アメリカでのベストセラーの中から注目の一冊・サスペンスの最新作に注目-ブックレビュー from NY【第6回】
今回の作品でも、主人公のデラニーが好意を持つワシントンポスト紙記者のジョナサン(ジョン)・クルーズと“Neary’s” で食事する場面がある。ジョンは子供の頃、両親とよくこのレストランに来ていて、「ここはキャリー元ニューヨーク州知事がよく来ていたレストランだ」とデラニーに説明している。またブルームバーグ元ニューヨーク市長がここのローストチキンが好きだという事で、デラニーとジョンもローストチキンを注文する。
実は、“Neary’s”は本コラム筆者もよく行くレストランで、実際にキャリー元ニューヨーク州知事は生前、このレストランの常連だった。また、筆者はブルームバーグ氏にこのレストランで何度も会っているし、メアリー・ヒギンズ・クラーク女史を見かけたこともある。オーナーのジミー・ニアリー氏は85歳の今もかくしゃくとして、レストランを取り仕切っている。
本コラム冒頭に掲げた写真は、ジミーにクラーク女史の最新作を持って撮らせてもらった1枚だ。
というわけで、筆者は昨夜、“Neary’s”でローストチキンを食べ、小説の余韻に浸ったのだった。
佐藤則男
早稲田大学卒。米コロンビア大学経営大学院卒(MBA取得)。1971年、朝日新聞英字紙Asahi Evening News入社。その後、TDK本社およびニューヨーク勤務。1983年、国際連合予算局に勤務し、のちに国連事務総長となるコフィ・アナン氏の下で働く。
1985年、ニューヨーク州法人Strategic Planners International, Inc.を設立し、日米企業の国際ビジネス・コンサルティングを長く手掛ける。この間もジャーナリズム活動を続け、ヘンリー・キッシンジャー元国務長官、ズビグニュー・ブレジンスキー元大統領補佐官らと親交を結ぶ。『文藝春秋』『SAPIO』などに寄稿し、9.11テロ、イラク戦争ほかアメリカ情勢、世界情勢をリポート。著書に『ニューヨークからのメール』『なぜヒラリー・クリントンを大統領にしないのか?』など。
佐藤則男ブログ「New Yorkからの緊急リポート」http://blog.livedoor.jp/norman123
初出:P+D MAGAZINE(2016/05/16)