書店員さん おすすめ本コラム

秋の夜長には虚実のないまぜになった物語を

紀伊國屋書店鹿児島店(鹿児島)花田吉隆さん
小説を読むという行為は、現実の世界で虚構の物語に浸るという作業なのかもしれません。私は夜中に小説を読みふけっていると、ふと、虚構と現実の境目があやふやな気持ちになってしまうという経験がよくあります。なんだかマトリョーシカの中のマトリョーシカになった気分です。そこで今回は、そんな気分に浸れる本を紹介したいと思います。 『歪んだ波紋』(塩田武士)。

初恋の魔法が解ける日

成田本店みなと高台店(青森)櫻井美怜さん
思い出は美化するものだ。たとえば初恋マジックがそのいい例だろう。青春の1ページは年を重ねるごとに美化されていき、中は上に、上は特上へと上書き保存されてゆく。いくら他の人と付き合ってもやっぱりあの人を忘れられないというのはよく聞く話だが、なにもこれは初恋に限った話ではない。ある作家さんにハマるきっかけになった一冊を忘れられずに、それからいくら同じ著者の作品を読んでもその本の面白さを超えられない、という経験を皆さんもされたことはないだろうか。

人との出会いは宝だ!

SHIBUYA TSUTAYA(東京)内山はるかさん
『さざなみのよる』(木皿泉著) 彼の国へと逝ってしまった小国ナスミ。享年43。家族を含め彼女と関わった人々の回顧録のような短編集。残された人々の心にいるナスミは様々な顔を持つ。それぞれの想い出が浮き彫りにするナスミという人間に、いつのまにか惹きつけられ、愛しさを感じてくる。 死は悲しいことだ。しかしナスミの死はさざなみのように穏やかに人々に浸透していく。

今、ミステリーといえばこの3冊

文教堂北野店(北海道)若木ひとえさん
しまった……ミステリーだから、肝心なところには触れられない。でも、面白いから読んで読んで! だけじゃ怒られる? うーーん。 三冊の中でもイチオシは『骨を弔う』宇佐美まことです。著者を男性だと思っていらっしゃる方は意外と多いのでは? かくいう私もそうでした。

伝統芸能に魅せられる

岩瀬書店富久山店プラスゲオ(福島県)吉田彩乃さん
日本の伝統芸能に興味はありますか? 気にはなるけどなかなか知る機会がない、色々と難しそう、と感じてしまいがちかもしれません。私自身TV等で観ていても、よく解らず難しいものと感じていました。けれど実は知れば知るほど面白い世界だったんです。 そんな伝統芸能に少しでも興味を持つきっかけになれば良いなと思う本を紹介します。

声なき遺体の声を聞く者たちの闘い

宮脇書店本店(香川)山岡江梨子さん
虫は苦手だ。けれどこの女の下でならば、助手として、シデムシの分別作業でも頑張れそう! と思わせてくれるのは内藤了『パンドラ 猟奇犯罪検死官・石上妙子』の男前な検死官・死神女史・こと石上検死官だ。本書を含むシリーズにおいて特筆すべきは検死遺体の凄惨さにある(特に虫)。

旅行鞄にそっと忍ばせたい本

紀伊國屋書店鹿児島店(鹿児島)花田吉隆さん
突然ですが、私は旅先で本を読むのがとても好きです。旅行に行くときは決まって旅行鞄に本を忍ばせています。ちなみに今鞄に入れっぱなしにしているのは松本清張の『日本の黒い霧』です。そんなわけで今回は旅行鞄にそっと忍ばせたい本を3点ご紹介したいと思います。

なにも悔やむことのない人生なんて

成田本店みなと高台店(青森) 櫻井美怜さん
時間を巻き戻したい、と思う事がある。5分、いや1分でいい。スカートにべったりとついたシミ。口からポロリと零れ落ちた言葉。一時停止と再生を繰り返せば必ず幸せな人生を送れるわけではないだろうが、それでも誰しもがやり直したい瞬間があるだろう。例えば、もし、あなたが交通事故を起こしたとしたら。