書店員さん おすすめ本コラム

この世の夜の底で

未来屋書店石巻店(宮城) 恵比志奈緒さん
 崩壊を迎えたばかりの風景の中、瓦礫を背景に浮かぶ一つの林檎。誰かが思いつきで描き加えたような赤色は、均衡を失った眺めには不似合いな、日常そのものの色だった。私はなにか信じ難い気持ちでその林檎を拾い上げ、鼻先を寄せた。燃料油の匂い。なにせ海水・ヘドロ・家屋・車・その他、の混合物に呑まれた代物なのだ。

未来はすぐそこに

紀伊國屋書店新潟店(新潟) 山崎容子さん
東京オリンピックが決まった時、2020年は少し先の未来の気分だった。しかし、あっという間にそれは目前に迫っていて、未来は、もうすぐそこにあると実感。今回は、近未来を舞台にした小説をご紹介。

誰かを支えたくなる本

喜久屋書店倉敷店(岡山) 三玉一子さん
新年、今年は何と4社も神様に挨拶に出向いた。抱負は短く2文字で「利他」。育休から復帰して約2年が経過し実感を伴って気づいたのは、職場でも家庭でも私は多くに支えられて生きているということだ。私を助け支えてくれた人がいるように、私自身も誰かの支えになりたい。そう考えるきっかけになった本と、その過程で出合った本を今回はご紹介したい。

小さな本棚から

未来屋書店石巻店(宮城) 恵比志奈緒さん
生きているもの以外は、ただはっきりと死んでいる。ティム・オブライエン『本当の戦争の話をしよう』は、作者が自らの従軍体験を基にベトナム戦争でのアメリカ兵を描いた短編集だ。そこに英雄はおらず、華々しき死もまた存在しない。躍動し死線を掻い潜る戦闘の活写も、愛国を叫ぶ突撃の場面も。ある者は地雷に吹き飛ばされて形をなくし、ある者は汚物のぬかるみに沈み消えてゆく。

つめたい空気の中で読む静けさと陰りに満ちた本たち

喜久屋書店倉敷店(岡山) 三玉一子さん
秋の気配が見え隠れしだす夏の終わり頃、暑さが苦手な私は一刻も早く涼しさを掴まえようとして、静けさや陰りに満ちた小説を手に取りがちだ。現実世界では出勤時はまだまだ汗だくでも、小説の中の風景を思い浮かべるだけで頭と心がひんやりと静けさに包まれる。

ホラー? サスペンス? 不思議で哀しい耽美な翻訳小説集めました

ジュンク堂書店三宮駅前店(兵庫) 荒木遥香さん
翻訳小説ってちょっと難しそうで手に取りにくいイメージがありませんか? でも読まないと勿体ない名作がたくさんあります。私の志向に刺さった作品の中からなるべく読みやすいものを選びました。