新刊エッセイ

乙武洋匡『ヒゲとナプキン』
「誰かの物語」から「私の物語」へ  これまでも小説は手がけてきた。車椅子に乗った小学校教師の挑戦を描いた『だいじょうぶ3組』と、続編にあたる『ありがとう3組』、そして車椅子に乗
秋吉理香子『眠れる美女』
男性にもおすすめのバレエ・ミステリーです!  バレエを習ったことも観たこともなかった私がなぜバレエミステリーを書くことになったのかというと、担当者さまの「バレエを舞台とした
「小学生刑事」100億円のハードボイルド少女  皆さん、女子小学生はお好きでしょうか?  ――いえ、返事は結構。子供たちは日本の宝。愛らしく、元気で、日本の将来まで支えて
気球とタコとBLM  以前、北極に鯨を追う捕鯨船が主役の冒険小説を手がけたことがあった。神秘的な北極の自然描写が素晴らしくて、その訳出に苦労させられたのだが、まさかそれと同
始まりの木
「諸君、旅の準備をしたまえ」  我ながら、少し不思議な物語を書いた。変わり者の民俗学者とその教え子が日本各地を旅する物語である。格別奇をてらったわけではない。コロナ騒ぎでほとん
Chiemon
陸から見る海の風景  2015年8月17日、山口県周南市の櫛ヶ浜へ行った。台風の影響でJR山陽本線のダイヤが乱れていた。徳山駅から1駅、5分足らずの近場だが、天候不良のため電車は1時間
OsoroshiBakudan
恐ろしく自由な女──その名は乙子  いつの頃からか、会う人会う人に「お気楽でいいね」「自由だね」などと言われることが多くなった。むべなるかな。ノリで再受験した大学の途中から週刊誌の記者として働きはじ
Koufukunorecipe
女中さんたちに捧ぐ!  少し前に、SNSでちょっと話題になった投稿があった。  戦前の少年雑誌の豆知識のようなコーナーの後に、「このことは家の女中さんたちにも教えてあげましょう」という一文があった、
henbutsu_Zamurai
へんぶつによる、へんぶつの物語  この本が完成し、編集者の方が届けに来て下さった日。 駅前の建物のロビーで待ち合わせたが、わたしは案の定、道に迷ってしまった。 逆方向に歩いていたことに
NijuuKosoku_Aria
身近なパラドックス  人はなぜうそをつくのだろうか。唐突だが、作品を創るときに私はよくこれを考える。幼いころからうそは悪だと再三にわたって教えられ、ほとんどの年齢層で『うそつき』は嫌われ者の代名詞だ
Taikyoku
みっともなくても生きてみるか  高校生の頃、中学生時代にほとんどの作品を読破していた、北方謙三氏をお見かけしたことがあります。お金がなく、友人と二人で青山界隈をぶらぶらしていた時、一台のオープンカー
MiraiwoUmu_essay
一寸先の闇の先 「一寸先は闇」という言葉があるように、未来のことは、誰にもわからない。『ミライヲウム』の初稿を書き上げたのは、2019年の7月頃だったけれど、そのときには一体誰が、花火もお祭りも甲子
BoninPureLand
「ボニン」の島 小笠原  ずっとずっと小笠原諸島のことが気になっていた。小笠原諸島が世界遺産に登録される前から、さらに言うと小説家になるもっと前から、私は行ったこともない島のことを考えていた。東京か
Yadukisan_
ベトナムに思いを馳せ  もう、四、五年ほど経つだろうか。同級生のあやちゃん(仮名)と地元のショッピングモールを歩いていたときのことだ。すれ違った女性に、「りおんちゃん!」(仮名)と、あやちゃんが声を
Akachan_
〝嬰児殺し〟と戦いつづけた男  近年、特別養子縁組制度は、虐待を受けたり、親がいなかったりする子供たちを助ける命綱として注目されている。  この制度ができた一九八八年以前は、母親はどんな事情があれ、
Unmeinohito_colum
『運命の人』なんているんですか 僕の初恋は小学校高学年でした。 小学校を卒業後、僕は市外の男子校に入ったので、 一度も会えないまま、中学の三年間、ずっと好きでした。 長い片想いです。 その後、いくつ
Ily_ya
正義のために悪に堕ちる  一億総中流といわれた昭和は遠くなった。  富める者はますます富み、貧しい者はますます貧する時代である。一説には、わずか六十二人の大富豪が全世界の富の半分を所有するという。富
ThePsychiatrist
心の闇を覗く医師たち  医学はとても広範な学問だ。先人たちの長年の積み重ねによって培われた、膨大な知識の集合体であるそれは、もはや一人の人間が全てを身につけるのはとても不可能なものとなっている。なの