ハクマン 部屋と締切(デッドエンド)と私 第40回
「仕事」というものは
総じて人体に有害だ。
だが漫画家がその2パターンしかいない、というわけではなく、むしろ偉大でもないのに早死にした作家と、特に代表作もないのに無駄に長生きしている作家の2種類の方が圧倒的多数派である。
何せ偉大ではないので、生きていても死んでいても話題にならないだけだ。
つまり、漫画家という職業が健康や寿命に影響を与えているとは言えず、さらに偉大かどうかも関係ない。
偉大だと仕事が多すぎて健康を害すし、偉大じゃないと主食がトランス脂肪酸になって健康を害すからだ。やはり仕事というのは総じて体に悪い。
結局健康に影響を与えるのは、職業ではなくライフスタイルである。
例え、9時17時のホワイト企業に勤めていても、麻薬をやっているというのであれば健康を害す。
そう言いたいところだが、おクスリを10年ぐらいライフスタイルにしていたらしい、エリカ様がとても不健康とは言い難い美貌で現れてしまったために、もはやライフスタイルが健康に関係あるとも言い切れなくなってしまった。
だが、ライフスタイルが健康に関係すると仮定するなら、漫画家はライフスタイルがハチャメチャになりやすい職業であることは否めなかった。
まず、締め切りのせいで、健康の要である睡眠が削られてしまうという時点で健康に悪いし、まともな飯を食う余裕もなく、結局トランス脂肪酸をかじりながら、もしくは食わずに仕事ということをしている作家もいたかもしれない。
そして当然のように運動不足な上、座りっぱなしなため、週刊連載が終わって、旅行にでも行くかと思った時には歩けなくなっているということもあったようだ。
しかし、そんな命を削るような仕事の仕方をしている漫画家は今では稀のようである。
自分はともかくスタッフにそんな業務形態を強いていては、訴えられるとはまでいかなくとも、ツイッター告訴されて面倒なことになってしまう。
よって最近では完全に作業をルーティン化させ、仕事をする時間や、休む曜日などを決めている作家も多いようである。
だが、病気というのはどれだけ気をつけていてもなる時はなるものだ。
そして、漫画家含むフリーランスは、病気の発見が会社員より遅れやすいというデメリットがある。
何故なら、会社員には定期健診が義務づけられているが、フリーランスにはなく当然無職にもない。
健診の案内は来るが、受けるかどうかは完全に任意である。
会社員であれば、健診を受ける時期が決まっており、受けないと健診担当者から、健診に行くかここで死ぬか選べという選択肢を与えてもらえるし、さらに費用は会社持ちという至れりつくせりである。