフィール
まんが:いちごとまるがおさん

田んぼに囲まれた田舎で創作活動を続ける、ひきこもりのおたく姉妹ユニット。栃木県佐野市在住。
姉の小菅慶子(代表)は1985年生まれ。グラフィックデザインから漫画、動画編集、3DCGまでやりたいことはなんでもやる。通信制高校の講師も。趣味はゲーム、ホラー映画、都市伝説。
監修:篠﨑茂雄

1965年、栃木県宇都宮市生まれ。大学・大学院で社会科教育学(地理学)を専攻したのち、県立高校の社会科教員を経て、現在は博物館に勤務。学芸員として、栃木県の伝統工芸、伝統芸能、生産生業、衣食住等生活文化全般(民俗)の調査研究、普及教育活動を行う。
著書は『栃木「地理・地名・地図」の謎』(じっぴコンパクト新書)、『栃木民俗探訪』(下野新聞社)など。
■作者よりひとこと
・いちごとまるがおさん
ついに待望の単行本化決定!
嬉しすぎるので、発売後はしばらくどこに行くにも持ち歩こうと思っております。
いろいろ書店イベント(サイン会やトークショーや原画展などなど…)ぜひ、やりたいです。
単行本化でギョーザランドの世界がもっと広がりますように!
・篠﨑茂雄
出版おめでとうございます。
関係者の方々、ありがとうございます。
栃木県民の一人として、とても嬉しく思います。
本書を読んで、興味を持った方は栃木に足を運び、
五感で栃木の魅力に触れてください。